ネズミ伝染病
歴史上、さまざまな伝染病が流行し、人々の生活に大きな影響を与えてきた
近年の新型コロナウイルスの流行も記憶に新しいが、今回取り上げるのは、1910年に中国で発生した「ネズミ伝染病」についてである
この伝染病は社会に深刻な影響を及ぼし、歴史的な対策が講じられた
以下では、この伝染病の発生と対策について詳しく見ていく
ネズミ伝染病の発生
1910年11月9日、中国の東北部ハルビンでネズミ伝染病が発生した
この伝染病は、ロシアから満州に伝わり、中国人に初めてマスクを着用させたと言われている
このマスクは「伍氏マスク」と呼ばれ、原因を突き止めた伍連徳(ご れんとく)博士の名前にちなんで名付けられた
伍氏は中国検疫事業の創始者であり、中国医学史上初めて病理解剖を行った人物でもある
ネズミ伝染病の拡大
1910年11月には毎日1、2人の発症例が報告され、12月には4~10人が報告されるようになった
ハルビンでは毎日50人以上、最も多い日で183人が命を落としたという
急速に感染が広がったことで伍氏はハルビンに派遣され、一人の日本人女性の死に遭遇した
伍氏は彼女の異様な状況を見て、遺体の解剖を決断したのである
空気感染の発見
当時、病理解剖は前例がなく「死者に対する不敬」と見なされたが、伍氏は秘密裏に解剖を進めた
そして、肺の中にネズミ桿菌を確認したのである
さらに、今回の伝染病がネズミを媒介とするだけでなく、空気飛沫感染によるものであることを突き止めた
ハルビンの冬は非常に厳しく、気温はマイナス何十度にも下がる
ある報告によると、通気性の悪い冬の部屋で一人の感染者が発生し、その後、瞬く間に一家全員にネズミ感染病が広がったという
つまり、媒介元はネズミであるが、人から人への感染は空気飛沫によって拡大したのである
ネズミ感染病大作戦
そして伍氏指導による感染病対策が始まった
伍連徳は外科用マスクを基にした防疫マスクを開発し、衛生担当者や一般市民に着用を推奨した
このマスクは近代的な感染予防対策の先駆けとなり、空気感染の防止に効果を発揮した
このマスクは「伍氏マスク」と呼ばれた
彼の設計は、医療従事者自身を感染から守るためのものであり、この発明は後の公衆衛生にも大きな影響を与えている
さらに伍氏は、患者の隔離のために貨物コンテナを120個借り、診察や消毒を行った
また、感染死した遺体の「火葬」を推奨した
中国では昔から「死」を「生」と同じように重要視しており、伝統的に土葬が好まれていたために火葬は受け入れがたいものであった。
しかし、この時ばかりは感染拡大を防ぐために強行したのである
春節が終わると本格的な火葬が始まり、2000体以上の遺体が火葬された
1911年2月には1416体の遺体が火葬され、そのうち1002体は一度土葬された遺体を掘り起こして再度火葬された
爆竹の効果と終息
北京の官僚たちは伍氏の発見を支持し、彼の指導の下で対策を進めた
特に、鉄道による感染拡大を防ぐため、鉄道の利用を厳しく制限した
また、顕微鏡を使用して感染者を特定し、患者を隔離するための施設を設置した
また、治療に関して興味深い記述が残っている
ある村では1911年1月31日までに、村の四分の一がネズミ伝染病で命を落としていたという
この村では毎年恒例の年越し春節が祝われていた
そして中国の春節には爆竹が大量に使われるのだ(※春節の日付は年によって変わるが1月後半から2月前半頃)
その年も例外ではなく大量の爆竹が爆発した
すると驚くことに感染症による死者が急激に減少したという
調査の結果、爆竹に含まれる硫黄が消毒作用を持つことが判明した
そして1911年3月1日、伍氏たちの対策や爆竹などが功を奏したのか、各地方から感染死亡者ゼロの報告が次々と上がり、ようやくネズミ感染症は終息を迎えたのである
このネズミ感染症は、六か月間で中国の約50%の地域を巻き込み、約6万人の命を奪った
最後に
ネズミ伝染病は歴史的な公衆衛生の危機であり、多くの教訓を残した
伍連徳博士の努力と革新的な対策が功を奏し、感染の拡大を防ぐことができた
この事例は、現代のパンデミック対策にも多くの示唆を与えている
歴史から学び、未来の公衆衛生に活かすことが求められる
参考 : 非驢非馬:中醫、西醫與現代中國的相互形塑
(この記事は草の実堂の記事で作りました)
歴史上、さまざまな伝染病が流行し、人々の生活に大きな影響を与えてきた
近年の新型コロナウイルスの流行も記憶に新しいが、今回取り上げるのは、1910年に中国で発生した「ネズミ伝染病」についてである
新型コロナウイルスの時も特に日本でそうだったが、感染拡大防止対策にマスク着用があった
この伝染病で火葬も進み、中国人の「死生観」に影響も・・・
そしてこの伝染病の終息にに中国の伝統ともいえる春節の爆竹もあった
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2026年02月03日
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