高齢なのにさすがG1馬というフットワーク
3歳秋以降は芝の短距離~マイル戦を使われ、マイルCS連覇、フランスのジャック・ル・マロワ賞制覇を含む重賞7連勝を達成した、日本競馬史上最強マイラーの呼び声高いタイキシャトル
1998年に現役を引退して種牡馬入り
2017年に種牡馬を引退したのちは引退馬協会のフォスターホースとなり、2022年にこの世を去った
その最後の繋養先となったノーザンレイクで働き、競馬ライターとしても活躍する佐々木祥恵さんが書き綴った、タイキシャトルの余生と最期の様子を、著名な競走馬の引退後を追った『もうひとつの引退馬伝説~関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)から一部抜粋してお届けする
さよならは突然訪れた
2022年8月17日、マイル王タイキシャトルは天国へと旅立った
高齢のせいか季節の変わり目や気温の変化で体調を崩すことがあったものの、前日はいつもと変わらぬ旺盛な食欲で、翌日命が尽きるようには見えなかった
それだけに馬房に横たわる動かぬシャトルを前にショックは大きかった
タイキシャトルは2021年6月16日に、メイショウドトウと共に認定NPO法人引退馬協会からの預託馬として、私が働く北海道新冠町の引退馬牧場ノーザンレイクにやってきた
ノーザンレイク代表の川越靖幸は元JRAの厩務員で、タイキシャトルを管理していた藤沢和雄厩舎に長く勤めていた
自分の担当馬の隣の馬房がタイキシャトルだったこともあり、日ごろから間近で見る機会が多かった
川越によると、シャトルはとにかく元気でよく立ち上がっていたという
シャトルを担当していた厩務員はケガの影響で足が少し不自由だったが、「それでもヤンチャなシャトルとうまく折り合いをつけて世話をしていたから、馬と人の相性が良かったのだろう」と、川越は当時を振り返る
強さだけではなく普段の様子までが川越にとって記憶に残る1頭だった
引退馬の牧場を始めた翌年、その記憶に残る馬が自分の元に預託されて再び身近な存在になるとは、川越自身想像もしていなかった
シャトルは種牡馬を引退した後、メイショウドトウと同時に引退馬協会のフォスターホースとなった
月額1口3000円で彼らを支える会員の数は満口を超える人気で、預託を引き受けたこちらのプレッシャーは相当なものだった
ノーザンレイクに移動当日
馬運車を下りてすぐ2頭を隣同士の放牧地に放してみた
互いの姿を確認できることもあり、両馬とも落ち着いて草を食んでいた。その様子を見てひとまずホッとしたのを今でもよく覚えている。
やがて放牧時間が終わり、川越がシャトルを曳いて放牧地を出た
先にドトウが放牧地を後にしたこともあり、気が急いていたシャトルは速歩で厩舎に向かった
そのシャトルを馬房に入れた川越が「さすがG1馬だな」と呟いた
川越は藤沢厩舎時代、古馬三冠に輝いたゼンノロブロイやマイルCS優勝のゼンノエルシドといったG1馬をはじめ、数々の重賞勝ち馬を担当してきた
その川越が、曳き手を通して伝わってきたシャトルのフットワークや躍動感を尋常ではないと感じた
しかも27歳と高齢なのにそう感じさせるあたりが、タイキシャトルの持つポテンシャルの高さを物語っている
■タイキシャトル プロフィール
生年月日:1994年3月23日生まれ
性別:牡馬
毛色:栗毛
父:デヴィルズバッグ
母:ウェルシュマフィン(母父:カーリアン)
現役時調教師:藤沢和雄
現役時馬主:大樹ファーム
戦績:13戦11勝
主な勝ち鞍:マイルCS(2回)、安田記念、スプリンターズS、ジャック・ル・マロワ賞
生産牧場:Taiki Farm(米国)
最後の繋養先:ノーザンレイク(新冠)
もうひとつの引退馬伝説 ~関係者が語るあの馬たちのその後
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繋養先でどのように過ごしているのか、現役時代との違いやエピソードなどを関係者へ直撃!
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編:マイクロマガジン引退馬取材班
発売日:2024年9月13日
価格:1980円(本体1800円+税10%)
(この記事は、テレ東スポーツの記事で作りました)
もうひとつの引退馬伝説~関係者が語るあの馬たちのその後 単行本
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(現役引退後は食肉になる馬も)
2024年11月29日
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