空不異色(くうふいしき)
「色不異空」を逆にいいかえたものが、この「空不異色」です
色、つまり物質すべては「空」と異ならない(同じ)と述べたあと、「空」は物質すべてと異ならない(同じ)と念押ししているわけで、ますます混乱しそうです
「空」を「ない」ととらえるところから、その混乱が生まれています
「空」は「無」とは違います
空性とは「スペースがある」という意味
水の入っていないコップがあるとします
この場合、「コップは空(くう)(から)」です
しかし、「コップは無(む)」ではありません
「コップが空である」ことと「コップが無い」こととは別です
これが空(くう)と無(む)の違いです
インドでは、コップに水がないことを「コップには水の無がある」と表現します
コップに水があればコップは「水の場所」、水がなければコップは「水の無の場所」です
その「無の場所」が「空」なのです
「コップが空であること」を「空である性質」という意味で「空性(くうしょう)」と呼びます
ですから、「空からのコップには空性がある」と表現できます
実は、般若心経で使われている「空」は、原語に照らしてより正確にいうと「空性」になるのです
空性は「スペース」と理解してもけっこうです
「空(から)のコップにはスペースがある」ならわかりやすいでしょう
すると、この部分の意味は「物質界にはスペースがある」となります
結局、まだわかりにくいのですが、4階から観自在菩薩が見た眺めにつながるイメージを感じて、先に進むことにしましょう
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者
1950年、長野県岡谷市生まれ
高野山大学仏教学科卒
名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得
岡谷市の真言宗智山派照光寺住職
(この記事は、ラブすぽの記事で作りました)
般若心経では「色即是空 空即是色」とある
物質すべては「空」と異ならない(同じ)と述べたあと、「空」は物質すべてと異ならない(同じ)と念押ししているわけです
ポイントは空は無とは違うということです
般若心経で使われている「空」は、原語に照らしてより正確にいうと「空性」になるのです
空性はスペースといってもいいでしょう
空(から)のコップが「空」(くう)なら、「空(から)のコップにはスペースが『ある』」わけです
ちょっと禅問答のようですが、東洋思想・インド思想にはなんともいえない奥深さがあります
般若心経は、300文字に満たない経典ですが、大乗仏教の神髄が凝縮して説かれているとされます
個人的には宇宙を感じます
般若心経は西遊記の玄奘三蔵法師が作ったとも・・・
眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経 単行本
人気も話題もあり注目されている般若心経だが、一方で「難しい」「よくわからない」とも・・・
般若心経をわかりやすく解説
実生活と結びつけながら意味、意図、思想などを図解も駆使しわかりやすく解き明かす
2024年10月15日
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