2024年08月04日

【なぜ悪者扱い?】美食家が考える「化学調味料」の是非

世界のビジネスエリートの間では、いくら稼いでいる、どんな贅沢品を持っている、よりも尊敬されるのが「美食」の教養である
単に、高級な店に行けばいいわけではない
料理の背後にある歴史や国の文化、食材の知識、一流シェフを知っていることが最強のビジネスツールになる
そこで、『美食の教養』の著者であり、イェール大を卒業後、世界127カ国・地域を食べ歩く浜田岳文氏に、食の世界が広がるエピソードを教えてもらう

● 「健康に悪い」に根拠はない?

「化学調味料」は体に悪い、と信じている人が世の中にはいるようです
そして、ソーシャルメディア上では、そう信じている人と堀江貴文さんがバトルを繰り広げたり、化学調味料を使う料理研究家の方が炎上したり、いまだに議論が起きるようです

そもそも「化学調味料」は今、行政の資料でもマスコミでもうま味調味料と呼ばれているので、以下そう呼びますが、うま味調味料が健康に悪影響を与える、という批判は科学的根拠がありません
単なる、信仰です

うま味調味料が危険だと主張する意見は、感情的な反応や思い込み、噂話に基づいています
1970年代にアメリカでは「中華料理店症候群」や「MSG症候群」と呼ばれる現象が広まりましたが、これはグルタミン酸ナトリウム(MSG)を摂取した後に頭痛やしびれを感じるといった報告が発端となりました

しかし、その後の科学的研究で、因果関係は否定されました
未知な食文化やアジア系住民に対する偏見や差別がベースにあったと思われます

うま味調味料は、大昔は石油由来の原料から生産していたそうですが、今は食品に含まれる天然のうま味成分を精製して作られています
うま味調味料のメーカーは、天然由来をひとつのポイントとして主張していますが、これは科学的ではない

だって、化学物質として全く同一であれば、何から抽出しようが何の問題もないはずだからです
ただ、食べ物から抽出していないと、なんとなく嫌だ、という感情論があるので、その相手をしているのでしょう

科学的には、とっくに解決した議論です
それが、なぜいまだに話題になるのか
素人が何の根拠もない思い込みを発信できるソーシャルメディアの時代になったのが一因だと思います
非科学的でも証拠がなくても、感情のままに発言できる
そして、根拠はないけれど同じ感情を抱えていた人が、そうだそうだ、と共鳴する
陰謀論が21世紀になって力を増しているのと同じ構図です

当たり前のことですが、どんな調味料でも、過剰に摂取すれば健康に悪影響を及ぼす可能性があります
塩や砂糖、そして油も摂り過ぎたら体に悪いことを科学的に否定できる人はいないでしょう

うま味調味料に関しては、他の調味料に比べると過剰摂取のリスクは小さいようですが、いずれにしても、常識的な用法用量を守っていれば問題はありません

● レストランで使われているのか?

本書がテーマとする美食においては、うま味調味料を使用しているお店はあまり多くないと思います

ただ、海外では使っていることを公言しているファインダイニングもシェフもいますし、ヨーロッパでミシュランの星を複数獲得するレストランで働いたらうま味調味料がキッチンにあった、という話もときどき聞こえてきます
また、日本を代表する料亭においても、少なくとも過去、うま味調味料を使っていたのは、有名な話です

たとえば、「味の素」の原料はMSG(グルタミン酸ナトリウム)です
これと、昆布から抽出したMSGを食べ比べる
化学的に同一なものなので、その違いは絶対にわかりません(というか、違いが存在しません)
だから、うま味調味料を隠し味程度に少量使うと、それに気づくのは不可能に近い

では、なぜうま味調味料っぽいと感じる料理に出くわすことがあるのか
それは、うま味調味料が大量に使用されることで、風味のバランスが変わるからです
昆布には、MSG以外の成分も含まれています
それを代用するために味の素を大量に使うと、MSGだけが突出して、他の成分が感じられない
これが、違和感の正体です

● うま味調味料を使う合理性

たとえばラーメンにおいて、天然の食材から抽出したうま味成分だけで勝負しようと思ったら、膨大なコストと時間、労力がかかります
そのため、安く提供したいお店がうま味調味料を使うのには、合理性があります

また、うま味調味料の味自体が好きで、積極的に求める人もたくさんいる
一方、ラーメンでもうま味調味料を使わないお店もあります
その分、手間隙がかかるので、値段は高いことが多い
個人的には、両方あっていいのではと思います

また、中華(中国)料理においては、うま味調味料がレシピの欠かせない一部になっていることが多い

日本の一部のお店は、うま味調味料を使わない中華料理に取り組んでいますが、そうすると修業先のレシピを根本的に見直さなければいけなくなった、という話もよく聞きます
中国本土においては、多くのお店がうま味調味料やそれに類するものを使っていますが、それはひとつの考え方です

不自然になるくらいに過度に使うことがなく、料理として完成されていれば、問題ないと思います

一方、うま味調味料を使わずに、時間や手間をかけて旨味を抽出する、このプロセスがひとつのストーリーとなっているお店もあります

だから、ファインダイニングにおいては、なぜ使うのか、なぜ使わないのかをお店のアイデンティティやストーリー性に基づいて説明でき、使う場合でもそれがバランスを崩すことがないよう巧みに使われている
それが理想的だと思います

(本稿は書籍『美食の教養 世界一の美食家が知っていること』より一部を抜粋・編集したものです)

浜田 岳文
(はまだ・たけふみ)
1974年兵庫県宝塚市生まれ
米国・イェール大学卒業(政治学専攻)
大学在学中、学生寮のまずい食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始
卒業後、本格的に美食を追求するためフランス・パリに留学
南極から北朝鮮まで、世界約127カ国・地域を踏破
一年の5ヵ月を海外、3ヵ月を東京、4ヵ月を地方で食べ歩く
2017年度「世界のベストレストラン50」全50軒を踏破
「OAD世界のトップレストラン(OAD Top Restaurants)」のレビュアーランキングでは2018年度から6年連続第1位にランクイン
国内のみならず、世界のさまざまなジャンルのトップシェフと交流を持ち、インターネットや雑誌など国内外のメディアで食や旅に関する情報を発信中
株式会社アクセス・オール・エリアの代表としては、エンターテインメントや食の領域で数社のアドバイザーを務めつつ、食関連スタートアップへの出資も行っている

(この記事は、DIAMOND onlineの記事で作りました)

個人的には、化学調味料を使わない自然の味にひかれます

マスコミ、世間の声なども影響しているのかもしれませんが・・・(笑)

ようは身体に良いとされるものをなるべく摂取するようにし、ある程度.自分の「食べたい」と身体が欲するものの場合によっては食べるようにします
(例えばジャンクフードなどでも・・・)

心にストレスが無い程度に私は「身体にいいもの」を食べ、時には身体に欲するものを自由に食べるようにしています




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世界中を食べ歩いた著者が食への追及の中で身につけた「美食の教養」
料理の背景がわかり、より料理を楽しめ、レストラン選びの参考にもなる
posted by june at 12:35| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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