科学者たちは、超新星爆発の際に何が起こるのか明らかにするために、コンピュータ・シミュレーションを行った
作成されたモデルによると、恒星が最期を迎えるときに形成されたブラックホールが、宇宙に向かって弾き飛ばされることがあるという
その時の移動の速さは、秒速1000kmに達することもあるようだ
超新星爆発を研究している科学者たちは、ブラックホールが形成されるプロセスについて、新たな発見した
彼らによると、ブラックホールの中には、形成直後にとんでもないスピードで飛び出すものがあることが判明したという
通常ブラックホールは、親星である超大質量星が超新星爆発を起こした後に、そのコアが極限まで収縮してできるものだと考えられている
爆発の残骸であるガスは、ブラックホールに引き寄せられ、降着円盤を形成する
しかし、爆発の速度、形、大きさは、爆発した親星の質量と密度によって大きく異なる
これらの要素は、親星のコアに何が起こるのか、そしてブラックホールがどのように形成されるのかに関して理解する上で重要な役割を果たす査読前論文を掲載するArXivに投稿された研究論文がそう述べている
例えば、親星の質量が比較的小さく、密度がかなり高い場合、爆発は上下左右に対称的に広がり、ほぼ完全な球体となることがコンピュータ・シミュレーションによって示されている
しかし、親星の質量が極めて大きく、密度が高くない場合、爆発は非対称に広がり、爆発も長く続くことが多いという
論文の筆頭著者でプリンストン大学の天体物理学教授であるアダム・バローズ(Adam Burrows)は、「つまり、ある方向への爆発の方が大きい場合、別の方向ではより多くの降着物質が引き寄せられている可能性が非常に高い」とBusiness Insiderに語り、それがブラックホールになるのだろうと指摘した
さらに超新星爆発が起きると、親星だった恒星の残骸は「キック」されて宇宙へ弾き飛ばされることがある
特に爆発が左右非対称の場合、そのキックはかなり強烈なものになるとバローズは言う
キックという言葉通り、時には秒速1000km(時速360万km)という途方もないスピードで、物体(この場合はブラックホール)は宇宙空間に飛び出していく
これは、弾丸を発射した後の銃身の反動のようなものだと、マサチューセッツ大学ダートマス校の数学助教授、ヴィジェイ・ヴァルマ(Vijay Varma、この研究には関与していない)がBusines Insiderに語っている
つまり、ブラックホールは形成されるとすぐに宇宙空間に弾き飛ばされ、時には秒速1000kmもの速さで移動する可能性があるとバローズらは推論している
とはいえ、このような移動はおそらく一時的なもので、よくあることではないようだ
「ブラックホールは銀河系内にとどまり、あちこち飛び回ったり旋回したりするわけではないため、被害をもたらすことはない」
コンピューターの中に宇宙を作る
この研究では、恒星のコアが崩壊することで引き起こされる超新星爆発(CCSN:Core-Collapse Supernova)に関して、最先端の3Dシミュレーションが20回行われた
「これは、これまでに作成された長期的な(爆発から何秒も後)コア崩壊のシミュレーションで最大規模のものだ」と研究チームは論文で報告している
この種のシナリオに基づくこれまでのシミュレーションは、恒星のコアがいかにして宇宙に放出されるかについて結論を出すには十分ではなかったとバローズは言う
というのも、シミュレーションを行うには、風速、気温、気圧など、この理論的環境に関する情報を含む何千万ものゾーンを対象に、天候をマッピングするように分析する必要があるからだ
コンピューターの中で宇宙を構築することの複雑さを考えてみてほしい
バローズによると、このようなシミュレーションが可能なスーパーコンピューターを利用できる学術プログラムはそう多くはないという
ヴァルマは超新星爆発を研究しているわけではないが、このような理論的研究は、天体物理学研究の多くの分野に影響を与えると考えている
「この理論は極めて重要だ。これを観測と結びつけることで、ブラックホールの進化を過去にさかのぼって追跡できる」とヴァルマは言う
ブラックホールが地球に影響を与える可能性は?
ブラックホールが高速で移動しているとしても、パニックになる必要はない
バローズによると、このようなブラックホールが太陽系にやってくる可能性は極めて低いという
(この記事は、BUSINESS INSIDER JAPANの記事で作りました)
ブラックホールの存在をアインシュタインが予言した当時はあまりにも奇妙で不思議、SF的な天体で、驚いたが、その後、その存在が確かに確認され、ブラックホールの謎が少しずつ解明されてきた
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