Tレックスの祖先と思われるティラノサウルス属の新種が発見された
この発見によって、ティラノサウルス属がこれまで考えられていたよりもずっと早く大型化したことが示唆されている
またこれは、Tレックスの起源はアジアではなく北アメリカだという説を裏付けるものでもある。
Tレックス(レックスは「王」を意味する)に最も近い親戚にあたるティラノサウルス属の新種が発見された
「T.mcraeensis(ティラノサウルス・マクレアエンシス)」と名付けられたこの新種によって、ティラノサウルスがこれまで考えられていたよりも何百万年も早く巨大化したことが示唆されている
古い骨からの新たな発見
興味深いことに、この発見は40年以上前にニューメキシコ州で発掘された頭蓋骨と顎の骨の化石からもたらされた
何十年もの間、この骨はTレックスのものだと考えられていた
しかし、同じ地域から採掘されたシエラセラトプスの化石が、当初考えられていたよりも古いことが分かり、研究チームは、このTレックスのものだと思われていた化石の年齢にも疑問を抱いたと、研究を率いたバース大学の古生物学者で進化生物学者のニック・ロングリッチ(Nick Longrich)がBusiness Insiderに宛てたメールに記している
「これらの化石の年齢に関する従来の推測は、おそらく間違っているということに気が付いた」
そのことをきっかけに再調査を行った結果、この骨がTレックスが存在した時代よりも600万年から700万年前に生きていたティラノサウルス属のものであることが明らかになった
さらに、この化石は典型的なTレックスとはいくつかの重要な違いがあり、ロングリッチと研究チームは、最終的にこの化石が新種であると結論づけた
例えば、頭蓋骨にはTレックスの特徴である目の後ろの隆起がなく、下顎はTレックスのものよりも浅かったと、この研究に参加した古生物学者スペンサー・ルーカス(Spencer Lucas)がNPRに語っている
この研究をまとめた論文が、2024年1月11日付で査読付き学術誌「Scientfic Reports」に掲載された
ティラノサウルスはいかにして大きくなったのか
ロングリッチによると、T.mcraeensisの大きさを頭蓋骨と顎の骨だけで推定するのは難しいが、おそらくTレックスに匹敵する大きさで、体長約12メートル(アメリカのスクールバスほど)だったとしている
つまり、ティラノサウルス属は「これまで考えられていたよりもずっと早く大きくなった」のであり、T.mcraeensisの化石を古代史の特定の時期に位置づけることで、ティラノサウルス属の巨大さを説明できるかもしれないとロングリッチは指摘した
白亜紀後期のカンパニア紀(8300万年前から7200万年前)に、ハドロサウルスなどの草食恐竜は大型化した
それを捕食するために、ティラノサウルス属も大きくなる必要があったのだ
このような進化の圧力が、ティラノサウルス属の巨大化をもたらしたのだろうとロングリッチは言う
多くの科学者の推測とは異なり、Tレックスは最初のティラノサウルスではなく、最後のティラノサウルスだったのだろうと彼は考えている
北米対アジア
Tレックスほど有名な恐竜でも、その起源についてはほとんど解明されていない
Tレックスの起源が北アメリカなのか、アジアなのかについては、科学者の間でも意見が分かれている
しかし、今回の新たな発見は、この問題を解く多くの手がかりを与えてくれるだろう
T.mcraeensisは、Tレックスの祖先とされる初めての化石であり、ニューメキシコ州で発見されたことから、Tレックスの起源はアジアではなく北アメリカだという説が支持されるとロングリッチは言う
「Tレックスのように一見よく知られた恐竜でも、まだ新たな発見があることが興味深い。まだ発見すべきことがたくさん残されている」
(この記事は、BUSINESS INSIDERの記事で作りました)
ティラノサウルス属の新種を発見
これまでの定説よりも早く大型化していたようです
ティラノサウルスは、ポピュラーで人気も高い恐竜のため調べられる機会も多いが、それでも謎が多い
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今回の記事のように今後もティラノサウルスの新発見があるかもしれない
2024年02月16日
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