2023年09月05日

なんと日本にも来ていた・・・!アメリカ大陸「驚愕の変化」で起こった「ティラノ軍団の大進化

ティラノサウルスは最も研究されている恐竜ではありますが、まだまだわからないことが多いのが実際のところです
たとえば「ティラノサウルスには羽毛は生えていたのか?」という一般的な問いにさえ、まだ確定した問いはないのです

一方で、ティラノサウルスの仲間は、北極に近いアラスカや日本にも生息していたことが分かっています
新たな発見があるたびに新しいことがわかり、そしてまた新たな謎が出てくるのがティラノサウルス研究なのです

そんなティラノサウルス研究の最新事情を、『ティラノサウルス解体新書』(講談社ブルーバックス)から抜粋・再編集してお届けします
今回は、アメリカ大陸のティラノサウルスが、大陸の変動にどう影響を受けたか? という問題を見てみます

ティラノ軍団と「海」がどう関係する?・・・

さて、「暴君恐竜の進化は、白亜紀後期の海の上昇と下降を追跡する」という研究の面白いところはこれだけではありません
もう一度、論文のタイトルに注目してみてください
なぜか「海」という言葉が入っています
ティラノ軍団と海にはどのような関係があるのでしょうか? 
 
まずは、アメリカの地理についておさらいしておきます
あるサイトに掲載されていた「アメリカ旅行人気都市ランキング」では、1位がニューヨーク、2位がハワイ、3位ラスベガス、4位オーランド、5位シカゴと続きます
ちなみに私のイチオシであるジャズの街、ニューオリンズは6位
綺麗なビーチのあるサンディエゴは7位です

シーフードが美味しいシアトルは17位、私がかつて暮らしていたオースティンは21位、アラモの砦があるサンアントニオは24位です
番外としては、ロッキー山脈を有する州(モンタナ州、アイダホ州、ワイオミング州、コロラド州、ユタ州、ニューメキシコ州)があります
ロッキー山脈は北にも延びていて、アルバータ州とブリティッシュコロンビア州にまたがり、「カナディアンローッキー」とよばれています

アメリカの地図を広げて、これらの都市がどこにあるかチェックしてみてください
東海岸に位置する都市は、ニューヨークとオーランド
東海岸に位置するのは、シアトルとサンディエゴ
また、ミシシッピー川の河口にある町がニューオリンズです
そして、おそらく中学校の授業で習っているはずの、ロッキー山脈やアパラチア山脈、グレートプレーンズの場所も見つけてください

アメリカ本土は、ミシシッピー川から西を西部、それより東を東部と表現します
そしてアパラチア山脈は、東海岸線沿いに連なる山脈で、一番高いところで2000メートルほどの、美しい丘陵地です
グレートプレーンズは、ロッキー山脈の東に広がる大平原で、ここには北米大陸の多くの恐竜化石産地があります

恐竜に影響をあたえた「大陸の変化」・・・

このグレートプレーンズは今でこそ大草原が広がるエリアですが、じつは恐竜時代は海でした
白亜紀の中期から終わりにかけ、「西部内陸海路」と呼ばれる浅い海が広がっていたのです

東西のティラノ軍団の棲息地・・・

それを踏まえて、北米のティラノ軍団の棲息地をもう一度見てみましょう。

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二軍メンバー

ストケソサウルス(アメリカ西部)
ドリプトサウルス(アメリカ東部)
アパラチオサウルス(アメリカ東部)

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一軍メンバー

リトロナクス(アメリカ西部)
テラトフォネウス(アメリカ西部)
ビスタヒエベルソル(アメリカ西部)
ティラノサウルス(カナダ西部とアメリカ西部)
ダスプレトサウルス(アメリカ西部とカナダ西部)
アルバートサウルス(カナダ西部)
ゴルゴサウルス(アメリカ西部とカナダ西部)

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こうしてならべてみると、二軍は主に東部、ストケソサウルス以外はアパラチア大陸で暮らしていたことがわかります
それが一軍になると、みんな西部のララミディア大陸で活躍しています
おまけにその棲息エリアは、西部内陸海路に面する海岸線に集中していたようなのです

さらに「北派」と「南派」の2グループに・・・
さらにくわしく分布を見てみると、ララミディア大陸の中でも「北派」と「南派」に分かれていたことがわかります

 北派

 ダスプレトサウルス(アメリカ西部とカナダ西部アルバータ州南部)
 アルバートサウルス(カナダ西部アルバータ州南部)
 ゴルゴサウルス(アメリカ西部とカナダ西部アルバータ州南部)
 
 南派

 リトロナクス(アメリカ西部ユタ州南部)
 テラトフォネウス(アメリカ西部ユタ州南部)
 ビスタヒエベルソル(アメリカ西部ニューメキシコ州北西部)
 その両方

 ティラノサウルス(カナダ西部とアメリカ西部)

前述したように、リトロナクスは7990万年~8060万年前にあたるカンパニアン期中期の恐竜です
そして、他のティラノ軍団一軍のメンバーは次の通り

 アルバートサウルス(7200万年~6800万年前)
 ゴルゴサウルス(7700万年~7500万年前)
 ダスプレトサウルス(7800万年~7700万年前)
 テラトフォネウス(7700万年~7600万年前)
 ビスタヒエベルソル(7400万年~7100万年前)
 ズケンティラヌス(7500万年~7400万年前)
 タルボサウルス(7100万年~6800万年前)
 ティラノサウルス(6900万年~6600万年前)
 つまり、リトロナクスは一軍メンバーの中でも最も古い種ということになります

大陸分断によって多様化した・・・

西部内陸海路が広がり、東部(アパラチア大陸)と西部(ララミディア大陸)が分断されたのは、1億年前から9500万年前にかけての時代です
それまで西部には造山運動により、多くの盆地が存在していましたが、分断によって盆地間の交流が絶たれ、その後さまざまな種に分かれ、多様化した結果、多くのティラノ軍団メンバーが誕生します

やがて西部内陸海路の海面が下がり、両大陸間を自由に行き来できるようになったと、この論文の著者は考えています
これが、ティラノサウルスが西部の北から南へと広く分布し、さらに、西部からアジアまで移動するきっかけになったというのです
また、その際にアジアに移動したのが、ズケンティラヌスとタルボサウルスだと考えられています

なんと日本へやってきたメンバーも!・・・
余談ですが、北海道で発見されたカムイサウルス・ジャポニクスの祖先も、北米からアジアへ渡ってきた種のひとつであると私は考えています

ティラノ軍団スターメンバーのズケンティラヌスやタルボサウルスは、獲物となるエドモントサウルスやサウロロフス、カムイサウルスを追いかけて北米からアジアにやってきたのかもしれません

ともあれ、こうした地球環境の変化から、ティラノサウルスの進化にアプローチするのもまた、非常に興味深い視点ではないでしょうか。

(この記事は、現在ビジネスの記事で作りました)

ティラノサウルスは恐竜でも人気があり、最も研究されている恐竜ですが、まだ謎も多い


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posted by june at 03:33| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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