2025年01月30日

『古代中国』8万の兵で100万以上の敵軍を破るも、妃の年齢をからかって殺された皇帝

圧倒的劣勢を覆す、古代中国の戦い

歴史上、少数の軍勢が圧倒的多数の敵軍を打ち破った戦いは、数多く存在する

特に古代中国では、そのような奇跡的な勝利がいくつか記録されている(※以下紹介する兵数については諸説あり)

たとえば、紀元前11世紀の「牧野の戦い」では、周の武王が約40万の軍勢を率い、殷の紂王が指揮する約70万の大軍を撃破した
この戦いでは、殷軍の士気の低下と内部崩壊が周軍の勝利を後押しし、殷王朝の滅亡を決定づけた

紀元前3世紀の「鉅鹿の戦い」では、楚の項羽が約5万の軍勢で、秦の約40万の大軍を迎え撃ち、大勝利を収めた
項羽は「破釜沈舟」の策を講じ、兵士たちの退路を断つことで、死を覚悟した全軍の士気を一気に高めた

三国時代の「赤壁の戦い」では、孫権・劉備の連合軍が約5万の兵で曹操の約20万の大軍を破った
この戦いでは火攻めを駆使した戦術が戦況を覆し、連合軍に勝利をもたらした

しかし、これらの戦いをも超える兵力差を覆した勝利が、東晋時代の淝水の戦い(ひすいのたたかい)である

この戦いでは、東晋の孝武帝のもと、謝安(しゃあん)や謝玄(しゃげん)の指揮により、わずか8万5千ほどの兵で、前秦の苻堅(ふけん)率いる117万以上の大軍を打ち破ったとされている

東晋とは

東晋は、西晋の滅亡後、317年に司馬睿(しばえい)によって江南地域に建てられた王朝である

三国時代(魏・蜀・呉)のうち、最も強大だった魏では、司馬懿(しばい)が実権を握り、その孫の司馬炎(しばえん)が魏を滅ぼして西晋を建国した

しかし、西晋は「八王の乱」と呼ばれる皇族間の権力争いと、北方遊牧民族の侵攻(永嘉の乱)によってわずか50年余りで滅亡する
こうした混乱の中で、中原から多くの人々が南方の江南地域へと逃れた

司馬睿は、西晋の皇族として名義上擁立されつつ、317年に江南で新たな政権を樹立した

これが東晋である

孝武帝とは

孝武帝(司馬曜)は、東晋第9代皇帝である
太元元年(376年)、父である簡文帝が崩御した後、わずか12歳で即位した

幼い皇帝の即位は、宦官や外戚、地方豪族の勢力争いを激化させ、朝廷内外に混乱をもたらした
さらに北方では、前秦の苻堅(ふけん)が南下の機会をうかがっていた

こうした状況の中、国家を支えたのが名宰相・謝安(しゃあん)である

謝安は、先代の簡文帝時代から重臣として活躍し、孝武帝の治世でも朝廷の主導権を握って東晋の安定化を図った

孝武帝が成長し、次第に実権を掌握すると、朝廷の統治体制はさらに強化されていった
この時期、謝安の甥にあたる謝玄(しゃげん)が軍事的な才能を発揮し、東晋の防衛体制を整えた

こうした背景の中で起こったのが「淝水の戦い」である

わずか8万5千ほどの東晋軍が、100万以上もの前秦軍を打ち破ったこの戦いは、東晋の名を後世に刻む一大事件となった

淝水の戦いとは

淝水(ひすい)の戦いは、383年に行われた東晋と前秦の間の戦闘である

前秦は当時、北方を支配し、強大な軍事力を持っていた
苻堅率いる前秦は南下して東晋を征服しようとしたが、東晋軍はその侵攻を約10分の1の寡兵で食い止めた

東晋軍の指揮を執った謝玄は、地形を巧みに利用した

戦場となったのは淝水沿いの平地であり、東晋軍は川を背にして防御を固め、前秦軍の大軍を分断する形で戦った
また、敵の進軍ルートを巧妙に利用し、前秦軍が進撃してくる場所を読み、その後ろや側面を突くことで反撃を加えた

前秦軍は大きな損害を受け、兵士の70〜80%が死傷
苻堅は弟の苻融(ふゆう)を失い、東晋軍の勝利が決定的となった

女性の床で迎えた孝武帝の最期

孝武帝は、東晋を支えるべく奮闘した名君であったが、晩年には酒色に溺れ、支配力を失っていった

太元21年9月庚申(396年11月6日)、孝武帝は後宮の女性たちと酒宴を開いて楽しんでいた

この席で、孝武帝は長らく寵愛していた張貴人に向かって、冗談交じりにこう言った

「お前も年齢的にそろそろお払い箱だな。朕はもう少し若い者が欲しい」

孝武帝にとっては酔っ払っての冗談だったが、張貴人は30歳近い年齢であり、当時の女性としては年齢的に微妙な時期に差し掛かっていた

そのため、張貴人はこの冗談を真に受け「自分が廃されるのではないか」と恐れた

その夜、孝武帝は酔いが回り、深い眠りに落ちた
酒宴を終えた後、張貴人は買収した宦官に命じ、孝武帝の寝所に忍び込ませた

そこで孝武帝は眠っている最中に、厚い布団で息を塞がれ、蒸し殺されてしまったとされる
わずか35歳であった

原文 :
帝戲之曰:「汝以年當廢矣。」貴人潛怒,向夕,帝醉,遂暴崩

意訳 : 「帝は冗談で『お前も年齢的に廃される頃だ』と言った。張貴人は内心で激しく怒りを抱いた。夕方、帝が酔って眠りにつくと、そのまま暴崩した」

『晋書』「帝紀第九」より引用

孝武帝の死後、張貴人は何事もなかったかのように冷静に臣下を呼び集め、「天子様はお休みのところ、にわかにうなされまして、只今息をお引取りになりました」と報告した

驚愕する者もあったが、孝武帝の死はそのまま受け入れられることとなった

その後、孝武帝の後を継いだのは長男の司馬徳宗(安帝)であった

しかし、安帝は極度の精神障害を患っており、実質的な政権はその補佐役であった司馬道子の手に渡ることとなった
東晋の皇族は権力を失い、政治の腐敗と混乱が進行し、ついには滅亡への道を歩み始めた

孝武帝の死は、晩年の堕落と酒色への溺れが引き金となった結果だったと言えるだろう
その最期は、東晋の衰退の象徴となり、後世の歴史に深い影響を与えることとなった

参考 : 『晋書』他
文 / 草の実堂編集部

(この記事は、草の実堂の記事で作りました)

わずか8万あまりで100万以上の敵軍を破った国の皇帝・・・

たしかに軍を指揮したのは皇帝ではありませんが、少数の軍勢が圧倒的多数の敵軍を打ち破った戦いで奇跡的、歴医的勝利です

この皇帝の最期は晩年の堕落と酒色への溺れが引き金となった結果だったと言えるだろう
その最期は、東晋の衰退の象徴となり、後世の歴史に深い影響を与えることとなった

中国古典は人間学の宝庫である

もう少し気のきいた身の処し方、処世術があればこのような結果にならなかったのかも・・・




ビジネスに効く教養としての中国古典 単行本

中国古典には現代にも通じる多くの叡智が詰まっている
ビジネスや実生活に応用できる
特に守屋洋氏の著作は平易でわかりやすく私も愛読しているものが多い
実践的だ
posted by june at 12:32| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

NY株は3営業日ぶりに反落、日経平均株価は4営業日ぶりに反発し大幅上昇

29日(現地時間)のNY株(ダウ平均株価)は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策会合後に売り買いが交錯し、3営業日ぶりに反落し、終値は前日比136ドル83セント安の4万3713ドル52セント

ハイテク株中心のナスダックは101.27ポイント安の1万9632.32

S&P500は28.39ポイント安の6039.31




29日(日本時間)の日経平均株価は4営業日ぶりに反発し、終値は前日比397円91銭高の3万9414円78銭、前日の米株式市場で主要株価指数がそろって上昇した流れを東京市場も引き継ぎ、電機や自動車株など幅広く買われた、日経平均は28日まで3日連続で下落していたこともあり、一時は400円超上昇した、前日に大きく値下がりした半導体関連株を買い戻す動きも出た


(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)

29日の日経平均株価の終値は前日比390円超の大幅上昇
posted by june at 07:10| Comment(0) | 株価動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【世界の恐るべき悪霊伝承】メソポタミアの死神、誘惑する女幽霊、巨人霊

幽霊は恐怖の象徴として語られることが多い

しかし、中には「幽霊よりも生きている人間の方がよほど恐ろしい」と語る人々もいる
人間は戦争や搾取、環境破壊などによって世界中に悪影響を及ぼす存在でもあるからだ

しかし、神話や幻想の世界には、そんな人間の悪意すら凌駕するような極めて悪質な「霊」たちの伝承が数多く残されている

前回に引き続き

『世界の恐るべき悪霊たちの伝説』 〜2000匹の豚に憑りついた悪霊
https://kusanomido.com/study/fushigi/story/99133/

今回も世界に語り継がれる、おぞましき悪霊たちの伝説について解説を行っていく。

1.ガルラ

ガルラ(Galla)は、メソポタミア神話に登場する悪霊である

冥界の女王「エレシュキガル」の忠実な僕であり、飲食を必要とせず、槍や葦筆(葦の茎から作られたペン。古代文明において重宝されていた)のように細長く、鋭利な姿をしているという

ガルラは生者を冥界へと連行する死神のような存在であり、狙った標的はたとえ神であっても決して逃さないことから、大いに恐れられたそうだ

神話では、次のようなエピソードが存在する

(意訳・要約)

ある日、愛と豊穣と戦の女神・イナンナは、冥界に赴くことにした。
(理由は不明。戦争を仕掛けにいったも、単なる気まぐれとも言われている)

しかしイナンナは、冥界の女王エレシュキガルに返り討ちにされ、命を落としてしまう。

その後、部下であるニンシュブルの尽力によって、イナンナは息を吹き返すことに成功した。
だが冥界の掟により、イナンナが現世に戻るためには、誰か一人身代わりを用意しなければならない。

そこでイナンナは、自身の夫であるドゥムジを身代わりに指名した。
他の神々がイナンナの死を悲しむ中、ドゥムジだけは喪に服することもせず、なんだか楽しそうにしていたからだ。

ドゥムジはあれよあれよとガルラに連行され、生きたまま冥界で暮らすことになったのである。

2. チュレル

チュレル(Churel)はインドやネパール、バングラデシュなど、南アジアを中心に伝わる女幽霊である

生理中や妊娠中、出産直後に亡くなった女性が、チュレルに変容するとされた

その姿は地域によって異なり、垂れた乳・膨らんだ腹・黒い舌などを持つ、醜い鬼婆のように語られることもあれば、容姿端麗だが口がなく、下半身が前後逆になっている異形として語られることもある

南アジアではポピュラーな幽霊の一つであり、様々な伝承が世に伝わっている
典型的な話として、美しい女性に化けたチュレルが男を誘惑するというものが挙げられる

その妖艶な魅力に抗える者は少なく、健全な男性であれば、つい誘いに乗ってしまうのは想像に難くない

だが、いざベッドインという時に、チュレルは本性である醜い怪物の姿に戻り、男の血や精気を吸い取って殺すのだという

3.ベイコク

ベイコク(Baykok)はアメリカの先住民族、オジブワ族の伝承に登場する悪霊である

五大湖周辺の森林を根城としており、その姿は骸骨のように痩せ細っているという

アメリカの詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー(1807~1882年)は、小説『ハイアワサの歌』において、インディアン神話を基にした数々のキャラクターを描いている
その中で「ベイコク」は、赤く輝く目と半透明の皮膚を持つ怪物として描かれている

ベイコクは血に飢えた殺人狂であり、金切り声を上げながら森の中を飛び回っているという
獲物を見つけると、こん棒で殴りかかったり、不可視の矢を射るなどの方法で殺害する

その後、犠牲者の内臓を引き摺り出し、ムシャムシャと貪り喰らうのだそうだ

4.ハントゥ・ティンギ

マレーシアでは、妖怪や幽霊を総じて「ハントゥ」と言い表すそうだ

その中でも「悪霊」と呼ぶに相応しい存在として、ハントゥ・ティンギ(Hantu Tinggi)が挙げられる

この悪霊は、ボルネオ島の森林に生息しているという

背が異常に高く、その身長は3m程とも、あるいは太陽に届かんばかりの体躯を持つとも伝えられている
基本的に目に見えない不可視の存在であるが、稀にその姿が目撃されることがあるという
だがその場合、目撃者はたちまち病気になってしまうとのことだ

ボルネオの森では時折、巨木がメキメキと倒れるような轟音が響き渡る
しかし音が鳴る方へ行ってみると、不思議にも木は1本も倒れていない

これは、ハントゥ・ティンギが寝転がった際に発せられる音が、木が倒れる音に似ているからだとされる

5. アバーシ

アバーシ(Abasy)はシベリアの先住民族、ヤクート人の伝承に登場する妖怪である

闇の世界に潜む悪霊の一群であり、人間に害を為すために、しばしば地上に這い出てくると伝えられている

その姿は様々であり、目・腕・足がそれぞれ一つしかない怪物とも、3の頭と6本の手足を持つ、鉄の巨人ともいわれている
また、異形のドラゴンに騎乗して現れることもあったそうだ

アバーシは病気や狂気、異常性欲を引き起こす存在として、大変忌み嫌われていたという

現代のヤクート人社会においても、アバーシはネガティブさの象徴とされ、「憎い・嫌い」などを意味する「абааһы көр(アバーシを見る)」という言葉が、日常会話で使われているとのことだ

参考 : 『神魔精妖名辞典』『ファンタジィ図鑑』他
文 / 草の実堂編集部

(この記事は、草の実堂の記事で作りました)

世界には多くの恐るべき悪霊伝承ってあるんですね




世界の妖怪大図鑑 (講談社ポケット百科シリーズ) 文庫

妖怪マンガの第一人者・水木しげる氏の描いた世界の妖怪大図鑑
posted by june at 04:25| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする