ハイイロオオカミ
一般的にオオカミと言えばハイイロオオカミのことを指し、別名タイリクオオカミとも呼ばれます
オオカミの仲間は群れで行動し、通常、狩りは夕方から夜にかけて行われます
獲物を探して一晩中歩き回り、朝、巣穴に戻ってきます
また、ハイイロオオカミは嗅覚に優れ、数km離れた場所にいる獲物のにおいをかぎあてることができます
そして、そのにおいをたどりながら獲物を探し出すのです
狩りは群れで行われ、リーダーを中心に、4~5頭が狩りの主軸を担います
移動距離は200kmに達することもあり、歩くスピードは時速8km程度で、それほど速くはありませんが、ひとたび獲物を見つけるや猛スピードで走り、最高時速は55~70kmにも達します
持久力もあり、トップスピードを保ったまま、約20分間にわたって走り続けることができるため、狙われた獲物がハイイロオオカミの追撃から逃れるのは至難の業です
必死で逃げ続ける獲物に疲れが見えてくると、ハイイロオオカミはその機を逃さず飛びかかり、尻や脇腹、肩に噛みついて動きを止め、首や鼻に噛みつき、トドメを刺します
このように執念深く狩りをする一方で、獲物に弱っている部分がなく、少し追ってみて距離を縮めることが難しいと見るや、あまり深追いせずに狩りを中断します
ハイイロオオカミは賢く、確実に捕まえるため手に入れられる可能性が高くなければ時間や労力の無駄と言わんばかりに、早々に撤収を決断するのです
そのため、ハイイロオオカミの狩りの成功率は意外と低く10%程度です
数日間獲物にありつけないこともあるため、一度に大量の10kg近い肉を食べることもあります
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話』
監修:今泉忠明 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ
上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長
著書も多数
(この記事は、ラブすぽの記事で作りました)
ハイイロオオカミは嗅覚に優れ持久力もあり執念深く狩りをするのに、成功率10%と低い理由
獲物に弱っている部分がなく、少し追ってみて距離を縮めることが難しいと見るや、あまり深追いせずに狩りを中断します
ハイイロオオカミは賢く、確実に捕まえるため手に入れられる可能性が高くなければ時間や労力の無駄と言わんばかりに、早々に撤収を決断するのです
そのため、ハイイロオオカミの狩りの成功率は意外と低く10%程度です
眠れなくなるほど面白い 図解 ハンター生物の話: 生きるために進化した生物たちの狩りワザを解説! 単行本
陸・海・空のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介
私は動物に興味があり今泉忠明氏の関連本も多く愛読しました
2025年01月12日
なぜクリスマスツリーを飾るのか?【実は北欧神話に起源があった?】
世の中にはクリスマスを連想させる様々なアイテムがあるが、クリスマスツリーはその最たるものだろう
しかし、世の中には意味を持たないものなどほとんど無いわけで、このクリスマスツリーというシンボルも本来はクリスマスムードを演出するだけの装飾ではない。
飾るオーナメント1つ1つにも、れっきとした意味がある
なぜクリスマスにクリスマスツリーを飾るようになったのか、クリスマスツリーとそれぞれのオーナメントにはどんな意味があるのか
今回は、クリスマスツリーに関する雑学や歴史について紹介しよう
クリスマスツリーの由来
ご存じの通り、クリスマスはキリストの降誕を記念する祝祭である
しかし、クリスマスの最もシンボリックなアイテムともいえるクリスマスツリーは、実は元々はキリスト教に由来するものではない
クリスマスツリーの原型には諸説あるが、有力なのは古代ゲルマン民族が行っていた「ユール」という祭に由来するという説である
「ユール」は冬至を祝う祭で、10世紀頃に記された文献にその名が登場し始める
冬至は1年のうちで最も太陽が出る時間が短くなる日であり、冬至を境にして夏至の日まで、日照時間は徐々に長くなっていく
キリスト教が世界的に信仰されるようになる以前、北欧の人々は冬至を「太陽が再び強い生命を持ち始める日」として祝い、北欧神話の最高神オーディンに猪や豚、ビールなどの捧げ物をしていた
この「ユール」のシンボルとして使われていたのがブナ科の常緑樹である樫の木だ
北欧の厳しい冬でも青々と葉を茂らす樫の木は、永遠の生命の象徴として信仰されていたのだという
やがて、北欧や北ヨーロッパにもキリスト教が進出し、古代ゲルマン民族が信仰の対象としていた樫の木は、民衆の目前でキリスト教の聖人の手によって切り倒された
『オーディンの樫の木』
そしてキリスト教において「神の永遠の愛」や「キリストが与える永遠の命」、さらに三角錐上の形から「三位一体」を象徴するもみの木が、樫の木にかわる新しい信仰の対象として差し出された
その後「ユール」はキリスト教と融合して、「キリストの降誕日」として祝われるようになったのである
英語では「キリストのミサ」という意味を持つ「クリスマス」だが、現在でもスウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語では「JUL(ユール)」、フィンランド語では「joulu(ヨウル) 」と呼ばれている
ドイツでは中世後期頃から、もみの木を用いたクリスマスツリーがキリスト教施設で飾られるようになった
それからクリスマスツリーを飾る文化は、ドイツ国内で徐々に広まっていく
イギリスのヴィクトリア女王がドイツ出身の夫のアルバートに教えられたクリスマスツリーを王室で飾り、その版画がロンドン新聞に掲載されたことから、1860年代から一般にも広まったという
クリスマスツリーとオーナメントが持つ意味
ここからは、中世以降から現代におけるクリスマスツリーの意味や、オーナメントの意味について解説していこう
北欧の樹木信仰に端を発し、やがてキリスト降誕日の祝祭のシンボルとなったクリスマスツリーは、旧約聖書に登場する「知恵の樹」を象徴するものとしてみなされるようになった
クリスマスツリー本体には伝統的にヨーロッパモミが使われてきたが、現代では樹種に決まりがあるわけではなく、ドイツトウヒやヨーロッパアカマツなど、各国で手に入れやすい常緑針葉樹の幼木が用いられている
通常、クリスマスツリーの頂点には星の形をしたオーナメントが飾られるが、これはキリスト降誕を東方三博士に知らせた「ベツレヘムの星」を意味している
イギリスでは星の代わりに天使のオーナメントを飾ることも多く、この天使は聖母マリアに受胎告知を行った「ガブリエル」を象徴するものだ
オーナメントボールと呼ばれる球体の飾りは、アダムとイブが食べてしまった知恵の実を象徴する飾りで、元々はリンゴの果実が用いられていた
ステッキの形をしたキャンディは「キャンディケイン」と呼ばれ、人型を模した焼き菓子「ジンジャーブレッドマン」とともに飾られることが多い
先が曲がったキャンディケインの起源は、ドイツのケルン大聖堂の聖歌隊隊長が羊飼いの杖の形を模した飴を子供たちに配ったからという説や、ユールの木に吊るしやすいようにするためという説があるが、確かな記録は今のところ見つかっていない
そもそもクリスマスツリーになぜ、お菓子などの食べ物を飾るのか疑問に思う人もいるかもしれない
一説には最古のクリスマスツリーは、1419年にドイツ・フライブルクのパン職人が精霊救貧院に飾ったものであるとされており、そのツリーにはリンゴの実と、星やハート、花の形を象った焼き菓子(ペストリー)、白いキャンディケインが飾られていたと伝えられている
これにも由来は諸説あるが、ユールでは信仰の対象である樫の木に食べ物を供物として捧げていた
そこにキリスト教の聖体拝領が結びつき、クリスマスツリーの飾りにお菓子や飴などの食べ物が飾られるようになったのではないかとも考えられている
クリスマスベルと呼ばれる鐘や鈴は、キリストの誕生を人々に知らせた喜びの鐘の音にちなんでおり、悪しきものを遠ざける魔除けの意味も持つ
靴下やクリスマスプレゼントは、聖ニコラウスの伝説に由来し、
【サンタの起源となった聖人】 聖ニコラウスの伝説 ~塩漬けにされた3人の幼子が蘇る
https://kusanomido.com/study/overseas/76714/
今は電飾が代わりに用いられることが多くなったキャンドルは、この世に光をもたらすキリストの存在を象徴している。教会で使用されるキャンドルの原料は蜜蠟で、蜜蝋は純潔の象徴とされるものである
クリスマスツリーにキャンドルを飾り始めたのは、ドイツの宗教改革者でプロテスタントでもあったマルティン・ルターだともいわれている
このように、クリスマスツリーやツリーに飾るものにはそれぞれ意味がある
日本では季節を感じさせるインテリアとして用いられることがほとんどだが、意味や込められた願いを知るとまた、違う視点からクリスマスツリーを眺めることができるのではないだろうか
参考 :
若林ひとみ (著) 『クリスマスの文化史』
タラ・ムーア (著), 大島 力 (監修), 黒木 章人 (翻訳)
『図説 クリスマス全史:起源・慣習から世界の祝祭となるまで』
文 / 北森詩乃 校正 / 草の実堂編集部
(この記事は、草の実堂の記事で作りました)
クリスマスツリーや飾りは北欧神話が起源で意味もあったのですね
クリスマスを違った視点でも楽しめます
図説 クリスマス全史:起源・慣習から世界の祝祭となるまで 単行本
クリスマスの起源・慣習・発展を歴史・宗教・政治・文化などからひもとく
クリスマスをより理解し、楽しめる
しかし、世の中には意味を持たないものなどほとんど無いわけで、このクリスマスツリーというシンボルも本来はクリスマスムードを演出するだけの装飾ではない。
飾るオーナメント1つ1つにも、れっきとした意味がある
なぜクリスマスにクリスマスツリーを飾るようになったのか、クリスマスツリーとそれぞれのオーナメントにはどんな意味があるのか
今回は、クリスマスツリーに関する雑学や歴史について紹介しよう
クリスマスツリーの由来
ご存じの通り、クリスマスはキリストの降誕を記念する祝祭である
しかし、クリスマスの最もシンボリックなアイテムともいえるクリスマスツリーは、実は元々はキリスト教に由来するものではない
クリスマスツリーの原型には諸説あるが、有力なのは古代ゲルマン民族が行っていた「ユール」という祭に由来するという説である
「ユール」は冬至を祝う祭で、10世紀頃に記された文献にその名が登場し始める
冬至は1年のうちで最も太陽が出る時間が短くなる日であり、冬至を境にして夏至の日まで、日照時間は徐々に長くなっていく
キリスト教が世界的に信仰されるようになる以前、北欧の人々は冬至を「太陽が再び強い生命を持ち始める日」として祝い、北欧神話の最高神オーディンに猪や豚、ビールなどの捧げ物をしていた
この「ユール」のシンボルとして使われていたのがブナ科の常緑樹である樫の木だ
北欧の厳しい冬でも青々と葉を茂らす樫の木は、永遠の生命の象徴として信仰されていたのだという
やがて、北欧や北ヨーロッパにもキリスト教が進出し、古代ゲルマン民族が信仰の対象としていた樫の木は、民衆の目前でキリスト教の聖人の手によって切り倒された
『オーディンの樫の木』
そしてキリスト教において「神の永遠の愛」や「キリストが与える永遠の命」、さらに三角錐上の形から「三位一体」を象徴するもみの木が、樫の木にかわる新しい信仰の対象として差し出された
その後「ユール」はキリスト教と融合して、「キリストの降誕日」として祝われるようになったのである
英語では「キリストのミサ」という意味を持つ「クリスマス」だが、現在でもスウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語では「JUL(ユール)」、フィンランド語では「joulu(ヨウル) 」と呼ばれている
ドイツでは中世後期頃から、もみの木を用いたクリスマスツリーがキリスト教施設で飾られるようになった
それからクリスマスツリーを飾る文化は、ドイツ国内で徐々に広まっていく
イギリスのヴィクトリア女王がドイツ出身の夫のアルバートに教えられたクリスマスツリーを王室で飾り、その版画がロンドン新聞に掲載されたことから、1860年代から一般にも広まったという
クリスマスツリーとオーナメントが持つ意味
ここからは、中世以降から現代におけるクリスマスツリーの意味や、オーナメントの意味について解説していこう
北欧の樹木信仰に端を発し、やがてキリスト降誕日の祝祭のシンボルとなったクリスマスツリーは、旧約聖書に登場する「知恵の樹」を象徴するものとしてみなされるようになった
クリスマスツリー本体には伝統的にヨーロッパモミが使われてきたが、現代では樹種に決まりがあるわけではなく、ドイツトウヒやヨーロッパアカマツなど、各国で手に入れやすい常緑針葉樹の幼木が用いられている
通常、クリスマスツリーの頂点には星の形をしたオーナメントが飾られるが、これはキリスト降誕を東方三博士に知らせた「ベツレヘムの星」を意味している
イギリスでは星の代わりに天使のオーナメントを飾ることも多く、この天使は聖母マリアに受胎告知を行った「ガブリエル」を象徴するものだ
オーナメントボールと呼ばれる球体の飾りは、アダムとイブが食べてしまった知恵の実を象徴する飾りで、元々はリンゴの果実が用いられていた
ステッキの形をしたキャンディは「キャンディケイン」と呼ばれ、人型を模した焼き菓子「ジンジャーブレッドマン」とともに飾られることが多い
先が曲がったキャンディケインの起源は、ドイツのケルン大聖堂の聖歌隊隊長が羊飼いの杖の形を模した飴を子供たちに配ったからという説や、ユールの木に吊るしやすいようにするためという説があるが、確かな記録は今のところ見つかっていない
そもそもクリスマスツリーになぜ、お菓子などの食べ物を飾るのか疑問に思う人もいるかもしれない
一説には最古のクリスマスツリーは、1419年にドイツ・フライブルクのパン職人が精霊救貧院に飾ったものであるとされており、そのツリーにはリンゴの実と、星やハート、花の形を象った焼き菓子(ペストリー)、白いキャンディケインが飾られていたと伝えられている
これにも由来は諸説あるが、ユールでは信仰の対象である樫の木に食べ物を供物として捧げていた
そこにキリスト教の聖体拝領が結びつき、クリスマスツリーの飾りにお菓子や飴などの食べ物が飾られるようになったのではないかとも考えられている
クリスマスベルと呼ばれる鐘や鈴は、キリストの誕生を人々に知らせた喜びの鐘の音にちなんでおり、悪しきものを遠ざける魔除けの意味も持つ
靴下やクリスマスプレゼントは、聖ニコラウスの伝説に由来し、
【サンタの起源となった聖人】 聖ニコラウスの伝説 ~塩漬けにされた3人の幼子が蘇る
https://kusanomido.com/study/overseas/76714/
今は電飾が代わりに用いられることが多くなったキャンドルは、この世に光をもたらすキリストの存在を象徴している。教会で使用されるキャンドルの原料は蜜蠟で、蜜蝋は純潔の象徴とされるものである
クリスマスツリーにキャンドルを飾り始めたのは、ドイツの宗教改革者でプロテスタントでもあったマルティン・ルターだともいわれている
このように、クリスマスツリーやツリーに飾るものにはそれぞれ意味がある
日本では季節を感じさせるインテリアとして用いられることがほとんどだが、意味や込められた願いを知るとまた、違う視点からクリスマスツリーを眺めることができるのではないだろうか
参考 :
若林ひとみ (著) 『クリスマスの文化史』
タラ・ムーア (著), 大島 力 (監修), 黒木 章人 (翻訳)
『図説 クリスマス全史:起源・慣習から世界の祝祭となるまで』
文 / 北森詩乃 校正 / 草の実堂編集部
(この記事は、草の実堂の記事で作りました)
クリスマスツリーや飾りは北欧神話が起源で意味もあったのですね
クリスマスを違った視点でも楽しめます
図説 クリスマス全史:起源・慣習から世界の祝祭となるまで 単行本
クリスマスの起源・慣習・発展を歴史・宗教・政治・文化などからひもとく
クリスマスをより理解し、楽しめる