古代ギリシア・ローマの人々にとって魔術は身近なものだった
媚薬をつくり、気に入らない人に呪いをかけ、死者と対話し、悪霊から身を守る魔術や呪術は暮らしの中にあった
文献と史実からひもとく魔術的日常を記した書籍『古代ギリシア・ローマの魔術のある日常』から、まえがきを公開します
◆古代の魔術を知る
古代の魔術を学ぶためには、まずは「超常現象」のことを忘れよう
古代世界に超常現象というものはなかった
不可思議なものが存在しなかったからではなく、あらゆるものが不可思議だったからである
古代世界は神秘的だった
つまり「神の力にあふれていた」のだ
自然は魔術で満ちていた
花は魔術のように実に変わり、毛虫は魔術のように蝶に変身した
魔術によって雲に充満したエネルギーには、狙いすました雷の一撃で家を破壊できるほどの力があった
自然はまさに「超自然的」だった
ギリシア人やローマ人にとって「魔術」とは、求める結果を得るために自然の力を利用することだったのだ
ドングリを植え、水と時間の力を利用してオークの木を作り出すのは、魔術のなせる業だった
だから、立派なオークの木(木の精〔ドリュアデス〕を備えたもの)を生み出せたなら、きっとどんな魔術師でも鼻高々だったに違いない
もちろん、実行するために複雑な儀式や決まり文句を必要とする魔術もある
必ず成功するとは限らなかった――とはいえ、同じことはパンを焼く場合にも言える
古代人はイーストが何か知らなかったにもかかわらず、どうしたらパンをおいしく焼けるかは知っていた
魔術をかけるのも、パンを焼くのも、基本的な原理に変わりはない
材料を集め、適切な条件で混ぜ合わせ、それらが相互作用するのを期待に胸躍らせて待つ
材料のことはだいたい理解していても、それらがどんなふうに作用するかは理解していない
召喚する対象が乳酸菌ラクトバチルス・サンフランシセンシスであろうが、地下にいる「ヘルメスの霊魂」ヘルメス・トリスメギストス(三重の偉大なヘルメス)であろうが、そんなことは関係ない
どちらも魔術的な存在なのである
世界はそんな存在だらけだった
庭一つ一つに何十もが棲息していた
あらゆる木には精が宿り、あらゆる池には精霊(ニュムペー)が棲み、海の精ネレイスたちは海辺の波間で戯れていた
それに加えて、現在ではありふれた動物と考えられている魔法の生き物がいた――イタチ、キツツキ、狼など
あらゆる自然の場所には、その地の雰囲気を生み出す自然の力、地霊ゲニウス・ロキがいた
魔術を実行するのに大切なのは、そういった力――神秘的で目には見えないが現実に存在している力――を利用できる能力を持つことだった
だからこそ、「超常現象」を忘れることから始めるべきなのだ
しかし、古代世界における魔術を理解するに当たって、忘れるべきことはもっと多くある
現代の世界、とりわけ西洋では、目に見えない力を扱うのは長らく宗教の専売特許だった
けれども古代では、宗教の独占ではなかった
たいていの場合、宗教とは国家が推奨し市民が義務として奉じるもので、人間と神の間を取り持っていた
だが、神々を人間のように扱って、宇宙がどのように生まれてどんなふうに機能しているかを説明するのは、神話の役割だった
そして一般の人々は、目に見えないものと直接交流するために魔術を利用した
古代とは、神々が人間と同じく空間と時間の産物である世界、人間が精霊や神々と話すのみならず、人間自身が神になることもある世界なのだ
要するに、あらゆることが可能である世界を想像すればいい
それが、古代という魔術に満ちた世界である
こうした世界観は一見突飛に思えるかもしれないが、実はそうでもない
カオス理論や量子効果に関する最近の研究によれば、あらゆることが予測可能、理解可能なわけではない
「現実」は、我々が認識しているものとはまったく異なっているかもしれない
本書が探求しているのは、そうした「別の現実」の一つだ
惚れ薬を作ったり、呪いをかけたり、死者と話したりすることが可能な現実である
本書を読めば、邪悪な霊を見つけて追い払う方法、人狼や吸血鬼を避ける方法がわかるだろう
とはいえ、何かのやり方を「知っている」からといって、それを「行うべき」というわけではないのは強調しておきたい
古代ローマ人は、庭でトリカブトを栽培する人間を見つけたら問答無用で殺した
この一見無害な植物からは、きわめて容易に猛毒を作り出せるからだ
古代人は、禁断の魔術を使っている疑いのある人間を即座に裁く――そして罰する――ことが多かった
それは、魔術を理解していないからでも、「超常現象」を恐れていたからでもなく、ある種の活動はそもそも反社会的、あるいは途方もなく危険であり、断固として阻止する必要があったからである
今日でもそれは同じだ
ほとんどの西洋社会において、魔女や魔術師を自称するのは違法ではない
しかし今でも、魔術の中には、きわめて非合法的で、実践する本人や周囲の者にとって危険なものがある
たとえば、本書には古代人が神霊などの霊を冥界から呼び出した方法が書かれているが、読者諸君は決してそんな儀式を自宅で行わないでほしい
実験が失敗して、せいぜい時間とバケツ何杯分かの羊の血が無駄になる程度でおさまるかもしれない
だが最悪の場合は――成功するかもしれないのだ
[書き手]フィリップ・マティザック(古代ローマ史研究者)
オックスフォード大学セントジョンズ・カレッジにおいてローマ史で博士号を取得
ケンブリッジ大学成人教育校のeラーニングコースで古代ローマ史を教えている
邦訳書に『古代ローマ旅行ガイド』『古代アテネ旅行ガイド』『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』『古代ローマ歴代誌』『古代ローマの日常生活』がある
[書籍情報]『古代ギリシア・ローマの魔術のある日常』
著者:フィリップ・マティザック / 翻訳:上京 恵 / 出版社:原書房 / 発売日:2024年09月25日 /ISBN :4562074663
(この記事は、ALL REVIEWSの記事で作りました)
古代(ここではギリシア・ローマ人)にとって「超常現象」や「魔術」などは普通の「日常」だった
「超常現象」は「自然」であり、「魔術」の類は普通にあふれていた
この書では魔術使用の危険性、注意もしている
古代ギリシア・ローマの魔術のある日常 単行本
古代ギリシア・ローマには魔術があふれていた
この「魔術的日常」世界をひもとく
2024年12月19日
NY株は10営業日続落、日経平均株価は4営業日続落
18日(現地時間)のNY株(ダウ平均株価)は、1974年ぶり約50年ぶりの10営業日続落し、終値は前日比1123ドル03セント安の4万2326ドル87セント
ハイテク株中心のナスダックは716.37ポイント安の1万9392.69
S&P500は178.45ポイント安の5872.16
18日(日本時間)の日経平均株価は4営業日続落し、終値は前日比282円97銭安の3万9081円71銭
(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)
18日のダウ平均株価の終値は前日比1120ドル超の大幅下落
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(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)
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水や氷の粒からできている「雲」の謎。なぜ、空から落ちてこないのか?
地球上で起きていること、どれだけ知っている?
この地球で当たり前に感じていることでも、うまく説明できないことがありますよね
例えば、「青い空が夕暮れに赤く染まるのはなぜ?」「台風が日本列島めがけてやってくる理由は?」
そんな地球に生きる私たちが知っておくべき「理系雑学」をご紹介します
太陽系を含む地球の歴史をはじめ、地球上で成立した大自然や気候、動植物、資源など、地球をめぐる大疑問にスッキリ回答!
あらためて考えると、私たちはこの地球にまつわるさまざまなことを、じつはほとんど知らないのかもしれないかもしれません
※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました
水や氷の粒からできている「雲」は、なぜ空に浮かんでいられるの?
雲は、水や氷の粒といった雲粒からできているはずなのに、なぜ空中に浮かんでいることができるのか
この謎に頭を悩ませていたのは、なにも現代に生きる我々だけではないようだ
たとえば、ハレー彗星の軌道計算などで知られている、イギリスの天文学者エドモンド・ハレーもその一人
ハレーは1691年に発表した論文で、雲が落ちてこない理由を、「水の原子が熱によって膨張し、泡になることで、空気よりも軽くなることから上昇する」と説明している
しかし、現在では熱で原子が膨張することはないことは常識になっている
ハレーの説明は間違っていたわけだが、ハレーが生きていた当時、原子や分子の性質がまだ明らかになっていなかったことを考えると、このように認識したとしても無理はない
事実、その時代の多くの人々にも、ハレーの説明は受け入れられた
では、なぜ雲が落ちてこないのかというと、じつは雲粒は落下しているのだ
ところが、あまりにもゆっくりと落下しているために、人間の目では観測することができないのである
雲粒の直径は約0.02ミリメートルで、その落下速度は秒速約1センチメートル
つまり、雲の高さを1000メートルとすると、地上に落下するまでに28時間近くかかる計算になる
そして、実際に雲粒が地上に落ちてくることはない
あまりにも小さいため、落下するあいだに蒸発してしまうか、あるいは、いちばん小さな雨粒の1000分の1くらいの重さしかないことから、雲の下に発生する上昇気流によって、再び上空へと吹き上げられてしまうのだ
著=雑学総研/『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
(この記事は、レタスクラブの記事で作りました)
実は雲粒も落下しているという
しかし、あまりにもゆっくりと落下しているために、人間の目では観測することができないのである
雲粒の直径は約0.02ミリメートルで、その落下速度は秒速約1センチメートル
つまり、雲の高さを1000メートルとすると、地上に落下するまでに28時間近くかかる計算になる
そして、実際に雲粒が地上に落ちてくることはない
あまりにも小さいため、落下するあいだに蒸発してしまうか、あるいは、いちばん小さな雨粒の1000分の1くらいの重さしかないことから、雲の下に発生する上昇気流によって、再び上空へと吹き上げられてしまうのだそうだ
人類なら知っておきたい 地球の雑学 (中経の文庫) 文庫
地球(を含めた宇宙)には謎や不思議、ギモンが多くあります
空はなぜ青く、夕焼けは赤いのだろうか!?とか・・・
そんな「理系雑学」を楽しくわかりやすく解説
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※本記事は雑学総研著の書籍『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から一部抜粋・編集しました
水や氷の粒からできている「雲」は、なぜ空に浮かんでいられるの?
雲は、水や氷の粒といった雲粒からできているはずなのに、なぜ空中に浮かんでいることができるのか
この謎に頭を悩ませていたのは、なにも現代に生きる我々だけではないようだ
たとえば、ハレー彗星の軌道計算などで知られている、イギリスの天文学者エドモンド・ハレーもその一人
ハレーは1691年に発表した論文で、雲が落ちてこない理由を、「水の原子が熱によって膨張し、泡になることで、空気よりも軽くなることから上昇する」と説明している
しかし、現在では熱で原子が膨張することはないことは常識になっている
ハレーの説明は間違っていたわけだが、ハレーが生きていた当時、原子や分子の性質がまだ明らかになっていなかったことを考えると、このように認識したとしても無理はない
事実、その時代の多くの人々にも、ハレーの説明は受け入れられた
では、なぜ雲が落ちてこないのかというと、じつは雲粒は落下しているのだ
ところが、あまりにもゆっくりと落下しているために、人間の目では観測することができないのである
雲粒の直径は約0.02ミリメートルで、その落下速度は秒速約1センチメートル
つまり、雲の高さを1000メートルとすると、地上に落下するまでに28時間近くかかる計算になる
そして、実際に雲粒が地上に落ちてくることはない
あまりにも小さいため、落下するあいだに蒸発してしまうか、あるいは、いちばん小さな雨粒の1000分の1くらいの重さしかないことから、雲の下に発生する上昇気流によって、再び上空へと吹き上げられてしまうのだ
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しかし、あまりにもゆっくりと落下しているために、人間の目では観測することができないのである
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つまり、雲の高さを1000メートルとすると、地上に落下するまでに28時間近くかかる計算になる
そして、実際に雲粒が地上に落ちてくることはない
あまりにも小さいため、落下するあいだに蒸発してしまうか、あるいは、いちばん小さな雨粒の1000分の1くらいの重さしかないことから、雲の下に発生する上昇気流によって、再び上空へと吹き上げられてしまうのだそうだ
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