2024年09月15日

光より速い素粒子「タキオン」は“存在可能”かも

光速を超えることは理論的に可能?

真空中における光の速度は秒速29万9792.458km(約30万km)
1秒間に地球を7周半できる速さです

これは宇宙最速であり、ほかのいかなるものにも超えることができない速度であると、アインシュタインが特殊相対性理論において提唱しましたよね

けれども、「もしも光速を超える速度で移動できる物体があったとしたら」という仮定に基づいた幻の素粒子も、物理学上定義されています(ほとんどの物理学者は存在しないと考えているらしいですけど)

タキオンとは
それがタキオン(tachyon)
語源であるギリシャ語(tachy)は「速い」を意味しています

常に光の速さを超える速度で動いているとされる仮想的な粒子ですが、タキオンがこれまで実際に観測された例はなく、あくまで理論上考えられうるものとして扱われてきました

タキオンは存在しうるのか
アクシオン(axion)や暗黒光子(dark photon)など、この宇宙を構成しているであろうと仮定されている多くの素粒子と同様に、タキオンが存在する証拠はまだ見つかっていません

ですが、もしもタキオンが存在していたのなら、素粒子物理学や場の理論上における問題を解くカギになるだろうと信じている物理学者もいます

そんな学者たちにとって希望の光となりそうなのが、Physical Review D誌上に最近発表されたある論文です

なんでも、ワルシャワ大学の研究者によれば、特殊相対性理論とタキオンの存在とは理論上矛盾しないとのこと
矛盾しないとは、すなわち存在している可能性も高まったということになります

タキオンの矛盾点
タキオンが存在しないだろうと言われてきた理由はいくつかあるそうです

一つめは、「タキオン場」と呼ばれる虚数の質量を持つ量子場は、基底状態が不安定だとされているため

二つめは、もしもタキオンを観測できたとしたら、観測者の位置によって観測されるタキオンの数が異なって見えてしまうため。

また三つめは、タキオン粒子の持つエネルギーが負の値を取る可能性があるためで

タキオンは数学的に矛盾しない?
これらの矛盾点に対して、ワルシャワ大学の研究チームはタキオンの観測時において初期状態と最終状態のどちらをも把握することによって解決すると論じています

そのような場合においてならタキオンの仮説は数学的に矛盾しないそう・・・なのですが、残念ながら訳者にはサッパリ

新たな種類の「量子もつれ」
今回の研究の成果は、もうひとつあったそうです

タキオンの矛盾点について研究を進めていく上で想起されたのは、過去と未来をごちゃ混ぜにする類の量子もつれ
従来の量子理論においては存在しなかったものでした

「過去が現在に影響するかわりに未来が現在に影響しうるというアイデア自体は、物理学においてなんら新しいものではありません」とワルシャワ大学の物理学者・Anrej Dragan氏は説明しています
さらに、「このような見解は決して一般的ではなかったんですが、今回においては理論上この結論に至らざるを得ない状況となりました」と話しているのも興味深いですね

因果律の崩壊
もしもタキオンが存在していて、タキオンに乗せて光よりも速く信号を送ることができたとしたら、未来から過去へ情報を伝えることもできてしまうことになります

そうなると、「過去の原因によって現在の結果が生じている」という、わたしたちの世界においてこれまで当たり前だった因果律が崩壊してしまうことになります

これまではアインシュタインの特殊相対性理論をベースにしてこの世界の「当たり前」が説明されてきました
もしもタキオンのように光よりも速く動く物体が存在したとしたら、この世界の当たり前はすべて考え直されなくてはならなくなります

そう考えると、なんだかワクワクしますね
タイムトラベルも、時空ワープも、映画の世界の中だけだと思っていたことが現実に起こりうるかもしれないのですから

Reference: Telescope Magazine, University of WarsawImage: Pixabay, Wikipedia

(この記事は、GIZMODOの記事で作りました)

超光速粒子・タキオンはまだ見つかっておらず、あくまで想像上の仮想粒子です

本記事での論文では、タキオンの存在の可能性もあるとされていますが、はたして!?

もし存在すれば、ある意味、相対性理論を超えた理論です

ちなみに日本の競走馬にこの超光速粒子の名を由来にした4戦無敗で皐月賞を制しながらケガで現役引退、種牡馬でも活躍しながら早世した伝説の名馬・アグネスタキオンがいます




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超光速粒子・タキオンは存在するのか!?
存在すれば、タイムトラベルも可能かも・・・ある意味相対性理論を超えたことにも・・・
posted by june at 12:18| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ガリレオでもニュートンでもない 物理学の発展に大貢献した天文学者

地動説は科学的な見地からどのように立証されたのか
カリフォルニア大学バークレー校教授で理論物理学者の野村泰紀さんは「コペルニクスが唱えた地動説において、惑星の軌道は“円”だと考えられていたが、それでは地動説による予測結果と観測結果が完全には一致しなかった。そこに『惑星の軌道は円ではなく、楕円である』という『ケプラーの第1法則』を発見し、ニュートンにも大きな影響を与えたのが天文学者のケプラーである」という――

※本稿は、野村泰紀『なぜ重力は存在するのか』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

■ニュートン力学に大きな影響を与えた天文学者

古典物理学の歴史は、ガリレオに始まり、イギリスの数学者で物理学者、天文学者のニュートンが完成させた「ニュートン力学」で結実しますガリレオが重力による落下運動の法則を明らかにし、ニュートンが重力があらゆる物体に働く普遍的な力であることを明らかにしたのです

ガリレオとニュートンの「スーパー巨人」2人だけを押さえておけばOK!と言いたいところですが、実際には、他にも物理学の発展に大きな寄与をした人物はたくさんいます

ニュートンの紹介にいく前に、天文学の分野において、非常に大きな貢献を果たし、ニュートンにも大きな影響を与えたケプラーについても紹介しておきましょう

ケプラーは1571年、ドイツの西南部にある神聖ローマ帝国の自由都市ヴァイル・デア・シュタットで生まれました
ケプラーが地動説と出会ったのは、大学時代のことです

大学教授のミヒャエル・メストリンから、コペルニクスの地動説について教えられたのがきっかけです
ケプラーは、大学では神学部に進みましたが、卒業直前に大学の推薦を受け、修道院附属学校で、数学と天文学を教えることとなりました

このことが、ケプラーを聖職者ではなく、天文学者へと導くきっかけとなります

■宇宙を移動する天体の軌道は円軌道の組み合わせ

しかし、その後附属学校が閉鎖されたため、新たな職を求めます
当時、ケプラーはガリレオのほか、デンマークの貴族で天文学者のティコ・ブラーエとも文通を通して交流をしていました
そこで、ティコ・ブラーエを訪ねるため、プラハに向かいます

当時29歳だったケプラーは、当時53歳のティコ・ブラーエの助手となり、火星の研究を手伝いました
ティコ・ブラーエはすでに、火星を16年にわたり精密に観測しており、大量の観測データが残されていました

ところが、ティコ・ブラーエは、ケプラーとの出会いから2年も経たないうちに亡くなってしまいます
ケプラーは、ティコ・ブラーエの後継者として、皇帝つき数学者に任命されると同時に、大量で貴重な観測記録も引き継ぐこととなりました

実は、火星は、軌道の予測が非常に難しい惑星でした
古代ギリシャの数学者で哲学者のピタゴラスの登場以来、宇宙は「完全なる調和」の象徴とされ、「宇宙を移動する天体の軌道は円軌道の組み合わせである」と固く信じられてきました

このため、天動説の時代はもとより、コペルニクスが唱えた地動説においても、惑星の軌道は“円”だと考えられていました

■「惑星の軌道は円ではなく、楕円である」

ところが、惑星の軌道が円だとすると、地動説による予測結果と観測結果が完全には一致しなかったのです
地動説が広く受け入れられなかった理由の1つも、そこにありました
古代ローマのプトレマイオスがまとめ上げた天動説に関する「プトレマイオスの理論」があります

プトレマイオスの理論とは、地球から見たときに、天体がどのように動くかを理論的にまとめたものです
それは非常に複雑かつ複数の規則を必要とするものでしたが、天体の運動を当時の水準で正確に予測できるものでした

コペルニクスの主張が受け入れられなかったのは、プトレマイオスの理論のほうが、コペルニクスの地動説に関する理論よりも、観測結果と予測結果が合致する精度が高かったからなのです

当時は、航海のために天体の位置を使っていたため、天体の運動を高い精度で予測することは、非常に重要でした

現在では、「コペルニクスが地動説を唱えたが、当時の世界観と矛盾するため誰も信じなかった」と言われていますが、実際には、それほど単純な話ではなかったのですね

一方、ケプラーは、ティコ・ブラーエが残した火星に関する膨大な量の観測記録を丹念に調べていました
そして、ケプラーは、重大な結論にたどり着きます

それは、「惑星の軌道は円ではなく、楕円である」というものでした
これを「ケプラーの第1法則」といいます
ケプラーは全部で3つの法則を発見しますが、その第1の法則です

■「シンプルで美しい」理論のほうが正しい

ケプラーの第1法則は、「地球を含むすべての惑星は太陽の周りを回っており、その軌道は太陽を焦点の1つとする楕円である」と言っています
円軌道ではなく、楕円軌道であると考えることにより、極めて正確に惑星の動きを説明できることがわかったのです

この結果は、天動説に関するプトレマイオスの理論をも凌駕していました

プトレマイオスの理論に比べてコペルニクスの地動説のほうが予測精度が低かった最大の理由は、惑星が太陽の周りを、円ではなく楕円を描いて回っていたからだったのです
したがって、ケプラーの理論であれば、観測データと完全に一致します

天動説に合わせるために無数の規則を編み出すよりも、たった1つの理論で、すべてを説明できる地動説のほうが、自然であり、シンプルです
このことは、自然の物理法則を考えるうえで、非常に重要な評価基準となりました

この件に限らず、物理学には、「こちらのほうがシンプルで美しい」という理論のほうが、正しいという事例が多くあります
私はそこが、物理学の魅力だと思っています

「えっ、たったこれだけの規則で、こんなに多くの物理現象を説明できるんだ!」と驚くとともに、世界の知られざる成り立ちを垣間見ているような感じがするのです

■天体の運動を「物理学」でとらえ直した

次いで、ケプラーは、「第2法則」を発見しました
これは、「太陽と惑星を結んだ線分が、一定時間に通過する面積は常に一定である」というものです

この法則が成り立つ理由は、惑星が太陽に近いと重力(万有引力)が強くなるため、惑星の運動は速くなり、逆に太陽から遠いと重力(万有引力)が弱くなるため、惑星の運動は遅くなるからです

そして、ケプラーはさらに、「第3法則」にたどり着きます
「公転の周期の2乗と、長半径(楕円の長い方の半径)の3乗の比は、どの惑星でも同じである」というものです

「(公転周期)2÷(長半径)3」
という値は、惑星の質量などには寄らず、同じ値になるということを表しています
この値はのちに、重力(万有引力)と太陽の質量によって決まることが、数学的に確かめられました
第2法則と第3法則はどちらも惑星と太陽間の重力(万有引力)に関するものです
ケプラーも重力に関する重要な法則を発見しているのです

ケプラー以前の天文学は、主に幾何学(図形)の視点でとらえられてきました
それに対し、天体の運動を物理学的視点でとらえ、説明しようとした最初の人物こそが、ケプラーだったのです
その点においてケプラーは、天文学だけでなく、物理学の歴史においても多大な功績を残した人物の1人と言えるでしょう

とはいえ、ケプラーは、ケプラーの3法則が成り立つ理由を解明することはできませんでした
ケプラーの3法則は、あくまでも天体観測に基づいた経験則にすぎませんでした

しかし、ドイツ出身の天才理論物理学者のアルベルト・アインシュタインは、ケプラーの偉業をこう称えています
「ケプラーの偉大な功績は、知性による発見は観測された事実との比較のみから得られるという真理に関する、非常に美しい例証である」と

そして、ケプラーの死から約13年後、ガリレオの死から約1年後の1643年に生まれ、ケプラーの3法則を理論的に導くことに成功したのが、イギリスの天才科学者アイザック・ニュートンだったので。



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野村 泰紀(のむら・やすのり)
カリフォルニア大学バークレー校教授、理論物理学者
1974年、神奈川県生まれ
バークレー理論物理学センター長
ローレンス・バークレー国立研究所上席研究員、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構連携研究員、理化学研究所客員研究員を併任
主要な研究領域は素粒子物理学、量子重力理論、宇宙論
1996年、東京大学理学部物理学科卒業
2000年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了
理学博士
米国フェルミ国立加速器研究所、カリフォルニア大学バークレー校助教授、同准教授などを経て現職
著書に『マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ〈この宇宙〉にいるのか』(星海社)、『なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論』(講談社)、『多元宇宙論集中講義』(扶桑社新書)など
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(この記事は、プレジデント オンラインの記事で作りました)

ガリレオ、ニュートンは物理学のビッグネームだが、ケプラーも物理学の発展に大きく貢献した

偉大な先人による功績の積み重ねがあるからこそ物理学は大きく発展した



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posted by june at 04:00| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする