2024年09月13日

「無駄をなくしてしまったら、人間は生きてこられなかった」

「生きものは複雑で、矛盾だらけ」と、生命誌研究者の中村桂子さんは語ります
登山地図GPSアプリ「YMAP」の開発者、春山慶彦さんと中村さんが、「無駄の大切さ」について語りました
春山さんの著書『こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方』(集英社)からお届けします

■無駄の大切さ

春山慶彦(以下、春山) 今、遊びや無駄、余白といったものが、どんどん社会からなくなっていっています。効率に押されて、ぼーっとしたり、何も考えない時間がなくなりつつあると思います。

中村桂子(以下、中村) 以前、縄文時代の狩猟採集民は、毎日必死に獲物を追いかけていたと考えられていたけれども、実際はそうではなかったことがわかってきましたよね。現在、アフリカで狩猟採集をして暮らしている人たちの調査でも、狩りをしている時間はとても短くて、週に15時間くらい、実働時間は我々よりずっと少ないですね。おそらく古代の狩猟採集民もそのような感じで、時間がたっぷりあったことでしょう。周囲の自然から、基本的な衣食住が得られれば、それ以上に働くこともなく、あとはゆったりとみんなでおしゃべりしたり、空想の世界で遊んだりしていたのではないかと思います。

春山 そうですね。歌ったり、踊ったり。

中村 人間は生きものであると考えると、本来はそういう無駄なものが欠かせないと思います。というのは、生きものは無駄があることで続いてきたからです。

生きものの基本的な仕組みはとても合理的です。そうでないと動かない。でも、一方で、たくさんの無駄も抱えているのです。

たとえば、新型コロナウイルスのパンデミックで免疫ということが盛んに言われるようになりましたけれども、私たちの身体の免疫は、異物を捉える受容体を持つ免疫細胞によって支えられています。免疫研究がはじまったときは、外から異物が入ってきたら、その都度、それに対応する受容体を持つ免疫細胞を生み出すと考えられました。効率を重視するならばそう考えるのが普通ですし、合理的ですよね

ところが実際に研究してみたら、100万種とも一億種とも言われる異物の一つひとつに対応できる免疫細胞を常に準備しておくのが免疫の仕組みだということがわかったのです。ある異物が入ってきたとき、それに対応する免疫細胞がその異物を抑えますが、待機していた他の免疫細胞は無用だから死んでしまう。このように、要るか要らないかわからないものを毎日大量につくり続けているなんて、大変な無駄ではありませんか。でも、それをやってきたからこそ、我々は免疫で守られるようになって、生き続けてこられたのです。その無駄をなくしてしまったら、おそらく人間は生きてこられなかったでしょうね。

春山 無駄に英知がある。

中村 生きものの世界は、一面だけを見てこれは無駄だからなくすという形で動いてはいません。今の社会はあまりにも効率重視になっていますが、何が無駄かと決めつけることはできません。生きものは複雑で、矛盾だらけというところが、機械との大きな違いです。

■人間ほどへんてこな生きものはない

春山 人間とは何かということを突き詰めれば突き詰めるほど、それは「弱さ」だなと思います。これからの時代で大事になってくるのは、人間の弱さに立ち返ることではないでしょうか。

中村先生のご本(『生る 宮沢賢治で生命誌を読む』)の中で、「確かにそうだな」と思ったのが、二足歩行の話です。なぜ人間は二足歩行をするようになったのか。それは、森が後退してサバンナになったとき、人間は森の中では弱い動物だったから、他の強い動物たちに食料争いで負けてしまった。そのため、競争相手がいない遠くまで食べ物を採りに行かないといけなくなった。そうやって採ってきた食べ物を、今度は家族や大事な仲間たちに持ち帰らないといけない。そこで手が必要になり、二本の足で歩くようになった。人間の弱さゆえに、直立二足歩行という特徴が生まれた話は大変興味深かったです。

中村 人間の弱さが直立二足歩行につながったというのはまだ仮説ですが、かなり有力であると言われています。何しろ600万年以上も前のことですから、これからわかっていくことがたくさんあるでしょう。たとえば、今まで人間が直立二足歩行をはじめたのはアフリカだとされてきましたが、つい最近、樹上生活をしながら二足歩行している仲間の化石がヨーロッパで見つかっています。ヨーロッパで何が起きていたのかまだこれからの研究を待たなければ何もわかりません。直立二足歩行がいつどこでどうやってはじまったかについては、まだきちんとわかっているわけではないのです。

ただ私は、この「人間は弱かったから直立二足歩行になった」という説が大好きです。直立二足歩行のおかげで人類はいろいろなことができるようになりましたが、それは強かったから獲得できたわけではなく、弱かったからと考えるとおもしろいですよね。生きものというのは、調べれば調べるほどへんてこだと思います。

春山 へんてこ(笑)。

中村 生きものほど、へんてこなものはないと思いますよ。先ほども申し上げましたように、生きものは矛盾だらけです。そもそも、全部違って全部同じというのですから。生きものを調べると、そういう変なことばかり出てきますね。

今、「地球の危機だ」とか「生きものが消えるかもしれない」などと言われていますが、生きものは人間が何かしたくらいのことでは消えないでしょう。この地球上で40億年続いてきたシステムがあるのですから、生きものは地球がなくなるまで続いていくと思います。

では、生きものがどうしてそんなに続いたのかと言えば、へんてこだったからです。繰り返しますが、合理的に効率よくやろうとしていたら、生きものはとうの昔に消えていたと思います。それから、一つの価値基準で競争させて、いいものだけを残そうとしていたら、やはり消えていたでしょう。矛盾を組み込んで、「何でもあり」でやってきたからこそ、生きものは続いてきた。これが生きものの本質だと思います。

そこでは、弱さも必要です。弱いからこそ、生きものが続いている。先ほどの仮説に従うならば、人間はたまたまその弱さゆえに二足歩行をはじめ、脳が大きくなり、いろいろなことができるようになりました。他の生きものたちにも、それぞれの弱さを生かして生きているものがいます。自分だけでは生きていけないなら、他の生きものに寄生するなど、やり方はいろいろあります。弱さは人間だけのものではなく、生きものの特徴なのです。

「人間が二足歩行という特殊なことをやったのは、どうも弱さと関係しているらしい」と考えると、楽しいですよね。弱いといろいろなことを考えて工夫しなければなりません。だからこそ新しいことをする可能性が出てくるわけで、何か人の生き方と通じる部分がありますね。

春山 弱さが新しさを生む可能性につながっている。そう考えると希望が持てますし、わくわくします。人間の弱さを起点に、社会システムを見直すことができると、もっと生きやすい世の中になるのかなという気がします。

中村 人間は弱かったから、思いやりを持つ力や想像力が発達し、社会をつくっていった。人間のように大きな社会をつくっている動物は他にいないけれど、その源は人間の弱さにあったと考えると、生きものとしての本来の生き方が見えてくるように思います。

○春山慶彦さん/株式会社ヤマップ代表取締役CEO
1980年福岡県生まれ
同志社大学卒業後、写真家を志してアラスカ大学に留学
帰国後、「風の旅人」編集部を経て、2013年に登山地図GPSアプリ「YAMAP」を提供するヤマップを設立
編著書である『こどもを野に放て!』(集英社)は、読書家としても知られる春山さんが、養老孟司さん、中村桂子さん、池澤夏樹さんと、自然体験を通してAI時代に活きる知性の育み方を語り合った対談集

(この記事は、AERA Kidsの記事で作りました)

効率性も大事だが、「なんでもあり」の無駄とされるものがあったからこそ人間は生きてこられた

中国の古典「荘子」にも「無用の用」という考えがある

一見、無駄のようでも必要なものもある

無駄・無用と思われるものは、今後の「必要」「アイデア」「有用」につながっていく


生き物の中には人間のように弱いから「工夫し」「考え」「それに対応」などしたものもいる



こどもを野に放て! AI時代に活きる知性の育て方 単行本

効率的、合理的にとのAI時代だからこそ、野性的、動物的感覚も必要かも・・・
人間は無駄があったからこそ生きてこられたといわれます
「無」や「無用」の中にこそ「必要」ようなものがある
荘子の「無用の用」の考えです
大自然と触れ合うことで「見えてくる」ものがある
posted by june at 12:23| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

NY株は続伸、日経平均株価は8営業日ぶりに反発・上げ幅は今年3番目の大きさ

12日(現地時間)のNY株(ダウ平均株価)は、続伸し、終値は前日比235ドル06セント高の4万1096ドル77セント

ハイテク株中心のナスダックは174.15ポイント高の1万7569.68

S&P500は41.63ポイント高の5695.76




12日(日本時間)の日経平均株価は8営業日ぶりに反発し、終値は前日比1213円50銭高の3万6833円27銭


(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)

12日の日経平均株価の終値は前日比1210円超の大幅上昇
上げ幅はことで3番目の大きさ


posted by june at 07:06| Comment(0) | 株価動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「意外と知らない鳥の生活」

スズメやカラス、ハトにツバメ
私たちが暮らしているそばでも、さまざまな野鳥を日々見かけますよね
「鳴き声はよく聞くけれど、名前は知らない」というケースも多いのではないでしょうか

イラストレーター・piro piro piccoloさんが描くのは、そんな身近な野鳥たちの可愛らしい姿
「どんなふうに暮らしているの?」「似ている鳥との見分け方は?」といった豆知識もふんだんに盛り込まれ、SNSでも人気を集めています

毎日通る道や休日の公園、スーパーの店先など。普段はスルーしがちな野鳥たちに目を向けるきっかけになるかもしれません。

(この記事は、レタスクラブの記事で作りました)

例えば、スズメが集団砂浴びするのは、人間に例えるとシャワー中という

身体についた虫、汚れなどを落とすためらしい



ちなみに日本競馬史上初の無敗の3冠馬となったG・7勝のシンボリルドルフは砂浴びが大好きでした

同じ目的と効果があるそうです




piro piro piccoloの単行本「意外と知らない鳥の生活」が、8月21日にKADOKAWAから発売された

「意外と知らない鳥の生活」は、知ってるようで知らない鳥の豆知識や意外な一面をマンガで知ることができる1冊
「やっぱり黒いと暑いみたい」というタイトルで暑さに苦しむハシブトガラスの口が夏は開きっぱなしになる様子や、桜の季節にスズメがついばんだ花が頭上から落下してくる現象を「スズメの大胆な一面!?」として紹介し、全82ネタのマンガが収録された
そのほか大充実の図鑑ページ、コラムなども収められている

(この記事は、コミックナタリーの記事で作りました)

夏は黒いから余計暑いのか、口を開けっ放しにするカラスなど面白いイラストが多数収録されており、鳥の豆知識、意外な一面を楽しく学ぶことができる



意外と知らない鳥の生活 単行本

鳥は我々の身近にいますが、その生態、生活ぶりは意外と知らないものです
知らないことも多い「隣人、いや隣鳥(!?)の豆知識や意外な一面をイラストで楽しく学べる
posted by june at 03:44| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする