起死回生『地球の歩き方』がオカルト誌「ムー」とコラボ、大ヒット13万部の続章 では、『地球の歩き方」新井邦弘社長 と「月刊ムー」三上編集長の対談を聞き、この驚くべき「異色2媒体コラボ」について紹介している
本稿では実際に、書評家の松尾優人氏に『地球の歩き方 ムーJAPAN :~神秘の国の歩き方』を読んでもらった
『地球の歩き方』シリーズは1979年に創刊した老舗のガイドブックだ
世界各国、もしくは日本各地の観光地を取り上げる本シリーズで何よりも重要視されるのは、情報の信頼性と言って間違いないだろう
そして、同じ1979年に創刊した老舗雑誌が『ムー』だ
言わずと知れたオカルト雑誌の代表格である
掲載されている情報には、多少信頼性に欠けているものもあるが、『ムー』で何よりも重要視されるのはロマンであるから、なんの問題もない
この、決して交わらない二つのメディアがコラボしたことによって生まれたのが『地球の歩き方 ムーJAPAN:~神秘の国の歩き方~』だ
前作にあたる『地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方―』は13万部を売り上げるだけでなく、その年のSF作品およびSF活動を表彰する第54回星雲賞のノンフィクション部門を受賞する快挙を成し遂げている
本書は異色コラボの第2弾である
率直なところ、本書を短く紹介するのは難しい
地球全体を取り上げた前作と異なって本書は日本のみにフォーカスを当てているのだが、その情報量が膨大なのである
妖怪に古墳にUMA、異星人や神話など、ありとあらゆる『ムー』的な要素がおよそ400ページにもわたって網羅的に紹介されているのだ
筆者は近畿圏在住なので、ひとまず関西地方のページを開いてみた
すると最初に飛び込んできたのは「ビリケンはアメリカ生まれ!?」という題の小欄だった
筆者も大阪の通天閣にのぼって何度か足の裏を撫でたことがある(御利益があるそうだ)が、寡聞にして知らない知識だった。
通天閣のシンボルとして知られるビリケンは、実は兵庫や千葉などにも現存しているのだという
もっとも、これ自体はオカルトでもなんでもない、単なる事実だ
そして掲載されている情報全体からしてみれば、初歩中の初歩の知識に過ぎない
ガイドブックの枠に囚われることなく、本書では関西地方の部分だけでも「ワッショイはヘブライ語由来」であるとか「鞍馬天狗は金星からの使者」であるとか、いかにも『ムー』的な、としか言いようがない世界観が随所で繰り広げられている
ガイド片手に旅に出よう
このような、あまりにもロマン溢れる逸話が日本全土の規模で、フルカラーのビジュアルを伴ってぎっしりと詰め込まれているのだ
良い意味で途方もない書籍である
しかし、オカルト好きとは(筆者を含めて)欲深い生き物である
扱うジャンルが多岐にわたっているおかげで、更に多くを求めてしまうのかもしれない
本書を手に取った人は、興味のあるトピックこそ、より詳しく知りたいと思うのではないだろうか
ではどうすればいいか。実際に旅に出ればいい
忘れてはならないが、本書は『地球の歩き方』、でもある
当然、ガイドブックの役割もきちんと果たしているのだ
具体的には、本書ではミステリースポットを巡る一泊二日の旅、そのモデルルートが地方ごとに用意されている
たとえば関西地方ならば、一日目は琵琶湖から始まって京都の寺社を巡り、二日目は大阪の古墳群を訪れる、といった具合だ
「駆け足で巡る」と書かれているように、少々タイトなスケジュールに思えるので、自由な旅行の基礎として考えるのがいいだろう
それでなくとも、本書を読めば読むほど、寄り道したいスポットは増えていくはずである
旅に慣れてない人への配慮も欠かしていない
本書では「パラレルワールドの歩き方」と題して旅行そのものに関する基礎知識がまとめられている(中には貨幣に関する辞書的な説明までもが含まれている。まるで初めて地球に訪れた異星人に対して解説しているようだが・・・)
紹介されているスポットには、簡単なアクセス方法が併記されている
より詳しい行き方やホテル選びなどはスマートフォンなどに頼ることになるが、気になる場所への第一歩としては十分に役立つはずだ
とはいえ、まとまった時間が取れず、旅行は難しい、という人もいるかもしれない。そのような悩みへの対応もバッチリだ。それが「アームチェア・トラベルのための書籍セレクション」である。アームチェア・トラベルとは「家にいながら旅行気分を味わう」ことを意味する。
本書の末尾には気になった場所をより深く知るために効果的な本が50冊紹介されている
このチョイスは『ムー』の色合いが非常に濃い
オカルト好きは重宝するだろう
『地球の歩き方』と『ムー』のコラボは確かに異色だが、理にかなっているとも言える
旅にせよオカルトにせよ、どちらも土地に紐付いているからだ
そして本書は二つの要素を上手く組み合わせたうえで、『地球の歩き方』は実際の旅行を、『ムー』はアームチェア・トラベルを、という風に別々の部分をアシストしている
もちろん両者を組み合わせることも可能だ
家で読めば読むほど旅行欲は湧き上がるだろうし、実際に行った場所を振り返るのにも本書は最適な案内になるだろう
本書は旅とオカルト、どちらの初心者も取りこぼすことがない作りになっている
旅についての信頼性、オカルトについてのロマン、双方に対して極めて真面目に取り組んでいるからこそ、パラパラとめくるだけで知的好奇心をかき立ててくれる贅沢な一冊に仕上がっているのだ
『地球の歩き方 ムーJAPAN: ~神秘の国の歩き方~』(2024年、地球の歩き方編集室 編、Gakken刊)
(この記事は、Forbes JAPANの記事で作りました)
「地球の歩き方」や「ムー」はどちらも1979年創刊で私の愛読してきたものだ
「地球の歩き方」は私が中国への短期留学の経験もあり、中国編を熱心に熟読した
当時はインターネットなども普及しておらず、地球の歩き方は最高のガイドブックだった
「ムー」は、不思議・オカルト・神秘などが大好きな私にとってはかなりの愛読書だった
仙道やヨガ、オカルトなどに興味のあった私はムーの世界に魅せられた
こんな「地球の歩き方」「ムー」の愛読者であった私にはこのコラボは注目だ
地球の歩き方 ムーJAPAN: ~神秘の国の歩き方~ 単行本(ソフトカバー)
地球の歩き方とムーのコラボ第2弾
神秘的で身近な日本のムー的歩き方
地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方ー超古代文明 オーパーツ 聖地 UFO UMA 単行本
地球の歩き方とムーのコラボ第1弾
両方の視点から魅惑的な神秘の世界をガイド
2024年06月25日
2024年06月24日
古代の権力者【物部氏】とはどういった氏族だったのか?
教科書に登場するものの、わずか数行の扱いで、蘇我氏との勢力争いに敗れた古代豪族として語られる物部氏
彼らは一体、何者だったのだろうか?
■物部氏の起源と興隆 天孫降臨伝説と勢力形勢
物部氏は、『国史大辞典』には「饒速日命(にぎはやひのみこと)が物部氏の遠祖である」と書かれている
この饒速日命というのは「天神の子で天磐船(あまのいわふね)に乗って天上より降った」神様というのである
まったく人を食った話である
物部氏という人間の氏族の先祖が神であるなどという話を、現代人で信じる人がいるであろうか
もしいるとしたならば、物部氏の子孫は数多おり、彼らも神の子孫ということになる
これは『日本書紀』神武天皇即位前紀に記された記事である
津田左右吉(つだそうきち)の『日本古典の研究』では、『日本書紀』は天皇家の国家統治を正当化するために書かれたものとし、上山春平の『埋もれた巨像』は「とくに神代巻の部分に藤原不比等(ふじはらのふひと)の政治構想があらわな姿で投影されている」と指摘している
こうした考えをどう評価するかは問題であるが、事実として『日本書紀』は神話を含んでおり、純粋な歴史書とみなすことはできない
また、大和朝廷を一貫したものと見ることも間違いである
継体大王の時に、大和勢力は衰退し、継体自身は越国からの勢力とされている
物部麁鹿火(もののべあらかび)が継体紀に登場するのも新王朝になってからということで理解できる
それゆえ物部氏の祖先が誰かなどという質問は愚問にちかい
古代氏族の初代を誰とするかなどということは「不明」というしかあるまい
系譜というものが残っていると考える向きもあるが、文字が日本で使われるようになる以前から人は存在している
漢字の輸入は5~6世紀の頃とされる
もちろん首長層においては3世紀には使用があった可能性はある
ともかく漢字の普及も継体紀に相当している
つまりそれ以前の「氏族」の歴史を探るのは極めて困難なのである
さらに物部という氏名を部民制に基づくものと考えると、「物部」というのは「物」を管理した部民ということになる
5世紀前後の「物」とは何であろうか
おそらくは王にまつわる「物」であろうと思われるが、特定することはできない
監修・執筆/中村修也
歴史人2024年7月号『敗者の日本史』より
(この記事は、歴史人の記事で作りました)
物部氏は古代有数の有力豪族のようだが、歴史では触れられることが少ない
中国、朝鮮を経由した仏教を推進した蘇我氏などに対し、物部氏は日本で古来からある既存の神道を推進したとされる
物部氏はこの「宗教戦争」に敗れ、歴史の敗者として歴史から多くを抹殺された古代の権力者で謎の多い豪族だ
物部氏の正体 (新潮文庫) 文庫
古代を代表する有力豪族だった物部氏・・・
日本書紀では天皇家より先にヤマトを統治していたとも・・・
しかし蘇我氏の仏教導入の前に敗れ正史からは多くを抹殺された謎の氏族だ
その物部氏の「正体」を探る古代ミステリー
彼らは一体、何者だったのだろうか?
■物部氏の起源と興隆 天孫降臨伝説と勢力形勢
物部氏は、『国史大辞典』には「饒速日命(にぎはやひのみこと)が物部氏の遠祖である」と書かれている
この饒速日命というのは「天神の子で天磐船(あまのいわふね)に乗って天上より降った」神様というのである
まったく人を食った話である
物部氏という人間の氏族の先祖が神であるなどという話を、現代人で信じる人がいるであろうか
もしいるとしたならば、物部氏の子孫は数多おり、彼らも神の子孫ということになる
これは『日本書紀』神武天皇即位前紀に記された記事である
津田左右吉(つだそうきち)の『日本古典の研究』では、『日本書紀』は天皇家の国家統治を正当化するために書かれたものとし、上山春平の『埋もれた巨像』は「とくに神代巻の部分に藤原不比等(ふじはらのふひと)の政治構想があらわな姿で投影されている」と指摘している
こうした考えをどう評価するかは問題であるが、事実として『日本書紀』は神話を含んでおり、純粋な歴史書とみなすことはできない
また、大和朝廷を一貫したものと見ることも間違いである
継体大王の時に、大和勢力は衰退し、継体自身は越国からの勢力とされている
物部麁鹿火(もののべあらかび)が継体紀に登場するのも新王朝になってからということで理解できる
それゆえ物部氏の祖先が誰かなどという質問は愚問にちかい
古代氏族の初代を誰とするかなどということは「不明」というしかあるまい
系譜というものが残っていると考える向きもあるが、文字が日本で使われるようになる以前から人は存在している
漢字の輸入は5~6世紀の頃とされる
もちろん首長層においては3世紀には使用があった可能性はある
ともかく漢字の普及も継体紀に相当している
つまりそれ以前の「氏族」の歴史を探るのは極めて困難なのである
さらに物部という氏名を部民制に基づくものと考えると、「物部」というのは「物」を管理した部民ということになる
5世紀前後の「物」とは何であろうか
おそらくは王にまつわる「物」であろうと思われるが、特定することはできない
監修・執筆/中村修也
歴史人2024年7月号『敗者の日本史』より
(この記事は、歴史人の記事で作りました)
物部氏は古代有数の有力豪族のようだが、歴史では触れられることが少ない
中国、朝鮮を経由した仏教を推進した蘇我氏などに対し、物部氏は日本で古来からある既存の神道を推進したとされる
物部氏はこの「宗教戦争」に敗れ、歴史の敗者として歴史から多くを抹殺された古代の権力者で謎の多い豪族だ
物部氏の正体 (新潮文庫) 文庫
古代を代表する有力豪族だった物部氏・・・
日本書紀では天皇家より先にヤマトを統治していたとも・・・
しかし蘇我氏の仏教導入の前に敗れ正史からは多くを抹殺された謎の氏族だ
その物部氏の「正体」を探る古代ミステリー
競馬、第65回宝塚記念はブローザホーンが優勝
23日に競馬の第65回宝塚記念(G1、京都芝2200メートル)が行われ、3番人気で菅原明良騎手騎乗のブローザホーンが優勝
2着は2馬身差で7番人気のソールオリエンス、3着はさらにクビ差で5番人気のべラジオオペラ
(この記事は、JRAのホームページの記事で作りました)
勝ったブローザホーンは重馬場も味方しました
1番人気のドゥデュース(6着)、2番人気のジャスティンパレス(10着)は馬場が向かなかったのかも
宝塚記念といえば1999年のグラスワンダーですね
このレースは現役最強候補がこの時海外遠征中のエルコンドルパサーを除くとグラスワンダー、スペシャルウィークでした
グラスワンダーが昨年暮れの有馬記念を勝ちこの年はここまで2戦1勝・安田記念がハナ差の2着、スペシャルウィークがこの年がここまで天皇賞・春を含む3戦無敗でした
戦前の予想通り2頭の一騎打ちになりましたが、結果はグラスワンダーの3馬身差の完勝でした
グラスワンダー 夢色の蹄跡 [DVD]
グラスワンダーはグランプリ3連覇(1998年・有馬記念→1999年・宝塚記念→1999年・有馬記念)連覇の怪物です
2着は2馬身差で7番人気のソールオリエンス、3着はさらにクビ差で5番人気のべラジオオペラ
(この記事は、JRAのホームページの記事で作りました)
勝ったブローザホーンは重馬場も味方しました
1番人気のドゥデュース(6着)、2番人気のジャスティンパレス(10着)は馬場が向かなかったのかも
宝塚記念といえば1999年のグラスワンダーですね
このレースは現役最強候補がこの時海外遠征中のエルコンドルパサーを除くとグラスワンダー、スペシャルウィークでした
グラスワンダーが昨年暮れの有馬記念を勝ちこの年はここまで2戦1勝・安田記念がハナ差の2着、スペシャルウィークがこの年がここまで天皇賞・春を含む3戦無敗でした
戦前の予想通り2頭の一騎打ちになりましたが、結果はグラスワンダーの3馬身差の完勝でした
グラスワンダー 夢色の蹄跡 [DVD]
グラスワンダーはグランプリ3連覇(1998年・有馬記念→1999年・宝塚記念→1999年・有馬記念)連覇の怪物です
2024年06月23日
発酵だろうが、腐敗だろうが、微生物にとっては「本質的にまったく変わりない」
生きものについて知ることは、自分自身を知ることであり、私たちを取り巻く生きものや環境の成り立ちやかかわりあいを知ることといえますところが、世の中では「生物学は面白くない」と思っている人が、意外に多いようです
身近なテーマなのに、難しい専門用語が散りばめられた解説は、生物学という世界を疎遠にしてしまっているのかもしれません
新型コロナウイルスCOVID-19はじめとした感染症の拡大、原発事故による拡散した放射性物質の挙動、地球温暖化、遺伝子組み換えによる作物や臓器提供のための動物など、現代の主要なトピックの多くが生物学と密接に関係しており、まさに現代人にとって必須の教養といえます
そこで、生物学の基本から最新の話題まで、網羅的に解説した入門書『大人のための生物学の教科書』から、興味深いテーマ、読みどころをご紹介していきたいと思います。今回は、私たち人間にとって有益な生物の働き「発酵」を取り上げます
※本記事は『大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する』を一部再編集の上、お送りいたします
酸素を利用した呼吸だけではない
生きるには、エネルギーが必要である
すべての生きものはATPという物質を生命エネルギーとして用いている
食物として取り込んだ有機物を出発材料としてこのATPをつくりだす反応が、呼吸である
呼吸の種類は複数あるが、なかでも酸素を利用した好気呼吸は高いエネルギー変換効率を誇り、生きものの多様性を生み出すきっかけともなった生命史上の大発明である
いっぽう、微生物の呼吸の多くはエネルギー効率の点では好気呼吸に劣るが、その反応過程の一部を、私たちは古くから生活に役立ててきた
微生物の視点から見た発酵と、人間から見た発酵
好気呼吸は、酸素を用いる呼吸である
酸素がないと電子やプロトンが行き場を失うため、大量のATPを生産できる電子伝達系の反応全体がストップしてしまう
好気呼吸に、酸素は必要不可欠だ
しかし地球上の生きものすべてが、酸素を利用できる環境で暮らしているわけではない
土の中や水の底、ヒトの腸の中など、酸素がほとんど手に入らない環境で暮らす微生物たちは、酸素を使わないでATPをつくる反応系をもっている
それらを総称して、嫌気呼吸という
微生物の呼吸という意味で似たことばに発酵がある
狭義の発酵は微生物の嫌気呼吸を意味するのだが、一般的に広く使われている広義の発酵は、微生物が有機物を分解することで人間にとって有益なものができる場合を指していて、その反応系が嫌気的か好気的かを問わないし、反応そのものがATPを得ることと直結していない場合もある
広義の発酵は、古くから私たちの生活に深く根付いて役立ってきた
代表的な発酵
以下に、代表的な発酵を、図(「代表的な発酵)とともにあげてみよう。
アルコール発酵
私たちの生活に身近でよく知られている代表的な発酵に、アルコール発酵がある
アルコール発酵は酵母菌(イースト)が行う呼吸で、好気呼吸と同じブドウ糖を出発材料とし、最終的にアルコールの一種であるエタノールと二酸化炭素がつくられる反応系だ
ビールもワインも日本酒も、醸造酒と呼ばれるものはみんな酵母が行うアルコール発酵を利用して製造される
酵母はパンづくりでも活躍する
生地の中でアルコール発酵が起こり、パン生地を焼くと小麦粉を捏ねたことで生じた粘性の高いグルテンに閉じ込められた二酸化炭素が膨らんで、ふわふわしたパンの食感をつくりだすのだ
なお、ここで酵母菌が呼吸基質として用いているのは生地に加えた砂糖であって、小麦粉ではない
乳酸発酵
乳酸発酵はアルコール発酵に並んで身近な発酵の一つだ
乳酸菌が行う呼吸であり、最終産物として酸味のある乳酸という物質ができる
ヨーグルトや乳酸飲料の製造でおなじみであり、漬物も多くは乳酸発酵を利用してつくられる
酢酸発酵
酢酸菌が行う呼吸であり、エタノールを酢酸に変える反応である
酢酸発酵は酸素を用いる反応系なので嫌気呼吸には該当しない
果実酢の多くは、果実酒にふくまれるエタノールを酢酸発酵させてつくられている
多種多様な発酵食品
日本人にとっては馴染み深い発酵食品である納豆も、海外の人からは「腐っている」と判断されてもおかしくない
世界にはさまざまな発酵食品があるが、そのなかでも日本は特に豊かな発酵文化をもつ国である。
日本酒の製造に欠かせない は穀物に主に菌(コウジカビ)を繁殖させたものである。 菌は菌糸から米などにふくまれるデンプンをブドウ糖に分解する酵素を放出する(糖化)。
アルコール発酵を行う酵母菌はデンプンを材料にすることはできないが、 菌がデンプンをブドウ糖に変えてくれたおかげでアルコール発酵によってアルコールをつくることができるようになる
なお、ここにさらに酢酸菌が加わることで穀物酢ができる
菌がやっていることはATP産生反応(呼吸反応)ではないが、複数の微生物が協働(コラボ)して奥深い発酵食品の世界をつくりあげている
納豆は日本人にとっては馴染み深い発酵食品であるが、海外の人からは「腐っている」と判断されてもおかしくない
くさややシュールストレミングにいたっては、大多数の人に「腐っている」と判断されそうだ
このように、発酵と腐敗の境界線は実際にはかなり曖昧である
なぜなら、同じ微生物の作用であっても最終的に人間にとって有益なものができる場合は発酵と定義され、最終的に悪臭や有害なものが生じる場合は腐敗と呼ばれるからだ
その呼び分けは人為的なもので、呼吸や反応を担う微生物にとって本質的な違いはない
◆ ◆ ◆
生きものの基本原理を知ることが「生物学」ですが、本当に大切なのは専門用語よりも、なぜそうなるのか、どのように決まるのか、ということです
----------
大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する
----------
(この記事は、現代ビジネスの記事で作りました)
発酵(食品)でまず思い浮かぶのは、納豆、ヨーグルト、醤油ですね
私が毎朝食べているパンも発酵食品ですね
発酵は、納豆、醤油、味噌など日本人には身近・おなじみですね
発酵と腐敗は紙一重です
違いは、人間に有益なのは発酵、害があるのは腐敗で、あくまで「人間目線」で、「微生物目線」では変わらないようです
大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する (ブルーバックス) 新書
生物学について基礎・基本や最新の知識な度をわかりやすく図解を交え理解できます
大人の生物学の学び直し
生物学の本質・キモがわかります
身近なテーマなのに、難しい専門用語が散りばめられた解説は、生物学という世界を疎遠にしてしまっているのかもしれません
新型コロナウイルスCOVID-19はじめとした感染症の拡大、原発事故による拡散した放射性物質の挙動、地球温暖化、遺伝子組み換えによる作物や臓器提供のための動物など、現代の主要なトピックの多くが生物学と密接に関係しており、まさに現代人にとって必須の教養といえます
そこで、生物学の基本から最新の話題まで、網羅的に解説した入門書『大人のための生物学の教科書』から、興味深いテーマ、読みどころをご紹介していきたいと思います。今回は、私たち人間にとって有益な生物の働き「発酵」を取り上げます
※本記事は『大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する』を一部再編集の上、お送りいたします
酸素を利用した呼吸だけではない
生きるには、エネルギーが必要である
すべての生きものはATPという物質を生命エネルギーとして用いている
食物として取り込んだ有機物を出発材料としてこのATPをつくりだす反応が、呼吸である
呼吸の種類は複数あるが、なかでも酸素を利用した好気呼吸は高いエネルギー変換効率を誇り、生きものの多様性を生み出すきっかけともなった生命史上の大発明である
いっぽう、微生物の呼吸の多くはエネルギー効率の点では好気呼吸に劣るが、その反応過程の一部を、私たちは古くから生活に役立ててきた
微生物の視点から見た発酵と、人間から見た発酵
好気呼吸は、酸素を用いる呼吸である
酸素がないと電子やプロトンが行き場を失うため、大量のATPを生産できる電子伝達系の反応全体がストップしてしまう
好気呼吸に、酸素は必要不可欠だ
しかし地球上の生きものすべてが、酸素を利用できる環境で暮らしているわけではない
土の中や水の底、ヒトの腸の中など、酸素がほとんど手に入らない環境で暮らす微生物たちは、酸素を使わないでATPをつくる反応系をもっている
それらを総称して、嫌気呼吸という
微生物の呼吸という意味で似たことばに発酵がある
狭義の発酵は微生物の嫌気呼吸を意味するのだが、一般的に広く使われている広義の発酵は、微生物が有機物を分解することで人間にとって有益なものができる場合を指していて、その反応系が嫌気的か好気的かを問わないし、反応そのものがATPを得ることと直結していない場合もある
広義の発酵は、古くから私たちの生活に深く根付いて役立ってきた
代表的な発酵
以下に、代表的な発酵を、図(「代表的な発酵)とともにあげてみよう。
アルコール発酵
私たちの生活に身近でよく知られている代表的な発酵に、アルコール発酵がある
アルコール発酵は酵母菌(イースト)が行う呼吸で、好気呼吸と同じブドウ糖を出発材料とし、最終的にアルコールの一種であるエタノールと二酸化炭素がつくられる反応系だ
ビールもワインも日本酒も、醸造酒と呼ばれるものはみんな酵母が行うアルコール発酵を利用して製造される
酵母はパンづくりでも活躍する
生地の中でアルコール発酵が起こり、パン生地を焼くと小麦粉を捏ねたことで生じた粘性の高いグルテンに閉じ込められた二酸化炭素が膨らんで、ふわふわしたパンの食感をつくりだすのだ
なお、ここで酵母菌が呼吸基質として用いているのは生地に加えた砂糖であって、小麦粉ではない
乳酸発酵
乳酸発酵はアルコール発酵に並んで身近な発酵の一つだ
乳酸菌が行う呼吸であり、最終産物として酸味のある乳酸という物質ができる
ヨーグルトや乳酸飲料の製造でおなじみであり、漬物も多くは乳酸発酵を利用してつくられる
酢酸発酵
酢酸菌が行う呼吸であり、エタノールを酢酸に変える反応である
酢酸発酵は酸素を用いる反応系なので嫌気呼吸には該当しない
果実酢の多くは、果実酒にふくまれるエタノールを酢酸発酵させてつくられている
多種多様な発酵食品
日本人にとっては馴染み深い発酵食品である納豆も、海外の人からは「腐っている」と判断されてもおかしくない
世界にはさまざまな発酵食品があるが、そのなかでも日本は特に豊かな発酵文化をもつ国である。
日本酒の製造に欠かせない は穀物に主に菌(コウジカビ)を繁殖させたものである。 菌は菌糸から米などにふくまれるデンプンをブドウ糖に分解する酵素を放出する(糖化)。
アルコール発酵を行う酵母菌はデンプンを材料にすることはできないが、 菌がデンプンをブドウ糖に変えてくれたおかげでアルコール発酵によってアルコールをつくることができるようになる
なお、ここにさらに酢酸菌が加わることで穀物酢ができる
菌がやっていることはATP産生反応(呼吸反応)ではないが、複数の微生物が協働(コラボ)して奥深い発酵食品の世界をつくりあげている
納豆は日本人にとっては馴染み深い発酵食品であるが、海外の人からは「腐っている」と判断されてもおかしくない
くさややシュールストレミングにいたっては、大多数の人に「腐っている」と判断されそうだ
このように、発酵と腐敗の境界線は実際にはかなり曖昧である
なぜなら、同じ微生物の作用であっても最終的に人間にとって有益なものができる場合は発酵と定義され、最終的に悪臭や有害なものが生じる場合は腐敗と呼ばれるからだ
その呼び分けは人為的なもので、呼吸や反応を担う微生物にとって本質的な違いはない
◆ ◆ ◆
生きものの基本原理を知ることが「生物学」ですが、本当に大切なのは専門用語よりも、なぜそうなるのか、どのように決まるのか、ということです
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大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する
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(この記事は、現代ビジネスの記事で作りました)
発酵(食品)でまず思い浮かぶのは、納豆、ヨーグルト、醤油ですね
私が毎朝食べているパンも発酵食品ですね
発酵は、納豆、醤油、味噌など日本人には身近・おなじみですね
発酵と腐敗は紙一重です
違いは、人間に有益なのは発酵、害があるのは腐敗で、あくまで「人間目線」で、「微生物目線」では変わらないようです
大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する (ブルーバックス) 新書
生物学について基礎・基本や最新の知識な度をわかりやすく図解を交え理解できます
大人の生物学の学び直し
生物学の本質・キモがわかります
将棋、藤井聡太叡王が敗れる、全タイトル八冠独占から七冠に後退
20日に将棋の藤井聡太叡王(21)が第9期叡王戦五番勝負第5戦で156手で伊藤匠七段(21)に敗れた
これで藤井叡王はシリーズ2勝3敗で叡王位失冠
これで将棋全タイトル八冠独占から七冠へ
藤井棋士がタイトル戦でシリーズで敗れるのは初
誰が藤井棋士のタイトル戦シリーズ阻止、タイトル八冠独占を阻止するか注目されたが、同世代の伊藤七段が止めた
伊藤七段は小学校時代に大会で藤井聡太棋士に勝ったことがある
その時敗れた藤井少年は悔しさで泣き「藤井を泣かした男」の異名がある
超スピード出世の藤井棋士には少し遅れたが、それでもスピード出世の伊藤七段は叡王のタイトルを藤井聡太棋士に勝ち獲得
伊藤新叡王の今後の活躍、上の世代、同世代の巻き返し、下の世代の突き上げ、藤井七冠の逆襲に期待
藤井聡太のいる時代 (朝日文庫) 文庫
将棋界に現れた若き天才・藤井聡太
圧倒的強さで時代を進む藤井聡太の今後にも期待
叡王を失冠し、将棋タイトル八冠独占から七冠に後退したが、藤井聡太棋士の今後の逆襲に注目
伊藤新叡王や(藤井聡太七冠以外の)他の棋士との切磋琢磨にも注目
これで藤井叡王はシリーズ2勝3敗で叡王位失冠
これで将棋全タイトル八冠独占から七冠へ
藤井棋士がタイトル戦でシリーズで敗れるのは初
誰が藤井棋士のタイトル戦シリーズ阻止、タイトル八冠独占を阻止するか注目されたが、同世代の伊藤七段が止めた
伊藤七段は小学校時代に大会で藤井聡太棋士に勝ったことがある
その時敗れた藤井少年は悔しさで泣き「藤井を泣かした男」の異名がある
超スピード出世の藤井棋士には少し遅れたが、それでもスピード出世の伊藤七段は叡王のタイトルを藤井聡太棋士に勝ち獲得
伊藤新叡王の今後の活躍、上の世代、同世代の巻き返し、下の世代の突き上げ、藤井七冠の逆襲に期待
藤井聡太のいる時代 (朝日文庫) 文庫
将棋界に現れた若き天才・藤井聡太
圧倒的強さで時代を進む藤井聡太の今後にも期待
叡王を失冠し、将棋タイトル八冠独占から七冠に後退したが、藤井聡太棋士の今後の逆襲に注目
伊藤新叡王や(藤井聡太七冠以外の)他の棋士との切磋琢磨にも注目