2024年03月11日

白色矮星の近くに繁栄した「高度な地球外文明」がまだ存続している可能性

太陽系外惑星科学では、白色矮星は通常、後回しになるだけだ
系外惑星を探索している研究者の大半は、第2の地球探しが忙しすぎて、超高密度の恒星の残骸である白色矮星のことを、太陽のような星の終末期の副産物くらいにしか考えられない

米ペンシルベニア州にあるビラノバ大学の天体物理学者エドワード・シオンは、取材に応じた電子メールで「白色矮星は、地球のような岩石と金属でできた惑星ほどの大きさの体積に、太陽ほぼ丸々1個分の質量が押し込まれている」と説明する
「白色矮星の典型的な密度は、1立方センチメートルあたり1000万グラム(10トン)におよぶ
鉄とニッケルでできた地球の核の密度は、1立方センチメートルあたり約10グラム程度だ」

それでも、白色矮星は観測で発見するのが極めて困難で、この暗い天体の周囲の極めて短い軌道を公転する地球に似た惑星を探すことが可能になったのも、ほんのここ十年ほどのことだ

また、白色矮星は天の川銀河(銀河系)の歴史を理解する上でも重要になる

「白色矮星は、銀河系にある約2000億個の恒星の98%がたどる進化の最終段階だ」とシオンは最近出版した著作『Accreting White Dwarfs:From exoplanetary probes to classical novae and Type 1a supernovae(白色矮星の降着:太陽系外惑星系の調査から古典新星、la型超新星まで)』に記している
「白色矮星を調べることで、太陽が将来どうなるのかや、銀河系の星形成史について知ることができる」

白色矮星を公転している惑星系は、これまでにいくつ見つかっているだろうか

シオンによると、2つの惑星系が確認されている
1つは「WD185+534」で、この白色矮星の周りを公転周期わずか1.4日で周回する木星に似た惑星がある
もう1つは「WD1054-226」で、惑星と白色矮星とのおおよその距離は250万kmと、地球太陽間の距離(1天文単位=約1億5000万km)の約1.7%ほどという
この領域は、全期間で20億年以上、この先は少なくとも10億年にわたって生命生存が可能な状態だと、シオンは指摘している

また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中赤外線観測装置(MIRI)を用いた研究チームが最近、白色矮星を公転する2つの巨大惑星候補を直接撮像で発見したと報告している
2つの惑星候補は、金属(ヘリウムより重い元素)が豊富な白色矮星の「WD 1202-232」と「WD 2105-82」をそれぞれ公転している
これらが確認されれば、太陽系内の巨大惑星に年齢と距離間隔の両方が似ている、直接撮像された初の惑星となると、論文の執筆者らは記している

この研究結果は今年、学術誌The Astrophysical Jornal Lettersで報告された
 
赤色巨星としての太陽の未来はどうなるか?
■赤色巨星としての太陽の未来はどうなるか?

シオンによると、白色矮星の大半は、太陽の1~8倍の質量を持つ恒星の最終生成物だ
興味深いことに、太陽は恒星の進化段階を示すHR図上の「漸近巨星分枝(AGB)」に沿って赤色超巨星として進化する間に質量の約40%を失うことが、進化のモデル計算によって明らかになっている

この段階での進化は、恒星風というかたちで質量を大きく失うことで進んでいく
この大きな質量損失の段階では、惑星状星雲が形成されるとともに、赤色超巨星の中心核が宇宙空間にむき出しになり、白色矮星や(すぐに白色矮星になる)白色矮星前駆天体が新たに誕生する

白色矮星の周辺で文明は存続できるだろうか

シオンによると、白色矮星が単一で、安定している場合は可能だろう
すなわち、連星系の伴星との相互作用がなく、数十億年にわたってゆっくりと冷却していることが条件となる
さらに、太陽のような有害なフレアや磁気嵐を起こさず、おとなしくしている場合だ

■だが、非常に寒冷になる恐れがある

シオンによると、惑星が重力の影響で潮汐ロックの状態にあり、常に同じ面を主星の白色矮星に照らされている場合、反対側の面は絶対零度近くになる恐れがある

知的生命体が存在する、地球に似た惑星は存続できるだろうか

高度に進化した生命体が、制御核融合やより先進的なエネルギー源を利用可能な場合は、無制限の居住可能性を実現するのに不可能なことは何もないと、シオンは説明している
知的生命体は創意工夫に富んでいると考えられるため、従来の方法に代わる食物育成法を開発する可能性が高いという

■白色矮星からの光についてはどうか?

シオンによると、表面温度が4500ケルビン(約4200度)では可視光放射があると考えられるが、白色矮星が長い時間をかけて冷えるのに従い、放射の大半が遠赤外域にシフトする
すると、惑星に届く可視光の放射量がさらに小さくなる

白色矮星が1000ケルビン(約700度)を下回るほど冷えると、暗さの影響がおよび始めると、シオンは続ける最
終的に、白色矮星が蓄えていた熱エネルギーをすべて放出して冷却し、表面温度が絶対零度に近い「黒色矮星」になると、惑星から「昼間」がなくなってしまうという

(この記事は、Forbes JAPANの記事で作りました)

白色矮星(はくしょくわいせい)・・・
太陽の質量の8倍以下の恒星でその寿命の晩年に形成される天体

宇宙の恒星の97~98%がこの白色矮星でその生涯
を終えるとされる
(ただし、8倍以下の中でも1倍以下で細かくいうと形成が違う)

太陽の一生も最期は白色矮星になるとされる

太陽の形成をざっくり追うと・・・
(ガスや塵)→原始太陽→現在の太陽→赤色巨星→白色矮星


太陽の質量の8倍以上は最期は超新星爆発を起こす

超新星爆発は、太陽の質量の8倍以上の恒星が内部の核融合を終えた後起きる爆発


白色矮星の近く(の惑星など)にも生命体がいる可能性があるとされる

白色矮星研究は同じ恒星の太陽の形成や今後などの解明にも期待される

太陽は地球と人類にどう影響を与えているか (光文社新書) 新書

生命の源といわれる太陽が地球や人類にどのような影響が与えてきたかを解説
「太陽の恩恵」を考える
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これだけ惑星があるのに、なぜ水は地球にだけ多いのか?それは天文学的な確率でしか起きない「大いなる偶然」かもしれない

海があり、陸地があり、植物や動物がひしめきあっている地球――
私たちが当たり前のように享受しているこの星の環境は、実は46億年かけて生み出された「すごすぎる仕組み」だった・・・! 

地球の成り立ちから現在までの変化を壮大なスケールで眺め、物質循環という「非常にシンプルな原理」で解説した地球科学の新しい入門書『地球46億年 物質大循環』から、そのポイントをお伝えしたい

※本記事は、月村勝宏著『地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです

地球が水の惑星となった謎
地球は、地球以外の岩石の惑星(水星、金星、火星)に比べるとたくさんの水があります
それはいったいなぜなのでしょうか? 
少し詳しく見てみましょう
水星や金星には極微量の水しかありません
水星の表面温度はマイナス170℃から430℃と広い範囲にあるので、水は固体・液体・気体のどれにもなりえますが、水星にはどの状態の水もほとんど見つかっていません

いっぽう、金星の表面温度は464℃もあるので、水は気体(あるいは超臨界流体)であり、金星大気の水蒸気圧は0.0002バールと水はごくわずかしかありません

火星には、水が少しだけあります
火星の平均表面温度はマイナス56℃なので水は固体または気体となっています
火星の地表には若干の氷が見つかっています
また、火星にはかなりの量の含水物質(粘土鉱物)が発見されています
しかし、温度が低いので水蒸気圧は0.00002バールと低くなっています

いっぽう、地球には他の地球型惑星に比べるとたくさんの水があります
地表の71%は海水で覆われており、その平均の水深は3729mにもります
この海水が地表にある水の96.5%を占めています
そして、地下水として1.7%、氷河として1.74%の水があります
その他に、湖水や河川水や大気中の水蒸気などがあります

このように地球型惑星のうち地球だけに、なぜ多量の水があるのでしょうか? 
地球近傍の宇宙空間では、水は氷ではなく気体となっています
氷であれば凝集して大きくなるので地球の引力で引きつけることができますが、地球の重力で気体の水を引きつけることはできません
それにもかかわらず、地球には多量の水があります
そこで、次に、地球にある多量の水はどのようにして地球に集まったかを見ていきましょう

地球で水はどのようにできたか
地球に水が集まった理由についての最も有力な説は、隕石中の粘土鉱物中にある水が地球の水の起源になっているというものです。実際に地球に落下した隕石を観察すると、たくさんの水を含む粘土鉱物(蛇紋石、緑泥石、滑石、サポナイト、モンモリロナイト)があります
これらは、低温で水と反応してできた鉱物です
たとえば、蛇紋石は、かんらん石と輝石と水が反応することでつくられます

水蒸気分圧が10のマイナス7乗付近だとすると、この粘土鉱物は80℃以下で安定に存在します
逆に、80℃以上になると水を含む蛇紋石ではなく、無水のかんらん石と輝石が安定になります

ナノ粒子の粒間にある水が地球の水の起源になった可能性もあります
宇宙空間での気相から固体が凝集することを模した実験では、ナノ粒子ができています
また、現在の地表にたくさんあるナノ粒子は、粒間に多量の水を含んでいます

ナノ粒子は、数ナノメートルほどの粒状の物質で、ナノ粒子とナノ粒子の間に水が入っています
このナノ粒子は非晶質のために分析が困難であり、最近になって地球の表面にも多量に存在することがわかってきました
このようなナノ粒子が地球に降り注ぎ、多量の水を地球にもたらした可能性もあります

粘土鉱物は地球や火星の近傍では安定ですが、水星や金星の近傍だと温度が高いために不安定になります
したがって、水星や金星の近くでは粘土鉱物は少ないと考えられます
また、ナノ粒子の粒間にある水も温度が高くなると気体となって出ていくために、水星や金星の近傍だとナノ粒子の粒間に水をあまり含みません

あるいは、スノーラインの外側でできた氷が地球の軌道に飛んできたという説もあります
しかし、地球近傍では温度がマイナス80℃よりも高いので氷は気体に変化してしまい、地球の重力で気体の水を引きつけることはできないと考えられます

以上から、地球と火星には温度が低いために、水を含む粘土鉱物やナノ粒子が多量に集積し、水星や金星には温度が高いために水を含む粘土鉱物やナノ粒子がほとんど集積しなかったと考えられます
この結果、水星と金星には水がほとんどなく、地球と火星には水が集積したのです

なぜ火星には水が少ないのか?
ここで疑問が出てきます
それは、地球に比べて火星表面には少量の水しかないことです
なぜ地球の表面に多量の水があり、火星の表面に水があまりないのでしょうか? 
それは火星が地球の10分の1ほどの質量しかないからだと考えられます
地球は大きいので重力も大きく水が地球から逃げず、火星は重力が小さいので水が火星から逃げたと考えられます
気体の惑星からの逃げやすさの程度は、気体分子の分子量から推定できます
あたりまえのことかもしれませんが、分子量が小さいと逃げやすく、分子量が大きいと逃げにくいのです

分子量が小さい水素分子は、どの地球型惑星からも宇宙に逃げてしまいます
分子量が大きい二酸化炭素は水星のようにサイズが小さく温度が高い惑星だと宇宙に逃げてしまいますが、金星、地球、火星くらいのサイズになると宇宙に逃げずに惑星に残ります

水の場合はどうでしょうか
水は、水素と二酸化炭素との中間の分子量なので、地球には残りましたが、重力が小さい火星からはほとんどが宇宙に拡散してしまったと推測できます
これが、地球には水が多量にあり火星には水があまりない理由です

実際に、火星から水が宇宙空間に拡散したという証拠があります
それは、火星のアルゴン(Ar)の同位体が、地球のアルゴンに比べて重くなっていることです

アルゴンは、化学反応を起こさないので、化学反応によって同位体比が異なる物質ができません
火星のアルゴンの同位体が重い原因は、アルゴンが宇宙に拡散したためとしか考えられません
軽い同位体のアルゴンのほうが重いアルゴンよりも高くまで飛ぶので、宇宙に拡散しやすいのです
この結果、軽いアルゴンが宇宙に拡散すると、火星に重いアルゴンの割合が増えるのです
火星のアルゴンが重いことはアルゴンが宇宙に拡散したことを表しているのです

火星では水よりも重いアルゴンでさえ宇宙に拡散するので、アルゴンよりも軽い水はもっと宇宙に拡散しやすいことになります

地球にある多量の水が、地球の運命を決めたと言えるでしょう
水は地球内部の物質の粘性を低くして地球内部の対流を促進させました
この地球内部の対流が地表の物質を循環させました
その結果、地表の物質は熱い場所や冷たい場所を循環するようになりました
そして、熱い場所や冷たい場所でそれぞれ安定になるように反応したのです

また、水は物質を溶かして移動させたり、物質の反応を加速させたりします
この結果、地球には大陸ができ、生命が誕生し、鉄や銅などの資源が濃集したのです
地球の物質大循環には、揮発性物質である「水」の存在が大きくかかわっているのです

(この記事は、現代ビジネスの記事で作りました)

(関連記事)

1.地球の歴史を「3つの時代」に分けたら・・・46億年間で最もインパクト大だった「意外な出来事」が浮かび上がった

地球の歴史は「3つの時代」で考えると分かりやすい
地球の歴史は、大きく3つの時代に分けるとわかりやすいでしょう

第一は、46億年前から38億年前までの巨大隕石(惑星や微惑星)が何度か落下した時代です
第二は、38億年前から5億4000万年前までの、ゆっくりと大陸が成長した時代です
第三は、5億4000万年前から現在までの生命大進化の時代です

それぞれの時代で、特徴的な物質の変化がありました
第一の時代には、巨大隕石が地球に度々落下しました
巨大隕石が落下すると地表の温度は上がって、岩石の海(マグマオーシャン)ができました
マグマオーシャンは、表面の岩石のすべてが液体になっている場合もありますが、液体に固体が混じっている場合もあります
このように、地球表面の岩石の全部または一部が溶けている状態を「マグマオーシャン」といいます

そのころの地球は、マグマオーシャン、および水素、水、メタン、二酸化炭素、硫化水素、アンモニアを主成分とした大気で覆われていました地表が1000℃付近まで冷えてマグマオーシャンが固まり地殻となると、マグマオーシャンに溶けていた水素、水、メタン、二酸化炭素、硫化水素、アンモニアも大気に吐き出されました
そして、水素が宇宙に拡散すると、メタンは二酸化炭素となり、アンモニアは窒素となって、大気には水と二酸化炭素と硫化水素と窒素が残りました
さらに温度が低下すると大気は海と大気とに分離しました

しかし、巨大隕石が再度落下すると地殻はまた溶けてマグマオーシャンとなります
そして海も消滅しました
地球は、巨大隕石の落下のたびに、このように高温から低温になる変化を繰り返しました
巨大隕石が落下しなくなると、地表に地殻と海と大気を残して第一の時代は終了しました

生物の「爆発的進化」はどのように起きたのか
第二の時代になると、巨大隕石の落下もなくなり、地球は冷えた状態でゆっくりと変化しました
生命が海嶺の地下で誕生し、海でゆっくりと進化しました
そして、大陸がゆっくりと成長し、海底には鉄が沈殿して縞状鉄鉱床ができました
この時代には、鉱物資源やウラン資源が海底や地下にできていました

第三の時代は、植物が上陸することにより始まりました
植物の上陸は、植物の光合成活動を活発にして、大気の二酸化炭素濃度を減少させ酸素濃度を増加させました
二酸化炭素濃度の減少は、大陸地殻の成長を鈍化させ、酸素濃度の増加は生物の進化を加速させました

この時代の地球を遠くから見ると、ほとんど変化していないように見えたかもしれません
しかし、近くで実際に見れば、生物が爆発的に進化していることがわかったでしょう

また、この時代になると、植物や動物の死骸を原料とした、石炭や石油などのエネルギー資源が地下に蓄積されていきました

以上が、地球史における「もっとも重要だった変化」の概観です
私たち人類の登場など、地球にとっては瞬きにも満たない、ごくごく一瞬の出来事なのです

2.かつて、地球の大気は「二酸化炭素」で満ちていたが・・・なぜ消えたのか?それは、地球温暖化の「真の原因」にも関わる話だった

大気から消えた二酸化炭素のナゾ
水につぐ第二の揮発性物質は二酸化炭素です
しかし、かつて二酸化炭素は今よりずっと濃密に大気中に満ちていたことをご存じでしょうか

マグマオーシャンがあったとき、メタンや二酸化炭素は一部が大気にあり、一部がマグマオーシャンに溶けていました
地表が固化しマグマオーシャンが消滅すると、マグマオーシャンに溶けていたメタンと二酸化炭素は大気に排出されました

マグマオーシャンがあったときおよびマグマオーシャンが消滅した直後に、水素は宇宙に拡散したために、メタンは水に酸化されて二酸化炭素となりました
そして、マグマオーシャンが消滅した直後にメタンは大気から消滅し、すべてが二酸化炭素になりました
このとき、大気中の二酸化炭素は約43バールあったと推定されます

この値は、現在の堆積物や岩石や海水や大気に含まれている炭素のすべてが初期地球の大気に二酸化炭素として存在したとして計算したものです

地球温暖化の真の原因は?
二酸化炭素は温度低下とともに、大気と海にどのように分配されたかを見てみましょう
大気中に排出された二酸化炭素は、地表の温度が374℃よりも高いとき、超臨界状態にある水と共存していました

地表の温度が臨界点(374℃)より少し(たとえば370℃くらいに)低下すると、海に溶けた二酸化炭素の割合は11%くらいになりました
海に11%ほど溶けている状態が100℃くらいまで続きました
これは、温度低下で海の量は増えたのですが、二酸化炭素の溶解度が温度低下で低くなったために海への溶解量はほとんど変化しなかったからです
100℃より温度が低下すると、海への溶解量が増え始めました
43バールもあった二酸化炭素は、温度が15℃まで低下すると、34%が海に溶けました

人間が排出した二酸化炭素が原因で地表の温度が上昇しているといわれています
しかし、海水中にある二酸化炭素と大気中にある二酸化炭素の総量が一定であった場合、海水の温度が上がれば大気中の二酸化炭素濃度は上がり、海水の温度が下がれば大気中の二酸化炭素濃度は下がります

現在の地球は、海水の温度が上がったので、大気中の二酸化炭素濃度が上がったとも考えられます

3.地球だけに生命が存在できるようになったのは一体なぜか・・・「死せる惑星たち」と「地球」を分けた「シンプルな要因」

地球とはどんな惑星か、考えてみよう
地球は、人類にとって快適な環境や有用な資源に恵まれています
そしてそれらは長い時間をかけてかたちを変えながら循環してできたことをこれまで見てきました
これは、太陽系惑星のうちで地球だけの特徴です
地球だけがどうして、このような特徴を持っているかを考えてみます

地球だけが「物質循環」している
地球は、太陽系惑星の中で特異な存在です
地球には、大陸と海があり、大気に多量の酸素があり、生命が誕生して進化し、エネルギー資源や鉱物資源が濃集しています
これらは、地球の46億年間の歴史の中で、少しずつできてきました
いっぽう、地球以外の他の惑星は、惑星ができたばかりの46億年前の頃からほとんど変化しておらず、地球のように快適な環境や有用な資源がありません
地球が変化を続けている生きた惑星であるのに対して、太陽系の他の惑星は、言うなれば「ほとんど変化のない死んだ惑星」なのです

地球だけが変化し続ける惑星になった理由は、「地球と太陽からの距離」および「惑星の大きさ」がちょうどよかったことにあります
地球型惑星は太陽に近いために岩石の惑星となったので、熱源となる放射性元素(カリウム、トリウム、ウランなど)が多量にあり内部で熱を発生させることができました

いっぽう、木星型惑星や天王星型惑星は、太陽から遠いために氷の惑星となったので、熱源となる放射性元素が少なく内部で熱をほとんど発生することができませんでした

つまり、内部の熱対流の原因となる熱源が地球型惑星にはあって、木星型惑星や天王星型惑星にはほとんどなかったのです
熱源がほとんどない木星型惑星や天王星型惑星は、内部で熱対流を起こさないのです

地球型惑星には熱対流の原因となる熱源はありますが、熱源があるだけでは熱対流は起きません
熱対流が起きるためには内部の粘性が低く(軟らかく)なければなりません
地球の内部は、他の地球型惑星に比べて粘性が低いのです。それは地球内部に水がたくさんあることによります
水があるとケイ素―酸素―ケイ素の結合が加水分解して切れるので、マントルの粘性が低くなるのです

地球型惑星のうち、地球だけに多量の水があった理由を簡単に復習しておきます
地球の水の起源は宇宙空間にあった含水ケイ酸塩鉱物だと考えられています
この含水ケイ酸塩鉱物は、水星や金星近傍の軌道では温度が高すぎて不安定であり、水を吐き出して無水のケイ酸塩鉱物になってしまいます
このために水星や金星には含水ケイ酸塩鉱物が降り注いでこないために水が集積しませんでした

いっぽう、地球や火星の近くの宇宙空間は温度がやや低いために含水ケイ酸塩鉱物があり、これらの鉱物が地球や火星に集積したために、地球や火星には多量の水が集積したのです
それではなぜ地球に水が多量にあり火星には水が少ししかないのでしょうか
それは、地球はサイズが大きく重力も大きいために水分子はあまり宇宙空間に拡散しなかったのに対して、火星はサイズが小さく重力も小さいためにほとんどの水が宇宙に拡散してしまったからです

このように、地球に多量にあった熱源と水は、地球に生きる力をあたえました
地球内部(マントル)の熱源と水によって、地球のマントルは熱対流したのです
つまり、熱エネルギーを運動エネルギーに変換することができたのです
そして、マントルの熱対流が、地球の表面にある物質を循環させているのです

(これらの関連記事は、月村勝宏著『地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです)
(この記事は、講談社のホームページの記事で作りました)

地球が生命の惑星となったのは関連記事の「3.地球だけに生命が存在できるようになったのは一体なぜか・・・「死せる惑星たち」と「地球」を分けた「シンプルな要因」」でも記載されているように「太陽と地球の距離」が大きいと思う

関連記事は、書籍「地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である」を抜粋・再編集したものだが、私自身も「太陽と地球の距離」「太陽の恩恵」が大きいと考える

それについては、本ブログの関連記事「デス・スターのような土星衛星「ミマス」の地下に海が存在!?地球外生命体の可能性を探る」記事本文の感想でも述べている

地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である (ブルーバックス) 新書

地球が「水の惑星」「生命の惑星」となった要因を解説
posted by june at 04:34| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする