2024年03月04日

深い青のイメージは全く誤解だった!海王星の真の色が判明

オックスフォード大学などの研究チームは、人間の目で天王星と海王星を見たときに感じる、正確な「真の色」を導きました
その結果、二つの惑星は実はかなり似た色をしていることがわかりました

●巨大氷惑星のイメージ
これまでに天王星と海王星を直接訪れた探査機は「ボイジャー2号」のみで、ボイジャーが撮影した実写画像が2つの巨大氷惑星の代表的なイメージとして定着しています

具体的に、天王星は淡い青色、海王星は深い青色をしているというこのイメージがあると思います

しかし実は、このイメージは誤解であり、「真の色」を反映しているわけではありません

特に海王星は表面の雲や風などの構造を強調するため、実際と比べて色に補正がかけられています

補正がかけられていることはわかっていたため、この画像が公開された当初は、これが着色されたものであるという説明が画像と共に添えられていましたが、時間経過とともに記述されないことが増えていきました

●新たに判明した「真の色」
オックスフォード大学などの研究チームは、人間の目で天王星と海王星を見たときの正確な「真の色」を導くことに成功したと新たに発表しました

実際の見た目の色が反映された新たな画像を見てみると、二つの惑星は実はかなり似た色をしていることがわかります

真の色を割り出すにあたり、「ハッブル宇宙望遠鏡」などの観測データを用い、さらに別の研究で得られた、人間の目の「色の認識の仕方」に関するデータも利用しました

これまでイメージされていたほどではないものの、真の色の比較においても海王星の方が微妙に深い青をしていますが、これはなぜでしょうか?

そもそも巨大氷惑星の青っぽい色の原因は、その大気に含まれるメタンにあるとされています

メタンは様々な色の光を含んだ太陽光のうち、青い光以外を吸収します
そのため惑星表面で反射してくる太陽光は吸収されずに残った青い光が多くなり、両者とも青っぽく見えています。

しかしこれらの惑星大気には様々な色を含んだ太陽光全体を反射する「もや」が含まれており、両者とも白っぽくも見えています

天王星の方が大気中に含まれるもやの層が厚いためより白っぽく見え、海王星は深い青の成分が多く残っているのです

●天王星の色が変化する理由も解明
本研究では巨大氷惑星の真の色が導かれただけでなく、天王星の色が変化して見える謎についても解明されました

天王星は地球からの見た目の色や明るさが、数十年単位という非常に長い時間をかけてゆっくりと変化していることが知られています

具体的には、天王星は夏至と冬至の時期に緑色が濃くなる傾向にある一方、春分と秋分の時期には青色が濃くなる傾向にあります

では天王星の見た目の色が長期的に変化する要因は何なのでしょうか?

いくつかの要因のうち一つは、天王星の特異な自転軸の傾きのために、季節ごとに地球から見える面が異なるためです

太陽系の惑星は全てほぼ同じ平面上を公転しており、かつほとんどの惑星はその平面に対して垂直に近い角度の自転軸を持っているため、地球から北極と南極の極域を観測することは困難です

ですが天王星だけは例外で、ほぼ横倒し状態で自転しています

そのため夏至と冬至の時期には北極か南極のどちらかが(太陽と地球がある)太陽系の内側の方向を向き、春分点と秋分点では赤道域が太陽系の内側を向くことになります

季節ごとに地球から見える惑星表面の領域が変化するという特徴は、横倒し状態で自転する天王星ならではの特徴と言えます

さらに極域と赤道域では、太陽光の色ごとの反射率が異なっており、見た目の色や明るさに違いがあります

これらのことから、地球から見て天王星の色や明るさが長期的に変化して見えるのは、84年という天王星の長い公転周期の中で、地球から見える領域が変化してきたためであると考えられてきました

ですが、そもそも極域と赤道域で、光の反射率が異なるその根本的な原因については未解明でした

そこで研究者たちは、天王星の極域と赤道域の色ごとの反射率を比較するモデルを開発しました

すると極域は赤道域と比べ、緑と赤の色の光をよく反射すると判明しました

この性質のため、地球から極域がよく見える夏至と冬至の時期は、天王星の色が緑っぽく見えていたのです

さらに、極域がより赤色や緑色の光を反射しやすい理由も解明されました

赤色や緑色の光を吸収する性質を持つメタンガスの存在量が、赤道域の約半分と少ないことが挙げられます

そして凍ったメタンの小さな粒も存在しており、これがさらに多くの赤色や緑色の光を反射するため、より顕著な色の変化として観測されていました

天王星と海王星は他の惑星と比べると非常に距離が遠く、まだわかっていない謎も多いですが、今回の研究のように新発見が続々ともたらされています

NASAは、天王星の現地探査を比較的優先度の高いミッションとして捉えているため、今後そういった探査が実現し、急激にその謎が解明されていく期待が高まっています


https://academic.oup.com/mnras/article/527/4/11521/7511973
https://www.eurekalert.org/news-releases/1030165
https://www.ox.ac.uk/news/2024-01-05-new-images-reveal-what-neptune-and-uranus-really-look-0
https://www.gemini.edu/pr/gemini-north-telescope-helps-explain-why-uranus-and-neptune-are-different-colors

(この記事は、宇宙ヤバイchキャベチの記事で作りました)

オックスフォード大学などの研究チームは、人間の目で天王星と海王星を見たときに感じる、正確な「真の色」を導きました

これまでに天王星と海王星を直接訪れた探査機は「ボイジャー2号」のみで、ボイジャーが撮影した実写画像が2つの巨大氷惑星の代表的なイメージとして定着しています

具体的に、天王星は淡い青色、海王星は深い青色をしているというこのイメージがあると思います

しかし実は、このイメージは誤解であり、「真の色」を反映しているわけではありません

特に海王星は表面の雲や風などの構造を強調するため、実際と比べて色に補正がかけられています

補正がかけられていることはわかっていたため、この画像が公開された当初は、これが着色されたものであるという説明が画像と共に添えられていましたが、時間経過とともに記述されないことが増えていきました

しかし、「真の色」では二つの惑星はかなり似た色です

両方とも白っぽいですね

さらに天王星の色が時節で変化する理由も今回の研究で解明されました

天王星と海王星は、太陽系の太陽からの惑星の配列の水金地火木土天海(すいきんちかもくどってんかい)でもわかるように地球から遠くまだまだ謎が多いですが、今回のように解明も徐々にではありますが進んでいます

我々の住む太陽系でさえ謎が多いのですから、宇宙全体が謎だらけなのもうなずけます

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太陽系は太陽を中心に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天皇星、海王星やおなじみ地球の衛星・月などで構成されています
posted by june at 13:15| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

世界の七不思議「オリンピアのゼウス像」とは、神々の原型となった金と象牙の巨大座像

右手に勝利の女神ニケを載せ、左手には杖 ナポレオンやジョージ・ワシントンにも影響

古代ギリシャの都市国家エリスに位置するオリンピアの聖域には、ゼウス神殿があり、かつては金の衣をまとった巨大なゼウス像が祭られていた
ゼウス像は壮麗な玉座に腰かけていたにもかかわらず、高さは約12メートルもあったという
紀元前1世紀の地理学者ストラボンは、「ゼウスが立ち上がれば、頭が神殿の屋根を突き抜けてしまうほどの大きさ」だと記している

職人の技は驚くほど精緻で、複雑な彫刻や装飾が施され、目には貴重な宝石が使われていた
この像は紀元前225年には、ビザンティウムの数学者フィロンやシドンの作家アンティパトロスなどにより、「世界の七不思議」の1つと呼ばれていた
この七不思議のリストには、他にはギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、アレクサンドリアの大灯台、マウソロス霊廟などが挙げられていた

オリンピック発祥の地
ゼウス像が建設されるよりもずっと前の紀元前776年、オリンピアで最高神ゼウスに奉納するための競技会が始まった
古代オリンピックだ
以来4年に1度ずつ、ギリシャ全土の都市国家から競技者と観客がオリンピアに集まるようになり、戦争中の国々も戦いを休止し、平和的な競技によって神々を称えた

やがて、エリスと、隣接する都市国家ピサとがオリンピックの開催権をめぐって互いに激しく争うようになった
だが、エリスは紀元前464年にピサを滅ぼして開催権を確保し、戦利品を使ってゼウスを祭る壮大な神殿の建設に着手する

神殿の建設を任されたのは地元の建築家リボンだった
彼が建てた巨大なドーリア式神殿の正面には6本、側面には13本の円柱が並んでいた
中央の身廊(入り口から祭壇前までの中央部分)を取り囲むように2階があり、正面扉の両側から階段で上ることができた

ギリシャの神話や伝承の人物を描いた見事な彫刻が神殿を飾っていた
その多くは現存し、アテネの国立考古学博物館に展示されている
しかし、一番の傑作は神殿の内部にあった

天才彫刻家
ゼウス像の制作を依頼されたのは、当時ギリシャ全土に名声をとどろかせていた芸術家で建築家のフェイディアスだった

フェイディアスは、木製の彫像の表面に滑らかな象牙と輝く金を貼り付ける技法で巨大なゼウス像を制作することにした
ほぼ同時期に制作された彼の代表作の1つ、アテネのパルテノン神殿に祭られていたアテナ像と同じ技法だ

オリンピアの聖域にあったフェイディアスの工房は、2列に並んだ円柱により3つの身廊に分かれており、神殿内のゼウス像を安置する場所と同じ寸法になっていた

フェイディアスはゼウスの顔や体などの細部を丹念に彫刻し、表情、髪、ひげ、衣服のひだなどの表現にも磨きをかけ、像に生命を吹き込んだ貴石や色ガラスなど、さまざまな素材が像を引き立てるために使われた
金と象牙が美しく輝くように、完成した彫像は磨き上げられ、象牙と木材の保護のためにオリーブ油を塗布された

2世紀ギリシャの旅行家であり地理学者のパウサニアスは、著書『ギリシャ案内記』で、この像について輝かしい言葉で描写している

「ゼウス像は金と象牙でできていて、玉座に腰掛けている。頭にはオリーブの冠をかぶり、右手には勝利の女神ニケを載せている。ニケは同じく象牙と金でできていて、リボンをつけ、頭に冠を頂いた姿だ。ゼウスが左手に握っている笏(しゃく)は、あらゆる種類の金属で装飾され、その上にはワシがとまっている。ゼウスのサンダルも衣も金でできていて、衣には動物とユリの花の彫刻が施されている」

明かりの問題
ここで1つ疑問が生まれる
神殿が小さく思われるほど巨大で、入り口よりも高い位置にあるゼウス像は、どのような明かりに照らされていたのだろうか?

入り口からの光が神殿内に差し込むのは日の出のときだけだった
しかし、ランプ、ロウソク、松明などの人工的な光が主な光源であったとは考えにくい
これだけ巨大なものを照らし出すには膨大な数が必要になるからだ
屋根に天窓を設けた可能性もあるが、その場合、内部は風雨にさらされることになる

紫外線やレーザーを使った最近の研究によって、神殿の屋根には木枠に支えられた薄い半透明の大理石のタイルが載せられていて、一日中、薄暗いながらも一定の太陽光が入るようになっていた可能性が示された
この構造なら、神殿の内部と彫像を風雨から守りつつ、十分な明るさが得られたはずだ

失われた七不思議
壮麗な神殿と巨大なゼウス像が完成したことで、エリスの聖域は、古代ギリシャの最も重要な宗教的中心地の1つとなった
人々は競技のためだけでなくゼウス像を観るためにオリンピアを訪れた
ゼウス像は古代で最も有名な彫像の1つとなり、各地の硬貨の図柄になっただけでなく、神々の座像の原型にもなった

やがてローマ時代が到来し、紀元4世紀にキリスト教が普及したことが、ゼウス像にとって最大の脅威となった
ローマ皇帝テオドシウス1世は、西暦391年に異教を非合法化し、すべての古代の聖域を放棄するよう命じた
オリンピックも禁止され、オリンピアの聖域は使われなくなり、やがて廃墟と化した

その中で、ゼウス像は別の運命をたどった
テオドシウス2世の宮廷の宦官が、当時東ローマ帝国の首都だったコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)にこの像を運ばせ、ラウスス宮殿の「異教の古物」コレクションに加えたのだ

ゼウス像がそれからどうなったのかは知られていない
火災で焼失したとも、地震で失われたとも言われている
5世紀の終わりには、ゼウス像はもうなかった
天才フェイディアスの彫刻は800年の歳月を経てこの世から失われたが、その精神は決して忘れ去られてはいない

(この記事は、NATIONAL GEOGRAPHIC日本版の記事で作りました)

世界の七不思議の一つに「オリンピアのゼウス像がある

世界の七不思議とは・・・
現在、一般的には、古代世界の七不思議として伝承されてきた
ギザの大ピラミッド
バビロンの空中庭園
エフェソフのアルテミス神殿
オリンピアのゼウス像
ハリカルナッソスのマウソロス霊廟
ロドス島の巨像
アレクサンドリアの大灯台
のこと


ギリシア神話は人間くさい面もあり興味深いですね

ギリシア神話小事典 (現代教養文庫 1000) 文庫

私が長年愛読している書籍
私がギリシア神話に興味をもったきっかけ
ギリシア神話の神々は人間くささもありキャラクターが立ち面白い
この書籍は特に神々の特徴にくわしい
ギリシア神話を知るうえで簡潔によくまとまっており、おすすめ
posted by june at 04:48| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする