5日(現地時間)のNY株(ダウ平均株価)は、続落し、79ドル88セント安の3万6124ドル56セント
ハイテク株中心のナスダックは44.42ポイント高の1万4229.91
5日(日本時間)の日経平均株価は3営業日続落し、終値は前日比455円45銭安の3万2775円82銭
(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)
5日の日経平均株価の終値は前日比450円超の大幅下落
2023年12月06日
人の寿命は250年に!解明進む老化の正体、あと20年で「若返り」も夢ではない
インターネット、iPhone、そしてChatGPT・・・
革新的な技術は、いつもパラダイムシフトを引き起こしてきた
そして今また一つ、世界を変えるイノベーションが誕生しつつある
既存の学問領域にとらわれない研究を推進するフォーラム「Science-ome」に集う研究者が未来を語る連載
第1回は老化研究の第一人者でScience-ome創始者でもある慶應義塾大学の早野元詞氏
人類の夢「不老不死」を実現すべく、寿命を延ばす研究は加速している
巨額資金が集まり産業へと展開する動きも出始めている
早野氏は「まもなく人生250年の時代が来る」と語る
(竹林 篤実:理系ライターズ「チーム・パスカル」代表)
「Science-ome」とは
新進気鋭の研究者たちが、オンラインで最新の研究成果を発表し合って交流するフォーラム
「反分野的」」をキャッチフレーズに、既存の学問領域にとらわれない、ボーダーレスな研究とイノベーションの推進に力を入れている
フォーラムは基本的に毎週水曜日21時~22時(日本時間)に開催され、アメリカ、ヨーロッパ、中国など世界中から参加が出来る
企業や投資家、さらに高校生も参加している
■ 「老化は病気」である
2020年に翻訳出版され日本でも話題となった『LIFESPAN 老いなき世界』(東洋経済新報社)
この世界的なベストセラーの中で、著者である米ハーバード大学大学院のデビッド・A・シンクレア教授は、「老化は治療できる病だ」と主張した
シンクレア教授は20年以上、老化の原因探求と若返りに関する研究に取り組み、研究成果を生かすためのベンチャーも起業している
そのデビッド教授のラボで2013年から研究員を務めた慶應義塾大学特任講師の早野元詞氏は「今ではFDA(アメリカ食品医薬品局)も老化を疾患として捉え、NIH(アメリカ国立衛生研究所)はその基盤の理解と治療薬の開発を始めています
2023年の改定では見送られましたが、WHO(世界保健機関)でも老化を病として定義する動きが出ています」と、老化研究の動向を説明する
老化が病であり原因を解明できるのであれば、治療の可能性が出てくる
歴史を振り返ればすでに1932年には、カロリー制限による延命効果が明らかにされていた
後に実施されたサルの長期観察研究により、カロリー制限により健康寿命が延びる可能性が示されている
そのメカニズムとして、現在ではSRTI(サーチュイン)をはじめ多くの遺伝子が明らかにされつつあり、老化を防ぐ方法は少なくともマウスやサルなどでは見つかっていたのだ
「2000年頃から、カロリー制限によって引き起こされる長寿化のメカニズムが明らかになってきました。カロリーを制限すると細胞内でNNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と呼ばれる化合物が増えます」
NAD+は、別名『長寿遺伝子』とも呼ばれるSIRT遺伝子を活性化させて、細胞老化を遅らせるのです。ここ2~3年の間によく広告を見かけるようになったサプリメントのNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、NAD+の前駆体、つまりNAD+ができる前の段階の物質です。だからNMNを摂取すればNAD+がより多く作られて、SIRTの活性化につながる、すなわち長寿効果を期待できるというわけです」
■ 「若返り」ベンチャー、30億ドル集める
アメリカではNIHが、糖尿病薬として知られるメトホルミンのアンチエイジング(抗老化)効果を検討する治験を行っている
糖尿病の薬として世界中で多くの人に使われてきたメトホルミンなら、副作用などのリスクが少ないのではないかと期待されている
しかも大量生産されていて低コストで供給できるため、抗老化薬としての期待は大きい
化合物ではほかにも免疫抑制剤であるラパマイシンの長寿効果が、マウスレベルで明らかにされている
「今アメリカでは、アンチエイジング研究が活発に行われています。なかでも大きな注目を集めたのが、2021年に立ち上げられ山中伸弥教授もアドバイザーとして参画しているベンチャー企業、Altos Labs(アルトスラボ)です。なぜ注目を集めたのかといえば、その出資金が実に30億ドル(約4500億円)と途方もない額だったからです。資金提供者には、Amazon創業者のジェフ・ベゾスも含まれています」
日本では、医療分野の研究開発の中核的役割を担うとして国が設立した日本医療研究開発機構(AMED)関連の事業全体に設定された予算が22022年度は総額で約3300億円だから、Altos Labsへの出資金のケタ違いぶりがわかるだろう
巨額の資金でAltos Labsが目指すのは、アンチエイジングより一歩先に踏み込んだ領域であるRejuvenation(リジュビネーション)、すなわち若返りである
具体的には細胞の初期化を誘導する4つの遺伝子、通称「山中ファクター」を使って、老化した細胞を初期化して若返らせる
ほかにもサウジアラビア王室が10億ドル(約1500億円)で立ち上げたHevoluton Foundation(ヘボリューション財団)では、メトホルミンの研究に資金を投入している
2023年3月には、ChatGPTを作ったOpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が、長寿研究のスタートアップに個人で1億8000万ドル(約270億円)投資したと報じられた
老化研究はもはや単に老化を防ぐ段階から、その次のステップへと進みつつある
例えば年老いたマウスと若いマウスを結合し血液を交換するパラバイオーシスにより、老齢マウスが若返ったとの実験結果が報告されている
あるいは日本でも2021年に順天堂大学の南野徹教授が、老化細胞除去ワクチンの開発に成功した
「アンチエイジングから今では、老化を治療するリジュビネーションに注目が集まっています。すでに高齢に差し掛かっているアラブのお金持ちが巨額の投資をためらわない理由は、なんとかして若返りたいとの切実な望みがあるからでしょう。一方でさまざまな研究によって明らかになりつつあるのが、老化のメカニズムです」
■ 「歳をとると老いる」は必然ではない
老化を防いだり、老化を直す=若返らせたりする術は、少しずつ明らかになりつつある
ただし根本的な問い「そもそも人はなぜ、老化するのか」に対する答えは、これまで明らかになっていなかった
なぜなら誰もが「歳をとるとともに老いていくのは当たり前」だと疑いもしなかったからだ
けれども、その常識に早野氏らは疑問を投げかけた
「世界には、ほとんど老化しない生き物がいます。たとえばハダカデバネズミの寿命は、だいたい30年ぐらいです。ハツカネズミの寿命が3年ぐらいですから、ざっと10倍も長生きしている。しかもハダカデバネズミは年令を重ねてもほとんど老化せず、がんにもなりにくい。だから生涯を通じて若いままで、まさにコロッと死ぬ。あるいはグリーンランド近辺に生息する、ニシオンデンザメの寿命は500年といわれています。彼らにとって老化は、まったく必然ではないのです」
では、なぜヒトをはじめとする多くの生き物は老化するのか
エイジング全般の制御について、遺伝子の影響は全体の16%程度にとどまると早野氏は語る
つまり残りの84%は、生まれてからの生活全般によって決まるのだ
わかりやすい例を挙げるなら、20代に暴飲暴食を繰り返したりすると、その影響が50代以降に出てきて老化を早める
これはエピゲノムと呼ばれる現象である
■ エピゲノムという「老化の正体」
「エピゲノムとは、遺伝子そのものではなく、遺伝子発現の仕方が変化した結果として起こる現象です。たとえばDNA全体を約32億の文字で書かれた料理本とします。この本には、2万2000ぐらいの料理のレシピ、つまり特定のタンパク質の作り方が書き込まれています。ただし、この料理本には一点、とてもやっかいなところがあります。仮にカレーを作りたいと考えても、そのレシピが1カ所にまとめられていないのです。“カレー”と書かれた付箋紙が、あちこちに貼られていて、それらすべてを正確に参照しないと正しいカレーは作れません」
だとすれば、仮に付箋紙が外れてしまったり、なにかの拍子に別のページに貼り付けられたりすると何が起こるのか
それがエピゲノム、つまり遺伝子の発現の仕方が本来とは変わってしまい、何らかのトラブルを引き起こす現象だ
その結果、細胞レベルでみれば本来あるべき姿が再生されなくなる
これが老化の正体だ
「注意したいのが、エピゲノムはあくまでも付箋紙の貼り間違いである点です。だから正しい位置に付箋紙を戻せば、料理も正しく作られます。これに対して元々の料理本の文章そのものが書き換えられたり、必要なページが抜け落ちたりすると、これは本質的なトラブルとなります。つまり遺伝子変異の結果として引き起こされる疾患、例えばがんやアルツハイマー病を発症するのです。このような疾患と老化は根本的に異なる、だから元に戻せるのです」
早野氏は2013年からデビッド・A・シンクレア教授らとエピゲノムに関する共同研究に取り組んできた
その成果が2023年1月にトップジャーナル『Cell』誌に掲載された
■ 「山中ファクター」で「若返り」可能?
必要に応じて正しいレシピを参照すれば、細胞は正しく健やかな状態を維持できる
間違ったところに貼られた付箋紙を、元通りにする方法の一つとして明らかになっているのが、山中ファクターの利用だ
デビッド・A・シンクレア教授らは、山中ファクターを使ってマウスの視神経細胞を再プログラム化し、緑内障の治療を実証してみせた
早野氏らも『Cell』に論文を投稿した際にレビュアーから「論文の内容が正しいのなら、老化したマウスを若返らせてみろ」といわれて、実際に取り組んだ結果、エピゲノムに改善傾向がみられたという
「このように老化については、さまざまな事実が明らかになりつつあります。メトホルミンやNMHを投与すれば、ヒトの老化を遅らせる可能性が高まっていて、山中ファクターを使えば、若返りも不可能ではなくなるかもしれません。私は山中ファクターではなく、特定の化合物を使う若返り法を探索していて、すでに候補となる化合物をいくつも見つけています」
老化を防げるだけでなく、さらには若返りも可能となる
であるなら、その先に開けているのは、これまでとはまったく違う世界、すなわちそもそも老化などせずに生きていける世界ではないのか
望めば20代の身体状況を維持したままで、歳を重ねていけるようになる可能性もある
「おそらく人生250年という世界が、そう遠くない未来、おそらく20年ぐらい先には実現すると考えています。残念ながら私はすでに41歳ですが、もしかすると60歳ぐらいのままで、もしくは若返りを繰り返しながら200年ぐらい生きられるかもしれない」
「または、身体機能を若く保つ技術ができれば宇宙などの過酷な環境で、長期間生活し、別の星までいく時代が来るかもしれない。老化を制御するというアイデアはとんでもない夢のような話、だけれども、これまでに世界を変えてきたイノベーションを思い出してもらえれば、あながち夢物語ではないと理解してもらえるのではないでしょうか」
早野氏も老化研究に取り組むためのベンチャー(One genomics.Inc)を、すでにアメリカで起業済みで、早ければ10年後には世界を変える自信があるという
その視線の先には、どのような未来像が見えているのだろうか
(この記事は、JB pressの記事で作りました)
私も不老不死について考えたことがある
しかし中国の仙人のように不老不死を実現しても現在の自分ではなくなるようだ
自分の生まれ変わりであっても現在の自分ではない
感覚的には生まれ変わりに近い
生まれ変わりがあるとして、人は前世の記憶が普通ない
いわゆる「精神的不滅」は無理のようだ
私が考えたのは「精神的不滅」で不老不死だった
その意味で(仙人や不老不死があっても)「私の考える不老不死」は難しいと思った
秦の始皇帝など不老不死を求めたものもいる
現代は人生100年といわれ、人によっては人類は150年くらい生きられる可能性があるというし、本記事では250年まで生きられるかも・・・という
不老不死は難しくても不老長寿は可能かもしれない
LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界 単行本
ヒトは寿命が延びた
しかし、晩年まで健康で生きられれば理想だ
老化を研究し、晩年まで健康で健やかに生きることを考える
革新的な技術は、いつもパラダイムシフトを引き起こしてきた
そして今また一つ、世界を変えるイノベーションが誕生しつつある
既存の学問領域にとらわれない研究を推進するフォーラム「Science-ome」に集う研究者が未来を語る連載
第1回は老化研究の第一人者でScience-ome創始者でもある慶應義塾大学の早野元詞氏
人類の夢「不老不死」を実現すべく、寿命を延ばす研究は加速している
巨額資金が集まり産業へと展開する動きも出始めている
早野氏は「まもなく人生250年の時代が来る」と語る
(竹林 篤実:理系ライターズ「チーム・パスカル」代表)
「Science-ome」とは
新進気鋭の研究者たちが、オンラインで最新の研究成果を発表し合って交流するフォーラム
「反分野的」」をキャッチフレーズに、既存の学問領域にとらわれない、ボーダーレスな研究とイノベーションの推進に力を入れている
フォーラムは基本的に毎週水曜日21時~22時(日本時間)に開催され、アメリカ、ヨーロッパ、中国など世界中から参加が出来る
企業や投資家、さらに高校生も参加している
■ 「老化は病気」である
2020年に翻訳出版され日本でも話題となった『LIFESPAN 老いなき世界』(東洋経済新報社)
この世界的なベストセラーの中で、著者である米ハーバード大学大学院のデビッド・A・シンクレア教授は、「老化は治療できる病だ」と主張した
シンクレア教授は20年以上、老化の原因探求と若返りに関する研究に取り組み、研究成果を生かすためのベンチャーも起業している
そのデビッド教授のラボで2013年から研究員を務めた慶應義塾大学特任講師の早野元詞氏は「今ではFDA(アメリカ食品医薬品局)も老化を疾患として捉え、NIH(アメリカ国立衛生研究所)はその基盤の理解と治療薬の開発を始めています
2023年の改定では見送られましたが、WHO(世界保健機関)でも老化を病として定義する動きが出ています」と、老化研究の動向を説明する
老化が病であり原因を解明できるのであれば、治療の可能性が出てくる
歴史を振り返ればすでに1932年には、カロリー制限による延命効果が明らかにされていた
後に実施されたサルの長期観察研究により、カロリー制限により健康寿命が延びる可能性が示されている
そのメカニズムとして、現在ではSRTI(サーチュイン)をはじめ多くの遺伝子が明らかにされつつあり、老化を防ぐ方法は少なくともマウスやサルなどでは見つかっていたのだ
「2000年頃から、カロリー制限によって引き起こされる長寿化のメカニズムが明らかになってきました。カロリーを制限すると細胞内でNNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と呼ばれる化合物が増えます」
NAD+は、別名『長寿遺伝子』とも呼ばれるSIRT遺伝子を活性化させて、細胞老化を遅らせるのです。ここ2~3年の間によく広告を見かけるようになったサプリメントのNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、NAD+の前駆体、つまりNAD+ができる前の段階の物質です。だからNMNを摂取すればNAD+がより多く作られて、SIRTの活性化につながる、すなわち長寿効果を期待できるというわけです」
■ 「若返り」ベンチャー、30億ドル集める
アメリカではNIHが、糖尿病薬として知られるメトホルミンのアンチエイジング(抗老化)効果を検討する治験を行っている
糖尿病の薬として世界中で多くの人に使われてきたメトホルミンなら、副作用などのリスクが少ないのではないかと期待されている
しかも大量生産されていて低コストで供給できるため、抗老化薬としての期待は大きい
化合物ではほかにも免疫抑制剤であるラパマイシンの長寿効果が、マウスレベルで明らかにされている
「今アメリカでは、アンチエイジング研究が活発に行われています。なかでも大きな注目を集めたのが、2021年に立ち上げられ山中伸弥教授もアドバイザーとして参画しているベンチャー企業、Altos Labs(アルトスラボ)です。なぜ注目を集めたのかといえば、その出資金が実に30億ドル(約4500億円)と途方もない額だったからです。資金提供者には、Amazon創業者のジェフ・ベゾスも含まれています」
日本では、医療分野の研究開発の中核的役割を担うとして国が設立した日本医療研究開発機構(AMED)関連の事業全体に設定された予算が22022年度は総額で約3300億円だから、Altos Labsへの出資金のケタ違いぶりがわかるだろう
巨額の資金でAltos Labsが目指すのは、アンチエイジングより一歩先に踏み込んだ領域であるRejuvenation(リジュビネーション)、すなわち若返りである
具体的には細胞の初期化を誘導する4つの遺伝子、通称「山中ファクター」を使って、老化した細胞を初期化して若返らせる
ほかにもサウジアラビア王室が10億ドル(約1500億円)で立ち上げたHevoluton Foundation(ヘボリューション財団)では、メトホルミンの研究に資金を投入している
2023年3月には、ChatGPTを作ったOpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が、長寿研究のスタートアップに個人で1億8000万ドル(約270億円)投資したと報じられた
老化研究はもはや単に老化を防ぐ段階から、その次のステップへと進みつつある
例えば年老いたマウスと若いマウスを結合し血液を交換するパラバイオーシスにより、老齢マウスが若返ったとの実験結果が報告されている
あるいは日本でも2021年に順天堂大学の南野徹教授が、老化細胞除去ワクチンの開発に成功した
「アンチエイジングから今では、老化を治療するリジュビネーションに注目が集まっています。すでに高齢に差し掛かっているアラブのお金持ちが巨額の投資をためらわない理由は、なんとかして若返りたいとの切実な望みがあるからでしょう。一方でさまざまな研究によって明らかになりつつあるのが、老化のメカニズムです」
■ 「歳をとると老いる」は必然ではない
老化を防いだり、老化を直す=若返らせたりする術は、少しずつ明らかになりつつある
ただし根本的な問い「そもそも人はなぜ、老化するのか」に対する答えは、これまで明らかになっていなかった
なぜなら誰もが「歳をとるとともに老いていくのは当たり前」だと疑いもしなかったからだ
けれども、その常識に早野氏らは疑問を投げかけた
「世界には、ほとんど老化しない生き物がいます。たとえばハダカデバネズミの寿命は、だいたい30年ぐらいです。ハツカネズミの寿命が3年ぐらいですから、ざっと10倍も長生きしている。しかもハダカデバネズミは年令を重ねてもほとんど老化せず、がんにもなりにくい。だから生涯を通じて若いままで、まさにコロッと死ぬ。あるいはグリーンランド近辺に生息する、ニシオンデンザメの寿命は500年といわれています。彼らにとって老化は、まったく必然ではないのです」
では、なぜヒトをはじめとする多くの生き物は老化するのか
エイジング全般の制御について、遺伝子の影響は全体の16%程度にとどまると早野氏は語る
つまり残りの84%は、生まれてからの生活全般によって決まるのだ
わかりやすい例を挙げるなら、20代に暴飲暴食を繰り返したりすると、その影響が50代以降に出てきて老化を早める
これはエピゲノムと呼ばれる現象である
■ エピゲノムという「老化の正体」
「エピゲノムとは、遺伝子そのものではなく、遺伝子発現の仕方が変化した結果として起こる現象です。たとえばDNA全体を約32億の文字で書かれた料理本とします。この本には、2万2000ぐらいの料理のレシピ、つまり特定のタンパク質の作り方が書き込まれています。ただし、この料理本には一点、とてもやっかいなところがあります。仮にカレーを作りたいと考えても、そのレシピが1カ所にまとめられていないのです。“カレー”と書かれた付箋紙が、あちこちに貼られていて、それらすべてを正確に参照しないと正しいカレーは作れません」
だとすれば、仮に付箋紙が外れてしまったり、なにかの拍子に別のページに貼り付けられたりすると何が起こるのか
それがエピゲノム、つまり遺伝子の発現の仕方が本来とは変わってしまい、何らかのトラブルを引き起こす現象だ
その結果、細胞レベルでみれば本来あるべき姿が再生されなくなる
これが老化の正体だ
「注意したいのが、エピゲノムはあくまでも付箋紙の貼り間違いである点です。だから正しい位置に付箋紙を戻せば、料理も正しく作られます。これに対して元々の料理本の文章そのものが書き換えられたり、必要なページが抜け落ちたりすると、これは本質的なトラブルとなります。つまり遺伝子変異の結果として引き起こされる疾患、例えばがんやアルツハイマー病を発症するのです。このような疾患と老化は根本的に異なる、だから元に戻せるのです」
早野氏は2013年からデビッド・A・シンクレア教授らとエピゲノムに関する共同研究に取り組んできた
その成果が2023年1月にトップジャーナル『Cell』誌に掲載された
■ 「山中ファクター」で「若返り」可能?
必要に応じて正しいレシピを参照すれば、細胞は正しく健やかな状態を維持できる
間違ったところに貼られた付箋紙を、元通りにする方法の一つとして明らかになっているのが、山中ファクターの利用だ
デビッド・A・シンクレア教授らは、山中ファクターを使ってマウスの視神経細胞を再プログラム化し、緑内障の治療を実証してみせた
早野氏らも『Cell』に論文を投稿した際にレビュアーから「論文の内容が正しいのなら、老化したマウスを若返らせてみろ」といわれて、実際に取り組んだ結果、エピゲノムに改善傾向がみられたという
「このように老化については、さまざまな事実が明らかになりつつあります。メトホルミンやNMHを投与すれば、ヒトの老化を遅らせる可能性が高まっていて、山中ファクターを使えば、若返りも不可能ではなくなるかもしれません。私は山中ファクターではなく、特定の化合物を使う若返り法を探索していて、すでに候補となる化合物をいくつも見つけています」
老化を防げるだけでなく、さらには若返りも可能となる
であるなら、その先に開けているのは、これまでとはまったく違う世界、すなわちそもそも老化などせずに生きていける世界ではないのか
望めば20代の身体状況を維持したままで、歳を重ねていけるようになる可能性もある
「おそらく人生250年という世界が、そう遠くない未来、おそらく20年ぐらい先には実現すると考えています。残念ながら私はすでに41歳ですが、もしかすると60歳ぐらいのままで、もしくは若返りを繰り返しながら200年ぐらい生きられるかもしれない」
「または、身体機能を若く保つ技術ができれば宇宙などの過酷な環境で、長期間生活し、別の星までいく時代が来るかもしれない。老化を制御するというアイデアはとんでもない夢のような話、だけれども、これまでに世界を変えてきたイノベーションを思い出してもらえれば、あながち夢物語ではないと理解してもらえるのではないでしょうか」
早野氏も老化研究に取り組むためのベンチャー(One genomics.Inc)を、すでにアメリカで起業済みで、早ければ10年後には世界を変える自信があるという
その視線の先には、どのような未来像が見えているのだろうか
(この記事は、JB pressの記事で作りました)
私も不老不死について考えたことがある
しかし中国の仙人のように不老不死を実現しても現在の自分ではなくなるようだ
自分の生まれ変わりであっても現在の自分ではない
感覚的には生まれ変わりに近い
生まれ変わりがあるとして、人は前世の記憶が普通ない
いわゆる「精神的不滅」は無理のようだ
私が考えたのは「精神的不滅」で不老不死だった
その意味で(仙人や不老不死があっても)「私の考える不老不死」は難しいと思った
秦の始皇帝など不老不死を求めたものもいる
現代は人生100年といわれ、人によっては人類は150年くらい生きられる可能性があるというし、本記事では250年まで生きられるかも・・・という
不老不死は難しくても不老長寿は可能かもしれない
LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界 単行本
ヒトは寿命が延びた
しかし、晩年まで健康で生きられれば理想だ
老化を研究し、晩年まで健康で健やかに生きることを考える