2023年12月06日

人の寿命は250年に!解明進む老化の正体、あと20年で「若返り」も夢ではない

インターネット、iPhone、そしてChatGPT・・・
革新的な技術は、いつもパラダイムシフトを引き起こしてきた
そして今また一つ、世界を変えるイノベーションが誕生しつつある
既存の学問領域にとらわれない研究を推進するフォーラム「Science-ome」に集う研究者が未来を語る連載
第1回は老化研究の第一人者でScience-ome創始者でもある慶應義塾大学の早野元詞氏
人類の夢「不老不死」を実現すべく、寿命を延ばす研究は加速している
巨額資金が集まり産業へと展開する動きも出始めている
早野氏は「まもなく人生250年の時代が来る」と語る
 (竹林 篤実:理系ライターズ「チーム・パスカル」代表)

「Science-ome」とは
新進気鋭の研究者たちが、オンラインで最新の研究成果を発表し合って交流するフォーラム
「反分野的」」をキャッチフレーズに、既存の学問領域にとらわれない、ボーダーレスな研究とイノベーションの推進に力を入れている
フォーラムは基本的に毎週水曜日21時~22時(日本時間)に開催され、アメリカ、ヨーロッパ、中国など世界中から参加が出来る
企業や投資家、さらに高校生も参加している

■ 「老化は病気」である

2020年に翻訳出版され日本でも話題となった『LIFESPAN 老いなき世界』(東洋経済新報社)
この世界的なベストセラーの中で、著者である米ハーバード大学大学院のデビッド・A・シンクレア教授は、「老化は治療できる病だ」と主張した
シンクレア教授は20年以上、老化の原因探求と若返りに関する研究に取り組み、研究成果を生かすためのベンチャーも起業している

そのデビッド教授のラボで2013年から研究員を務めた慶應義塾大学特任講師の早野元詞氏は「今ではFDA(アメリカ食品医薬品局)も老化を疾患として捉え、NIH(アメリカ国立衛生研究所)はその基盤の理解と治療薬の開発を始めています
2023年の改定では見送られましたが、WHO(世界保健機関)でも老化を病として定義する動きが出ています」と、老化研究の動向を説明する

老化が病であり原因を解明できるのであれば、治療の可能性が出てくる
歴史を振り返ればすでに1932年には、カロリー制限による延命効果が明らかにされていた
後に実施されたサルの長期観察研究により、カロリー制限により健康寿命が延びる可能性が示されている
そのメカニズムとして、現在ではSRTI(サーチュイン)をはじめ多くの遺伝子が明らかにされつつあり、老化を防ぐ方法は少なくともマウスやサルなどでは見つかっていたのだ

「2000年頃から、カロリー制限によって引き起こされる長寿化のメカニズムが明らかになってきました。カロリーを制限すると細胞内でNNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と呼ばれる化合物が増えます」
NAD+は、別名『長寿遺伝子』とも呼ばれるSIRT遺伝子を活性化させて、細胞老化を遅らせるのです。ここ2~3年の間によく広告を見かけるようになったサプリメントのNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、NAD+の前駆体、つまりNAD+ができる前の段階の物質です。だからNMNを摂取すればNAD+がより多く作られて、SIRTの活性化につながる、すなわち長寿効果を期待できるというわけです」

■ 「若返り」ベンチャー、30億ドル集める

アメリカではNIHが、糖尿病薬として知られるメトホルミンのアンチエイジング(抗老化)効果を検討する治験を行っている
糖尿病の薬として世界中で多くの人に使われてきたメトホルミンなら、副作用などのリスクが少ないのではないかと期待されている
しかも大量生産されていて低コストで供給できるため、抗老化薬としての期待は大きい
化合物ではほかにも免疫抑制剤であるラパマイシンの長寿効果が、マウスレベルで明らかにされている

「今アメリカでは、アンチエイジング研究が活発に行われています。なかでも大きな注目を集めたのが、2021年に立ち上げられ山中伸弥教授もアドバイザーとして参画しているベンチャー企業、Altos Labs(アルトスラボ)です。なぜ注目を集めたのかといえば、その出資金が実に30億ドル(約4500億円)と途方もない額だったからです。資金提供者には、Amazon創業者のジェフ・ベゾスも含まれています」

日本では、医療分野の研究開発の中核的役割を担うとして国が設立した日本医療研究開発機構(AMED)関連の事業全体に設定された予算が22022年度は総額で約3300億円だから、Altos Labsへの出資金のケタ違いぶりがわかるだろう

巨額の資金でAltos Labsが目指すのは、アンチエイジングより一歩先に踏み込んだ領域であるRejuvenation(リジュビネーション)、すなわち若返りである
具体的には細胞の初期化を誘導する4つの遺伝子、通称「山中ファクター」を使って、老化した細胞を初期化して若返らせる

ほかにもサウジアラビア王室が10億ドル(約1500億円)で立ち上げたHevoluton Foundation(ヘボリューション財団)では、メトホルミンの研究に資金を投入している
2023年3月には、ChatGPTを作ったOpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が、長寿研究のスタートアップに個人で1億8000万ドル(約270億円)投資したと報じられた

老化研究はもはや単に老化を防ぐ段階から、その次のステップへと進みつつある
例えば年老いたマウスと若いマウスを結合し血液を交換するパラバイオーシスにより、老齢マウスが若返ったとの実験結果が報告されている
あるいは日本でも2021年に順天堂大学の南野徹教授が、老化細胞除去ワクチンの開発に成功した

「アンチエイジングから今では、老化を治療するリジュビネーションに注目が集まっています。すでに高齢に差し掛かっているアラブのお金持ちが巨額の投資をためらわない理由は、なんとかして若返りたいとの切実な望みがあるからでしょう。一方でさまざまな研究によって明らかになりつつあるのが、老化のメカニズムです」

■ 「歳をとると老いる」は必然ではない

老化を防いだり、老化を直す=若返らせたりする術は、少しずつ明らかになりつつある
ただし根本的な問い「そもそも人はなぜ、老化するのか」に対する答えは、これまで明らかになっていなかった
なぜなら誰もが「歳をとるとともに老いていくのは当たり前」だと疑いもしなかったからだ

けれども、その常識に早野氏らは疑問を投げかけた

「世界には、ほとんど老化しない生き物がいます。たとえばハダカデバネズミの寿命は、だいたい30年ぐらいです。ハツカネズミの寿命が3年ぐらいですから、ざっと10倍も長生きしている。しかもハダカデバネズミは年令を重ねてもほとんど老化せず、がんにもなりにくい。だから生涯を通じて若いままで、まさにコロッと死ぬ。あるいはグリーンランド近辺に生息する、ニシオンデンザメの寿命は500年といわれています。彼らにとって老化は、まったく必然ではないのです」

では、なぜヒトをはじめとする多くの生き物は老化するのか
エイジング全般の制御について、遺伝子の影響は全体の16%程度にとどまると早野氏は語る
つまり残りの84%は、生まれてからの生活全般によって決まるのだ
わかりやすい例を挙げるなら、20代に暴飲暴食を繰り返したりすると、その影響が50代以降に出てきて老化を早める
これはエピゲノムと呼ばれる現象である

■ エピゲノムという「老化の正体」

「エピゲノムとは、遺伝子そのものではなく、遺伝子発現の仕方が変化した結果として起こる現象です。たとえばDNA全体を約32億の文字で書かれた料理本とします。この本には、2万2000ぐらいの料理のレシピ、つまり特定のタンパク質の作り方が書き込まれています。ただし、この料理本には一点、とてもやっかいなところがあります。仮にカレーを作りたいと考えても、そのレシピが1カ所にまとめられていないのです。“カレー”と書かれた付箋紙が、あちこちに貼られていて、それらすべてを正確に参照しないと正しいカレーは作れません」

だとすれば、仮に付箋紙が外れてしまったり、なにかの拍子に別のページに貼り付けられたりすると何が起こるのか
それがエピゲノム、つまり遺伝子の発現の仕方が本来とは変わってしまい、何らかのトラブルを引き起こす現象だ
その結果、細胞レベルでみれば本来あるべき姿が再生されなくなる
これが老化の正体だ

「注意したいのが、エピゲノムはあくまでも付箋紙の貼り間違いである点です。だから正しい位置に付箋紙を戻せば、料理も正しく作られます。これに対して元々の料理本の文章そのものが書き換えられたり、必要なページが抜け落ちたりすると、これは本質的なトラブルとなります。つまり遺伝子変異の結果として引き起こされる疾患、例えばがんやアルツハイマー病を発症するのです。このような疾患と老化は根本的に異なる、だから元に戻せるのです」

早野氏は2013年からデビッド・A・シンクレア教授らとエピゲノムに関する共同研究に取り組んできた
その成果が2023年1月にトップジャーナル『Cell』誌に掲載された

■ 「山中ファクター」で「若返り」可能? 

必要に応じて正しいレシピを参照すれば、細胞は正しく健やかな状態を維持できる
間違ったところに貼られた付箋紙を、元通りにする方法の一つとして明らかになっているのが、山中ファクターの利用だ
デビッド・A・シンクレア教授らは、山中ファクターを使ってマウスの視神経細胞を再プログラム化し、緑内障の治療を実証してみせた

早野氏らも『Cell』に論文を投稿した際にレビュアーから「論文の内容が正しいのなら、老化したマウスを若返らせてみろ」といわれて、実際に取り組んだ結果、エピゲノムに改善傾向がみられたという

「このように老化については、さまざまな事実が明らかになりつつあります。メトホルミンやNMHを投与すれば、ヒトの老化を遅らせる可能性が高まっていて、山中ファクターを使えば、若返りも不可能ではなくなるかもしれません。私は山中ファクターではなく、特定の化合物を使う若返り法を探索していて、すでに候補となる化合物をいくつも見つけています」

老化を防げるだけでなく、さらには若返りも可能となる
であるなら、その先に開けているのは、これまでとはまったく違う世界、すなわちそもそも老化などせずに生きていける世界ではないのか
望めば20代の身体状況を維持したままで、歳を重ねていけるようになる可能性もある

「おそらく人生250年という世界が、そう遠くない未来、おそらく20年ぐらい先には実現すると考えています。残念ながら私はすでに41歳ですが、もしかすると60歳ぐらいのままで、もしくは若返りを繰り返しながら200年ぐらい生きられるかもしれない」

「または、身体機能を若く保つ技術ができれば宇宙などの過酷な環境で、長期間生活し、別の星までいく時代が来るかもしれない。老化を制御するというアイデアはとんでもない夢のような話、だけれども、これまでに世界を変えてきたイノベーションを思い出してもらえれば、あながち夢物語ではないと理解してもらえるのではないでしょうか」

早野氏も老化研究に取り組むためのベンチャー(One genomics.Inc)を、すでにアメリカで起業済みで、早ければ10年後には世界を変える自信があるという
その視線の先には、どのような未来像が見えているのだろうか

(この記事は、JB pressの記事で作りました)

私も不老不死について考えたことがある

しかし中国の仙人のように不老不死を実現しても現在の自分ではなくなるようだ

自分の生まれ変わりであっても現在の自分ではない

感覚的には生まれ変わりに近い

生まれ変わりがあるとして、人は前世の記憶が普通ない

いわゆる「精神的不滅」は無理のようだ

私が考えたのは「精神的不滅」で不老不死だった

その意味で(仙人や不老不死があっても)「私の考える不老不死」は難しいと思った

秦の始皇帝など不老不死を求めたものもいる

現代は人生100年といわれ、人によっては人類は150年くらい生きられる可能性があるというし、本記事では250年まで生きられるかも・・・という

不老不死は難しくても不老長寿は可能かもしれない


LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界 単行本

ヒトは寿命が延びた
しかし、晩年まで健康で生きられれば理想だ
老化を研究し、晩年まで健康で健やかに生きることを考える
posted by june at 03:51| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月05日

NY株は、5営業日ぶりに反発

4日(現地時間)のNY株(ダウ平均株価)は、5営業日ぶりに反落し、終値は前週末比41ドル06セント安の3万6204ドル44セント

ハイテク株中心のナスダックは119.54ポイント安の1万4185.49




4日(日本時間)の日経平均株価は続落し、終値は前日比200円24銭安の3万3231円27銭


(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)
posted by june at 06:39| Comment(0) | 株価動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

現状AIでは敵わない「手塚(治虫)は天才」 『ブラック・ジャック』新作完成で実感した手塚パワー

大人気漫画『ブラック・ジャック』の新作が完成し、22日発売の『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)52号に掲載されることが20日、慶應義塾大学 三田キャンパスで行われた『TEZUKA2023「ブラック・ジャック」新作お披露目イベント』で発表された
AIを活用した漫画制作だが、手塚プロダクションの手塚眞氏や週刊少年チャンピオン編集部は課題点をあげた

AIと人間のコラボレーションで漫画の神様・手塚治虫に挑み、新作『ぱいどん』を生み出したプロジェクト『TEZUKA2020』から3年
その後も、プロジェクトメンバーであった慶応義塾大学栗原聡教授と手塚眞氏、手塚プロダクションが中心となり、「AIと人間の共創マンガの実現」に取り組んできた

そして今年『TEZUKA2023』として今年誕生50周年を迎えた『ブラック・ジャック』の新作制作に着手
前作の経験で、クリエイティブの分野においてはインタラクティブ性の高い共創型AIサポートシステムの存在が、人ならではの能力である創造性の発揮につながることに着目
研究を重ね、今回の制作においてはクリエイターとAIのインタラクティブなやりとりがポイントになっており、今回のプロジェクトではクリエイター自身がAIを操作しながら制作された

新作のタイトルは「TEZUKA2023 ブラック・ジャック 機械の心臓-Heartbeat Markll」で、原作は手塚治虫、作者はTEZUKA2023プロジェクト
22日の発売号では32ページが掲載され、表紙&巻頭カラーで登場する

AIが利用・学習した手塚作品は「ブラック・ジャック」200話分のテキストデータ、短編漫画200話分のテキストデータ、手塚キャラクター2万枚の顔画像データ、「ブラック・ジャック」4000ページ分のコマデータを使用

制作は仲介AIの開発から始まり、プロット生成からシナリオ生成、新キャラクター生成、ヒトによるネーム制作・作画、一部ヒトがAIコマ素材生成を指示し、生成されたコマ素材のアングル等を参考に作画に反映させた

プロット制作参加メンバーは手塚眞(手塚プロダクション)、林海象(映画監督)舘そらみ(脚本家)、石渡正人・日高海(手塚プロ)、田中創・下枝咲彩(手塚プロ)

画像生成、キャラクターデザイン、ネーム・作画参加メンバーは、石渡正人・日高海(画像生成)、つのがい(キャラクターデザイン・作画)、池原しげと(ネーム・作画)、金明珍(キャラクターデザイン)

今回の『ブラック・ジャック』新作漫画完成に手塚氏は「今回の実験では『ブラック・ジャック』という高いハードルを設定したので、完璧にできたとは言えませんが、初のAIによる漫画制作という意味では興味深い結果を出せたと思います。AIによるストーリー作りの支援は大きな可能性を感じました」とプログラムを総括

「課題としては、より読み手の感情に沿ったシナリオを組み立てられるデータが必要であるのと、やはり感情をかき立てる効果的な演出(コマ運び)を提示できるかということがあり、そのためにはさらなる漫画の研究、コンテンツの研究が必要だと思いました。漫画はストーリーとキャラクターだけでできているものではなく、作家の感性が重要に働いています。それをAIが学習できるかが大きな課題だと思います」と課題点を説明した

続けて「人間側の作業について言えば、オペレーションの問題もあり、時間が足りなかったと反省しています。ただ手塚治虫はこれを毎週一作描いていたので、そのパワーと頭脳の凄さはとても現状のAIが敵うものではないと思いました。手塚治虫は天才」と手塚治虫のすごさを強調した

週刊少年チャンピオン編集部は「初めて、GPT-4を全員で使用してプロットを作成してみたあの日を振り返ると、そもそも漫画として面白いもの、ましてや、こんなにブラック・ジャックを再現しつつも新しさもある新作が完成するとは思いもしなかったです」と回顧

「制作に携わって感じたAIの一番の魅力は何度でもリテイクができることです。たとえ出してくる一つ一つのアイデアの精度や魅力がいまひとつだったとしても、何度もやり直すことで魅力的なアイデアを出してくれることがありますし、何か一つアイデアに引っ張られることなく自由なアイデア(突拍子もないようなアイデアとも言いますが)を出してくれることもあります。そのアイデアの選択だったり組み合わせは、まだまだ人がやらなければいけないと感じましたが、十分漫画を作るうえで良きパートナーになりますし、将来的により密接なパートナーになる可能性もあると思います」と伝えた

『ブラック・ジャック』は、秋田書店『週刊少年チャンピオン』で1973年11月から1983年10月まで連載された手塚治虫の代表作
無免許の天才外科医ブラック・ジャックが活躍する医療ドラマ
今年誕生50周年を迎えた

■あらすじ
ピノコを連れて医療とAIの最先端技術が集まる企業を訪れたブラック・ジャックは、CEOから女性患者を診てほしいと依頼を受ける
患者には「AIを活用した完全な機械の心臓」が移植されていたが、完全なはずの心臓に血種が発生していた

過去に同様の症状である本間血種を治せなかったトラウマを持つブラック・ジャックは、一度手術を断るが、ピノコの「どこからどこまでが人間なのか?」という問いに、この難題に立ち向かう決意をする

(この記事は、ORICON NEWSの記事で作りました)

手塚治虫は、漫画の質・量ともに他を圧倒しており、唯一対抗できる漫画家は石ノ森章太郎ぐらいだろう

手塚と石ノ森は筆が速いことでも共通している

筆の速さは天性ともいわれる

手塚眞氏は今回のプロジェクトで手塚治虫の凄さ・天才を改めて実感したようだ

それと同時にAIの可能性も感じたようだ


Pen+(ペン・プラス) 増補決定版『マンガの神様 手塚治虫の仕事(クリエイション)。』 (メディアハウスムック) ムック

漫画の神様・手塚治虫が仕事(マンガ、氏はこのカタカナのマンガを好んで使っていた)を通じて伝えたかったメッセージを読み解く
posted by june at 04:10| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月04日

大質量星が突如消滅!2009年に起きた大事件の謎が解明されそう

地球から2000万光年彼方にある銀河で発見された、太陽の25倍の質量を持つ赤色超巨星「N6946-BH1」は、2009年には元の光度の10倍、太陽の100万倍以上にまで明るくなりました

しかしその後数年かけて暗くなり、2015年時点ではなんと姿が見えなくなってしまっています

これは一般的な大質量星の最期にあたる超新星爆発では説明できない奇妙な現象です

そんな謎が、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がもたらした新発見によって解明されるかもしれません

●一般的な大質量星の最期
自らの内部で起こる核融合反応でエネルギーを生み出し、輝き続ける「恒星」という天体は、その質量でどのような最期を迎えるのかが決まります

太陽の8倍未満の質量しかない中低質量の恒星は、核融合反応が途中で進まなくなり、最終的に核融合を起こせない高密度の物質の塊が残ります

これが燃えカス天体「白色矮星」です

太陽の8倍以上の大質量な恒星の場合、核融合が途中で止まることなく進み、最終的に鉄が生成されます

鉄は最も安定な元素であり、それ以上核融合が進むことはありません

恒星は核融合で膨張しようとする力と、重力とが釣り合うことでその形を維持しています

しかし鉄が形成されると核融合が起こらなくなり、重力に対抗する力が失われ、星の核が自身の重力で急激に圧縮されます

すると中性子星という超高密度天体が形成され、超新星爆発が発生して星の外層が吹き飛びます

特に太陽質量の20~30倍を超えるような超大質量星だと、中性子星すら自身の重力に耐え切れず、ブラックホールが残ると考えられています

●突如消滅した「N6946-BH1」
「N6946-BH1」は、地球から2000万光年彼方にある銀河で発見された、太陽の25倍の質量を持つ赤色超巨星です

2009年には元の光度の10倍、太陽の100万倍以上にまで明るくなりましたが、その後数年かけて暗くなり、2015年時点では姿が見えなくなってしまいました

増光前の2007年時点と比べても5分の1の明るさにまで減光しています

一般的な超新星爆発のように初期段階で突然明るくなるものの、その後超新星のようにとてつもない輝きを放つことなく星が消滅する現象は「失敗した超新星(Failed supernova)」と呼ばれます

N6946-BH1は、理論的に予測されている「失敗した超新星」が発生した有力天体です

失敗した超新星が起こると、星はブラックホールへと崩壊すると予想されます

N6946-BH1はそんな予想の元、「BH1」という部分が名前に含まれています。

●N6946-BH1をJWSTが観測した結果…
最新最強の「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」がN6946-BH1を赤外線で観測した結果、新たな事実が判明しました

まず恒星がいた場所全体を取り囲むように広範囲にわたる赤外線の輝きです

これは2009年に恒星が輝いた瞬間に放たれたガスや塵が拡散したものであると考えられています

もしくはブラックホールに流れ込んだ物質が赤外線で光っているかもしれませんが、その可能性は低いとのことです。

また、N6946-BH1があった周辺には、3つもの残留物が新たに発見されています

さらにスペクトル分析の結果、中間赤外線波長が予想より明るいことも判明しました

これらの新事実は、2009年にN6946-BH1が増光した原因は実は失敗した超新星ではなく、恒星同士の合体現象である可能性を高めています

ただし失敗した超新星である可能性を完全に否定するものではありません

非常に重い恒星はブラックホールを形成しますが、星の死の直前に何が起こるのかについては謎も多いです

今後似たような天体を多く観測していくことで、その辺りの謎が解明されることが期待されています


https://browse.arxiv.org/pdf/2309.16121.pdf
https://www.universetoday.com/163473/astronomers-watched-a-massive-star-just-disappear-now-jwst-might-have-some-answers/
https://medium.com/look-upwards/n6946-bh1-the-disappearing-star-b24de72ff3ae#:~:text=One%20massive%20star%2C%20N6946-BH1%2C%20attracted%20attention%20when%20it,it%20was%20clear%20that%20the%20star%20was%20gone.
https://esahubble.org/images/opo1719b/
https://en.wikipedia.org/wiki/N6946-BH1#:~:text=N6946-BH1%20is%20a%20disappearing%20supergiant%20star%20formerly%20seen,was%2020%20million%20light%20years%20distant%20from%20Earth.#:~:text=N6946,light%20years%20distant%20from%20Earth
https://en.wikipedia.org/wiki/Failed_supernova

(この記事は、宇宙ヤバイchキャベチの記事で作りました)

巨大恒星のN6946-BH1の消滅は従来のブラックホール化説と違っている可能性も・・・
(ただし、ブラックホール化も完全否定できない)

今後の観測・調査の「進展」での「完全解明」が期待される

宇宙はまだまだ謎が多いですね


知れば知るほど面白い宇宙の謎: たとえばビッグ・バン以前、宇宙に何があったのか? (知的生きかた文庫) 文庫

科学が進んだ現在にあっても宇宙は謎が多い
分からないことだらけだからこそ解明のしがいもあるし、ある意味「面白い」のかもしれない
posted by june at 12:28| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レッド・ツェッペリンのジャケットに登場した「老人」、正体が判明

50年以上の時を経て、「レッド・ツェッペリンIV」のアルバムジャケットに映る杖をついた老人の正体がついに判明した

英ロックバンドのレッド・ツェッペリンが1971年にリリースした4枚目のスタジオアルバムのジャケットになった「まきを背負った老人」は、ビクトリア朝時代後期の屋根ふき職人だった
イングランド南西部にあるウィルトシャー博物館が8日声明を発表した。

この屋根ふき職人は1823年にウィルトシャーのミアという町で生まれたロット・ロング氏(時には「ロングイヤー」としても知られる)と思われる
写真が撮影された時期は妻を亡くし、小さな小屋で一人暮らししていた。博物館によると、93年に他界したという

発見者は西イングランド大学ブリストル校地域史センターの客員研究員ブライアン・エドワーズ氏
「ウィルトシャーの屋根ふき職人」と手書きされた原本のモノクロ写真を発見した

エドワード氏は8日、BBCラジオ・ウィルトシャーに出演し、写真の隅に親指の指紋が付着していることから原本だと思われると語った

写真が収められていたのは、「シャフツベリーを訪れた時の思い出。聖霊降臨節、1892年。アーネストからおばさんへのプレゼント」と題したビクトリア朝時代のアルバムで、博物館によれば建築物や街角の風景など100点以上が収められ、地元の労働者のポートレート写真も数点あったという

エドワーズ氏は声明の中で、「レッド・ツェッペリンは自分の青春時代を彩ったサウンドトラック。今回ビクトリア朝時代の写真が発見されたことで、(現存するバンドメンバーの)ロバート、ジミー、ジョン・ポールも面白がって喜んでくれたらうれしい」と述べた

エドワーズ氏によれば、アルバムの手書きの筆跡がインターネットで見つけた署名と部分的に一致したことから、写真を撮影したのはビクトリア朝時代に活躍した写真家のアーネスト・ハワード・ファーマー氏だと思われるという

西イングランド大学によると、バンドのリードシンガーであるロバート・プラント氏が南イングランドのバークシャーで、ギタリストのジミー・ペイジ氏の自宅付近にあるアンティークショップでこの写真の彩色バージョンを発掘したと考えられている

「レッド・ツェッペリンIV」のジャケットに映っているのは彩色されたこの写真のみで、珍しいことにバンドの名前はおろか、文字は一切表記されていない

声明によると、このアルバムは1971年のリリース以来、全世界で3700万枚以上のセールスを記録しているという

結果として、年季の入った顔と白いひげをたくわえ、長い杖を握りしめて背中に背負ったハシバミのまきの重みを支える老人の姿は有名になった

博物館のデビッド・ドーソン館長は声明の中で、「田舎と都会の対比というテーマがレッド・ツェッペリンによってどのように掘り下げられ、70年の時を経て象徴的なアルバムジャケットの中心となったのかを見るのは興味深い」と述べた

原本の写真は来年春、ビクトリア朝時代にイングランド西部で撮影された他の写真とともにウィルトシャー博物館で展示される予定

(この記事は、CNN.co.jpの記事で作りました)

レッド・ツェッペリンIV』は歴史的名盤

ジャケットにタイトル名もバンド名もクレジットされず、「まきを背負った老人」とバンドの4人のシンボルマークのみがクレジットされている

タイトルやバンドの知名度ではなく、純粋に音楽性のみで「勝負」したバンドの意思・意向などが感じられる

レッド・ツェッペリンは解散から何年も経つが、その人気などは衰えない

こんなバンドは他にはビートルズ、さらにいえばクイーンぐらいか!

アルバム収録曲も全て名曲だが「天国への階段」は超名曲であのクラシック音楽の大指揮者・「帝王」ヘルベルト・フォン・カラヤンが「私がアレンジしても同じになる」という主旨の発言で絶賛したといわれる


レッド・ツェッペリンIV

本作はレッド・ツェッペリンの最高傑作アルバムといわれる歴史的名盤
収録曲全てが名曲だが、中でも「天国への階段」は超名曲
posted by june at 08:34| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする