今年の夏は、日本でも世界でも観測史上最も暑くなりました
気象庁は「異常」と表現し、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と警告しました
だれもが“沸騰”を体感する中、シベリアの永久凍土の中で約4万6000年眠っていた線虫が目覚め、動き出したという論文が発表され、世界を驚かせました
氷河や永久凍土は急速にとけており、未知のウイルスなどが現れる可能性を指摘する研究者も増えています
ちょっと怖い話ですが、どういうことなのか、専門家に聞いてみました
◇ ◇ ◇
【線虫】 マンモスやサーベルタイガーと同じ時代に生きていた線虫が長い眠りから覚醒したという論文は、ロシアやドイツなどの研究チームが7月27日に、米オンライン科学誌プロス・ジェネティックスに発表しました
この線虫は、ロシア北東シベリアのコリマ川沿いで、地表から約40メートル下の永久凍土にあったネズミの巣穴の化石から採取
体長約1ミリで、水を加えて解凍したところ動き始め、その後100世代も増殖したそうです
遺伝子検査で新種と分かり「パナグロライムス・コリマエンシス」と命名されました
その場所の植物性物質を分析すると、約4万6000年前から凍結していたことが確認されました
多細胞生物では、約2万4000年前のワムシの一種が蘇生した例などもありますが、今回が最長とみられるそうです
研究チームは「クリプトビオシスと呼ばれる代謝停止状態で、永久凍土で4万6000年間生き続けたことを示します」とし、厳しい環境にいかにして適応し復活したかを理解することで「細胞や組織の長期保存のための新しい方法を知ることができます」と研究の可能性を説明しています
この発表について、線虫学が専門で、環境適応力などを研究している明治大農学部・新屋(しんや)良治准教授に解説してもらいました
-線虫とはどんな生物ですか
線形動物門というグループに入る動物の総称です
地球の動物では個体数が一番多いとみられ、少なくとも1000万種いるともいわれますが、研究の歴史が浅く、分かっているのはまだ約2万55000種です
多くは1ミリ以下の大きさ
いろんな環境に適応できる仕組みを持っているので、海の中をはじめ、あらゆるところにいます
魚に寄生するアニサキス、ヒトの回虫、犬のフィラリアなど動物に寄生するもの(大きさは数センチのものも)や、植物に寄生するものもいます
ただ寄生虫は全体の25%で、4分の3は主に微生物を食べており、自由生活性といわれます
私たちも、米国のヒ素が充満しほとんど生物が生息していない湖で8種の線虫を発見しました
そのうちの1つは人間の500倍ものヒ素耐性を持っています
-よみがえった線虫は人に寄生したりしませんか
パナグロライムスというグループは寄生性ではありません
バクテリアなどを食べています
今回の線虫が、人に悪い影響を与えるとは思えません
人に寄生する線虫でパナグロライムスほど高い乾燥耐性の報告はありません
リスクはないとは言い切れませんが高くはないはずです
-なぜ長い間眠り続け蘇生できるのですか
線虫や節足動物、クマムシなどの緩歩動物、ワムシなどの輪形動物の一部には、乾燥状態になると代謝を停止し休眠して生き残る能力を持つものがいます
クリプトビオシスやアンヒドロビオシスといいますが、カラカラの乾燥状態なのに水を与えると生き返る
氷の中でも十分可能だと思います
トレハロースという糖の蓄積が要因の1つとして知られています
生物は極端に乾燥し水分を失うと細胞が壊れて死んでしまいます
乾燥に強い生物は乾燥状態になっていく中で、細胞の中にトレハロースを蓄積します
そうすると水分がなくなっても、器官が壊れないよう保護することができるといわれています
今回のグループは乾燥耐性を持っていて、環境適応能力が高く、南極でも見つかっています
徐々に乾燥し、トレハロースを蓄積して、凍結された
そういう条件が整ったものが、永久凍土の中で休眠できたと考えられます
調べれば、もっといると思いますよ
-復活してから増殖もしています
今回発見されたパナグロライムスは、1頭で増える単為生殖です
モデル生物として有名なC・エレガンスという線虫は雌雄同体の有性生殖ですが、1頭が三百数十頭の子どもを産みます
パナグロライムスも、100倍くらいに個体数が増えることは妥当だと思います
論文は今回の線虫の仕組みは、C・エレガンスのダウアー幼虫という耐久型幼虫の、生存や代謝の仕組みと共通すると指摘しています
-線虫のこのような仕組みの研究は、人間にどのように役立ちますか
線虫は小さくても多細胞の動物で、生物全体の中では人間と遠くなく、研究が人間の生活に大きく貢献する可能性があります
体は透明で、体内の細胞が容易に観察できます
細胞自ら能動的に死ぬ仕組みを調べることでがんの仕組みに関与するものが分かったり、C・エレガンスの研究は6人のノーベル賞受賞者を出しています
C・エレガンスを使ったがん検査も事業化されています
ダウアー幼虫になると老化しなくなるので、人間の寿命の研究にも役立っています
バイオテクノロジー、薬の開発などにも影響を与えると思います
参考:シベリア永久凍土で凍結、4万6000年前の線虫の蘇生に成功
(この記事は、日刊スポーツの記事で作りました)
シベリアの永久凍土から蘇生した線虫が人間に(悪)影響がないかについては、その可能性はゼロではないが少なそうです
線虫はがん検査、人間の寿命の研究、バイオテクノロジー、薬の開発などに期待されています
線虫 1ミリの生命ドラマ 単行本(ソフトカバー)
線虫はわずか1ミリほどですが、3億年前からおり、驚異の生命力、さまざまな能力があり、高い精度のがん検診能力でも注目されています
がん検診は、線虫のしごと 精度は9割「生物診断」が命を救う (光文社新書) 新書
線虫のがん検診の精度は驚異の高さの9割
がん患者の尿に近づき、がん患者でない人の尿から遠ざかる性質で診断
2023年09月27日
NY株は、金融引き締めが長期化するとの見方から米長期金利が一段と上昇し、投資家心理が悪化したなどで下落
26日(現地時間)のNY株(ダウ平均株価)は、金融引き締めが長期化するとの見方から米長期金利が一段と上昇し、投資家心理が悪化した
米議会の予算協議が難航し、政府機関の閉鎖に対する懸念が強まっていることも下押し圧力となった
終値は反落し、前日比388ドル00セント高の3万3618ドル88セント
ハイテク株中心のナスダックは207.71ポイント安の1万3063.61
26日(日本時間)の日経平均株価は反落し、終値は前日比363円57銭安の3万2315円05銭
米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化観測を背景に米長期金利が上昇し、高PER(株価収益率)銘柄が多いグロース(成長)株の重荷となった
値がさの半導体関連銘柄が売られ、日経平均を押し下げた
(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)
26日のダウ平均株価の終値は前日比388ドル超の大幅下落
26日の日経平均株価の終値は前日比363円超の大幅下落
米議会の予算協議が難航し、政府機関の閉鎖に対する懸念が強まっていることも下押し圧力となった
終値は反落し、前日比388ドル00セント高の3万3618ドル88セント
ハイテク株中心のナスダックは207.71ポイント安の1万3063.61
26日(日本時間)の日経平均株価は反落し、終値は前日比363円57銭安の3万2315円05銭
米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化観測を背景に米長期金利が上昇し、高PER(株価収益率)銘柄が多いグロース(成長)株の重荷となった
値がさの半導体関連銘柄が売られ、日経平均を押し下げた
(この記事は、ネットニュースの記事で作りました)
26日のダウ平均株価の終値は前日比388ドル超の大幅下落
26日の日経平均株価の終値は前日比363円超の大幅下落
人類の祖先は90万年前、ほぼ絶滅しかけていた ヒトゲノム情報で明らかに
今から90万年前、私たち人類の祖先は絶滅寸前まで追い込まれたようだ
世界各国の人たちから得られたゲノム情報から明らかになったのは、90万年ほど前、10万人いた人口はたった1280人まで激減したらしいということだ
これは98.7%という劇的な人口減少で、それが11万7000年もの間続いていた
確かにこの時期、アフリカとユーラシア大陸に生息していた人類の祖先の化石はほとんど見つかっていない
だが幸いにも私たちは今生きている
人類はこの危機的状況を切り抜けたようだ
いったい何が起きていたというのか?
その頃はちょうど更新世の前期から中期への移行期にあり、気候が激変していたと考えられている
・人口が一時的に大幅に減少する現象「遺伝的ボトルネック」
これまでの歴史を振り返ってみれば、何かの原因で人口が大幅に減ってしまうことが起きている
たとえば戦争や飢饉、あるいは気候変動などによる壊滅的な打撃で人口が激減してしまうと、その時代を境に遺伝的な多様性もまた大幅に低下する
こうした種の数が著しく少なくなる現象を、遺伝学では「遺伝的ボトルネック」という
最近では、このボトルネックを調べることで、7000年前に北半球の人間の遺伝的な多様性が激減したらしいことがわかっている
だが過去にさかのぼればさかのぼるほど、そこから意味のある証拠を見つけ出すのは難しくなる
そこで中国科学院大学のリ・ハイペン氏らは、過去の出来事を曖昧にしてしまう数的エラーを回避するために、FitCoal法(fast infinitesimal time coalescent process)と呼ばれる新しい分析法を考案した
[画像を見る]
FitCoal法の核となる式 / image credit:Shanghai Institute of Nutrition and Health, CAS・約90万年前、人類は絶滅寸前にに追い込まれていた
このFitCoal法で、世界各国から集めた現代人3154人(アフリカ系10グループおよび非アフリカ系40グループ)のゲノムデータを解析し、遺伝子を過去にさかのぼったところ、驚くべきことが明らかになった
およそ91万~81万3000年ほど前、現在の私たちにはある遺伝的多様性が、最大65.85%も失われていたのだ
この遺伝的ボトルネックなどから推測すると、10万人近くいた人類の人口がわずか1280人にまで激減していたと考えられるという
その正しさは、この時期の人類の化石がほとんど見つからないという事実からも裏付けられている
約90万年前、10万人いた人口がわずか1280人にまで激減
この時期は前期更新世から中期更新世への移行期にあたる / image credit:Science (2023). DOI: 10.1126/science.abq7487・この時期、人類に何が起きていたのか?
当時の人類に一体何が起こっていたのか?
その原因を100%特定することは難しいが、この時期に重要な変化が起きていたことは明らかとなっている
気候変動だ
この時代は更新世の前期から中期へと移り変わっていた時期(前期-中期更新世移行期)で、地球は急激に寒くなっていたのである
それが干ばつによる飢饉を引き起こし、当時の人類を追い詰めていったというシナリオは、十分現実的なものだ
人類にとって大きな試練となったこの時代は、もしかしたら私たちの重要な進化にも関係する可能性がある
この時期に、私たちの遺伝子だけに見られるある面白い特徴が作り出されているのだ
その特徴とは、2番染色体が2本の染色体が融合してできているというものだ
人間の染色体は23対で構成されている
ところが類人猿を含め、今日生きている人間以外のヒト科動物の染色体は24対なのだ
このことから、2番染色体の融合は、私たちとほかのヒト科動物とをわかつ重要な出来事だったのではと考えられる
そしてそれが起きたきっかけが、90万年前の大ピンチだったのかもしれない
「これらの発見は、始まりにすぎません」とリ氏は語る
研究チームの最終的な目標は、前期更新世から中期更新世への移行期に人間がどのように進化したのかくわしく描き出し、ひいては初期人類の祖先と進化という謎を解明することであるそうだ
これらの研究は2023年8月31日に『Science』で発表された
References:Early ancestral bottleneck could've spelled the end for modern humans / written by hiroching / edited by / parumo
(この記事は、Daily News Onlineの記事で作りました)
約90万年前、人類は絶滅寸前だったそうです
ゲノム解読でそんなこともわかるんですね
ゲノム解読の可能性を感じました
ヒトゲノムを解読した男 クレイグ・ベンター自伝 単行本
ヒトゲノムを解読いた男・クレイグ・ベンダー氏の自伝
彼の人物像、ヒトゲノム解読の真実などに迫る
世界各国の人たちから得られたゲノム情報から明らかになったのは、90万年ほど前、10万人いた人口はたった1280人まで激減したらしいということだ
これは98.7%という劇的な人口減少で、それが11万7000年もの間続いていた
確かにこの時期、アフリカとユーラシア大陸に生息していた人類の祖先の化石はほとんど見つかっていない
だが幸いにも私たちは今生きている
人類はこの危機的状況を切り抜けたようだ
いったい何が起きていたというのか?
その頃はちょうど更新世の前期から中期への移行期にあり、気候が激変していたと考えられている
・人口が一時的に大幅に減少する現象「遺伝的ボトルネック」
これまでの歴史を振り返ってみれば、何かの原因で人口が大幅に減ってしまうことが起きている
たとえば戦争や飢饉、あるいは気候変動などによる壊滅的な打撃で人口が激減してしまうと、その時代を境に遺伝的な多様性もまた大幅に低下する
こうした種の数が著しく少なくなる現象を、遺伝学では「遺伝的ボトルネック」という
最近では、このボトルネックを調べることで、7000年前に北半球の人間の遺伝的な多様性が激減したらしいことがわかっている
だが過去にさかのぼればさかのぼるほど、そこから意味のある証拠を見つけ出すのは難しくなる
そこで中国科学院大学のリ・ハイペン氏らは、過去の出来事を曖昧にしてしまう数的エラーを回避するために、FitCoal法(fast infinitesimal time coalescent process)と呼ばれる新しい分析法を考案した
[画像を見る]
FitCoal法の核となる式 / image credit:Shanghai Institute of Nutrition and Health, CAS・約90万年前、人類は絶滅寸前にに追い込まれていた
このFitCoal法で、世界各国から集めた現代人3154人(アフリカ系10グループおよび非アフリカ系40グループ)のゲノムデータを解析し、遺伝子を過去にさかのぼったところ、驚くべきことが明らかになった
およそ91万~81万3000年ほど前、現在の私たちにはある遺伝的多様性が、最大65.85%も失われていたのだ
この遺伝的ボトルネックなどから推測すると、10万人近くいた人類の人口がわずか1280人にまで激減していたと考えられるという
その正しさは、この時期の人類の化石がほとんど見つからないという事実からも裏付けられている
約90万年前、10万人いた人口がわずか1280人にまで激減
この時期は前期更新世から中期更新世への移行期にあたる / image credit:Science (2023). DOI: 10.1126/science.abq7487・この時期、人類に何が起きていたのか?
当時の人類に一体何が起こっていたのか?
その原因を100%特定することは難しいが、この時期に重要な変化が起きていたことは明らかとなっている
気候変動だ
この時代は更新世の前期から中期へと移り変わっていた時期(前期-中期更新世移行期)で、地球は急激に寒くなっていたのである
それが干ばつによる飢饉を引き起こし、当時の人類を追い詰めていったというシナリオは、十分現実的なものだ
人類にとって大きな試練となったこの時代は、もしかしたら私たちの重要な進化にも関係する可能性がある
この時期に、私たちの遺伝子だけに見られるある面白い特徴が作り出されているのだ
その特徴とは、2番染色体が2本の染色体が融合してできているというものだ
人間の染色体は23対で構成されている
ところが類人猿を含め、今日生きている人間以外のヒト科動物の染色体は24対なのだ
このことから、2番染色体の融合は、私たちとほかのヒト科動物とをわかつ重要な出来事だったのではと考えられる
そしてそれが起きたきっかけが、90万年前の大ピンチだったのかもしれない
「これらの発見は、始まりにすぎません」とリ氏は語る
研究チームの最終的な目標は、前期更新世から中期更新世への移行期に人間がどのように進化したのかくわしく描き出し、ひいては初期人類の祖先と進化という謎を解明することであるそうだ
これらの研究は2023年8月31日に『Science』で発表された
References:Early ancestral bottleneck could've spelled the end for modern humans / written by hiroching / edited by / parumo
(この記事は、Daily News Onlineの記事で作りました)
約90万年前、人類は絶滅寸前だったそうです
ゲノム解読でそんなこともわかるんですね
ゲノム解読の可能性を感じました
ヒトゲノムを解読した男 クレイグ・ベンター自伝 単行本
ヒトゲノムを解読いた男・クレイグ・ベンダー氏の自伝
彼の人物像、ヒトゲノム解読の真実などに迫る