「テクノシグネチャー(技術文明の存在指標)探査」は、異星人による大規模な天体工学プロジェクトを対象とする探査計画につけられた魅力的な新呼称だ
現在進行中のテクノシグネチャー探査では、仮説上の構造物「ダイソン球」を対象としている
ダイソン球では特定の恒星のエネルギーが活用されると考えられるが、どのような仕組みなのかは想像するしかない
英国生まれの米国の物理学者、故フリーマン・ダイソン氏が最初に提唱したダイソン球は仮説上、巨大なスーパーコンピュータや人工居住地に電力を供給し、宇宙船を推進させ、高度な星間通信を実現するために利用するとされている
ある1人のスウェーデン人天文学者の主張が正しいなら、高い知性を持つ異星人は、自分たちの暮らす惑星が公転する恒星からのエネルギーをあえて使わないようにしているかもしれない
天の川銀河(銀河系)にある恒星の約75%がM型赤色矮星(わいせい)であることを考慮すると、異星人は近くにある赤色矮星の1つのエネルギーを利用している可能性がある
筆者たちが今こうして話している間にもだ
スウェーデンの首都ストックホルムを最近訪れた筆者は、より理解を深めるために、このテーマに関して最近どのように考えているかについて、ウプサラ大学の天文学者エリク・ザクリソ氏と膝を交えて議論した
現在、ザクリソン氏と指導する博士課程学生の1人は、欧州宇宙機関(ESA)が作製した銀河系の恒星カタログ「ガイア」と赤外線天体カタログを調べて、ダイソン球の候補を探す作業を進めている
ザクリソン氏とウプサラ大の博士課程学生マティアス・スアソ氏は、英国王立天文学会の学会誌『Montly Notices of the Royal Astromical Society(MNRAS)』に学術論文を投稿する予定だ
ザクリソン氏の研究チームは、太陽系の最も近傍の恒星500万個から始めて、現在のところ約10個の暗い赤色矮星を、ダイソン球をともなう有力候補としてリストアップした
名前が知られている天体は1つもない
だが、チームの次の論文では、候補の星の詳細なフォローアップ観測を実施する予定だ
■異星人が赤色矮星の利用を選択した理由
第一の理由は、赤色矮星の推定寿命が何百億年~数十兆年だからだ
つまり、宇宙の年齢におよぶほど極めて長持ちするエネルギー源となるわけだ
赤色矮星を利用するのは、単に近くにあるからというだけかもしれないと、ザクリソン氏は筆者に語った
可視光では暗く、赤外線では明るく見えると考えられ、これが最初の証拠になると、ザクリソン氏は説明する
問題は、同じような挙動を示す自然の天体が存在することだと、ザクリソン氏は続ける
最も多いのが若い恒星に分類される天体で、塵(ちり、固体微粒子)に包まれた状態のため、赤外線では輝くが、恒星の可視光の一部を遮るからだ
異星人は非常に進歩しているため、何も無駄にはしないと主張する人々もいる
だが、熱力学法則の理解のとおり、ある形態のエネルギーを別の形態に変換すると、最終的には必ず廃棄物が発生してしまう
ダイソン球は、この廃エネルギーを何らかのかたちで取り除く必要があるという
これを実現するための最も自然な形は、黒体放射(赤外線の熱放射)だと、ザクリソン氏は指摘する
ダイソン球の検出を証明することの最も難しい側面は何だろうか
これはダイソン球につきものの問題だ
なぜなら天文学的データの外れ値を探すことになるからだと、ザクリソン氏は説明する
単にこれまで確認されたこともないような極端な天体物理学的現象ではなく、ダイソン球なのだと自分自身が確信することが非常に難しいと、ザクリソン氏はいう
ダイソン球は、赤外域では完全な連続スペクトルとして放射を発する
つまり、スペクトルにピークが1つもないと考えられる
米航空宇宙局(NASA)のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を利用できれば、赤外域のスペクトルを観測して、ピークがあるかどうかを確認できるかもしれないとザクリソン氏は話す
ピークがあれば、塵として退けるだけでよいという
■結果がどうであれ、天文学にとって有益な探査を計画する
現在、検出している対象がダイソン球やデータベースの異常値ではないとしても、少なくとも極端な天体物理学的現象を検出していることになるので、天文学は恩恵を受けると、ザクリソン氏は指摘する
既存のデータベースを用いるこの研究は、費用も安価で実行しやすいが、非常に多くの時間を要するとザクリソン氏は続ける
不要なサンプルを取り除く作業の大半を基本的に人工知能(AI)に実行させることで、研究者が自ら非常に多くの候補を調べなくても済む
この処理には時間がかかる可能性があるが、一度に全部やる必要はないとザクリソン氏は話した
(この記事は、Forbes JAPANの記事で作りました)
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